矯正教育研究者:Yukari NAKANO

教育学博士(教育社会学・矯正教育学)の研究者です。研究テーマは、少年院や刑務所での矯正教育、更生/立ち直り支援、多機関連携について。研究員業の傍ら大学で非常勤講師もしています。海外旅行&野球好きな夫と子どもとの旅の記録も書いていきたいと思います。

矯正教育研究者:Yukari NAKANO

教育学博士(教育社会学・矯正教育学)の研究者です。研究テーマは、少年院や刑務所での矯正教育、更生/立ち直り支援、多機関連携について。研究員業の傍ら大学で非常勤講師もしています。海外旅行&野球好きな夫と子どもとの旅の記録も書いていきたいと思います。

マガジン

  • 研究関連の読書ノート

    読書の記録。備忘録的に読んだ本について書いていきます。

  • 旅育の雑記帳

    子連れ旅で訪れた様々な国や地域。実際に現地を訪れて知る様々な情報や、子連れ旅のあれこれについてご紹介していきます。

  • 援助交際調査のあれこれ

    2005年から2012年に実施した「援助交際体験者インタビュー調査」より。出会った女の子たちを通して考えた「社会」のあり方について書いていきます。

  • 海外の施設紀行

    児童福祉や非行少年支援に関連する海外の施設を少しずつご紹介します

  • KOBLE Project 通信

    非行・犯罪からの立ち直り支援での多機関連携を学ぶ「KOBLE Project」。KOBLEのテーマに関連する出来事を書いています。

最近の記事

Breivikと刑務官 ー葛藤に対する刑務官の高度な対処戦略ー

Prison officer’s coping strategies in a high-profile critical situation: Imprisonment after the 2011 terrorist attacks in Norway Knut Mellingsæter Sørensen and Berit Johnsen Incarceration Vol.2(1),pp.1-15,2021 より  2011年にノルウェーで起きた連続テロ事件。多くの

    • 刑務官とは”何者”で、刑務所とは”どのような組織”なのか

      今回の書籍はこちら The Prison Officer  Alison Liebling, David Price and Guy Shefer, 2011 日本の刑務所(刑務官)研究、かつ質的な調査研究モノはとても少ない。 そのことは、私たちが具体的に「刑務官」「刑務所」を理解することを難しくしています。どこの国でもいい。日本のそれらを知るために、諸外国で質的に研究したものは何のだろうか・・・ そう思って調べていくと、実は欧米圏でも「刑務所・刑務官研究が十分ではない」と

      • 大谷選手も山本選手も頑張れ! 〜ドジャースタジアム観戦記2024〜

        サンディエゴでパドレス開幕戦を堪能し・・・そしてLAへ! もちろん大谷選手を応援です 山本投手も見られたら〜と思いましたが、オーダーを見る限りチャンスはなさそう。 ・・・なんて思っていた時もありました。 サプライズはいつだって突然起こるものです。 なんと始球式に、真田広之さんが登場!キャッチャー山本由伸・・・! コールされた時は耳を疑いました。。。 何より、真田広之さん・・・ファンですよ。 叫びましたよ、思わず。カメラを持つ手が震えましたね・・・ 試合が始まると、お目当

        • 戦時中の負の歴史を辿る 〜日系人博物館の存在意義〜

          今回のLA滞在。 野球観戦が第一の目的でしたが、もう一つ印象深かったのが「日系人の歴史」です。わたしたちが宿泊したのはリトルトーキョーにあるミヤコホテル。 日中は観光客で賑わう街は、日本人にとって知っておかなければならない歴史を持つ場所でした。 こちらはリトルトーキョーを散策中に見つけた壁画です。 端の方をよ〜く見てみると・・・ 「SAVE LITTLE TOKYO, NO JAIL」 この文字を見た時、戦争によって移民として暮らす日系人が被った影響が垣間見えました。こ

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        • 研究関連の読書ノート
          3本
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          4本
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          1本
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          3本
        • 矯正教育を語る@少年院教育の雑記帳
          1本

        記事

          女子刑務所での処遇(教育)プログラムの効果とは?

          今回の書籍はこちら 「Offender Rehabilitation Programmes  : The role of the prison officer」 Laura M. Small and Paul M.W. Gackett, 2023 刑務所の処遇って、犯罪者の立ち直り(再犯防止)にどれくらい効果的? 今の刑務所処遇には、どんな意味があるんだろう? 性別によっても犯罪様態や犯罪に至る過程が違うと言われるけれども、立ち直り支援のメニューにも違いは必要なんだろうか?

          女子刑務所での処遇(教育)プログラムの効果とは?

          映画「トップガン」の世界 〜空母ミッドウェイ博物館〜

          サンディエゴといえば・・・ 映画「トップガン」のロケ地としても有名です。 球場に向かう途中で見かけた巨大空母が、 そのロケ地の一つ、空母ミッドウェイ博物館でした。 とにかく・・・でかい。でかいのです。何もかも。 まず目に入るのは、博物館手前の公園に設置された「ビクトリー・キス」の像 水兵さんが恋人とキスを交わすシーン・・・などとも言われますが、 一説によると「全くの初対面で起きた出来事らしい」という話も。 要は、それだけ無事に帰還できたことにテンションMAXになってしま

          映画「トップガン」の世界 〜空母ミッドウェイ博物館〜

          2024年 パドレス開幕戦!

          2024年4月のメジャーリーグ開幕戦 どこのチームの開幕戦を観に行くか・・・ 私たちが選んだのは「パドレス」 日本からは、ダルビッシュ選手や松井選手が在籍しています。 夫は独身時代から定期的にメジャーリーグ観戦の旅をしているので、 今回も、野球大好きな息子と相談をしながらツアー計画を立てていました。 開幕戦、ダルビッシュ選手が先発ということで ワクワクドキドキしながら球場入りしました。 この日は快晴! 開幕のセレモニーも素晴らしく盛り上がっていました。 私自身は野球に詳

          2024年 パドレス開幕戦!

          徒歩で国境を越える 〜サンディエゴからメキシコへ〜

          「国境」。日本に住んでいるとあまり馴染みのある言葉ではありません。 島国から国境を越えるなんて、基本は空路。 私の人生の中で「国境」を意識したのは、2007年にパキスタンを訪れた時のインドとの国境に出かけた時くらいです。 その時も、国境を陸路で越えることはなかったので、 国を跨ぐ・・・ということを、あまり意識して考えることはありませんでした。 2024年の米国旅 サンディエゴまで来たのならば、陸路で国境を越えよう・・・! というわけで、メキシコへと繰り出したのです。 予

          徒歩で国境を越える 〜サンディエゴからメキシコへ〜

          「援助交際」の主導権は誰の手に?

          「誰」が「何をする」のが「援助交際」なのか 「援助交際」の定義を決定づけるのは案外難しいものです。論者によって対象年齢や行為に様々な見解があるからです。一般的には十代の未成年者を対象としたものと言ってよいと思いますが、下限はもちろん上限には規定がありません。本人が「援助交際」だと言えば、「援助交際」になってしまう状況にあります。  少なくとも「金品を媒介」とするという点では、一致しているでしょう。金品を介在するからこそ<買うー売る>関係が発生するわけですから、この点は重要

          「援助交際」の主導権は誰の手に?

          「援助交際」は異性愛者限定の問題ではありません 〜援助交際とLGBTと様々な事情〜

           援助交際といわれて私たちが頭の中にイメージするのは「男性と女性(少女)の寄り添っている姿」ではないでしょうか。私も調査を始める前は、そう思っていました。ところが調査を始めて様々な体験者と出会うなかで、これはどういうセクシャリティの問題なのだろう・・・と頭を悩ませることが増えていきました。その一つが「LGBTの援助交際体験者」の語りです。  私が実施した「援助交際体験者調査」の協力者10名のうち、2名は明確に「同性愛者です」と教えてくれました。どちらも性行為を含む売春系の援

          「援助交際」は異性愛者限定の問題ではありません 〜援助交際とLGBTと様々な事情〜

          「援助交際」は糾弾されるべき? 〜援助交際調査の舞台裏〜

          2000年代初めの援助交際調査  2005年から2012年までに実施した「援助交際体験者インタビュー調査」(以下、援助交際調査と略)のことを連載で書いていきます。全国様々な地域の体験者10名に出会い、単発/継続的なインタビューに協力してもらいました。7年近くに及んだ調査で10名は少ない?と思う人もいるかもしれません。ですが、これが結構大変な調査だったことは言うまでもありません。東北、関東、関西へとバラバラに居住する体験者たちに、継続的にお話を聞かせてもらうために毎週末ごとに

          「援助交際」は糾弾されるべき? 〜援助交際調査の舞台裏〜

          「デート援交」をめぐる困難 ①

          1.「デート援交」に対する危機感  「デート援交」という言葉は、援助交際の中でも「デート(買い物、食事、カラオケなど)だけを行為内容としたもの」です。性行為あるいは類似行為を伴わないという点で、現在のところ法的規制の対象外となっています。例えば、産経新聞が2018年に「「デート援交」拡大の恐れ 大阪府警が重点補導対象に」(2018年4月1日)という記事が掲載されました。SNSが出会いの場として挙げられていて、バイト感覚で気軽に稼げるので真的ハードルが低い、また児童買春へ発展

          「デート援交」をめぐる困難 ①

          支援者だって「助けて」と言いたい KOBLE Projectの目指すもの

          この数年「多機関連携」が色々な領域で語られるようになりました。 なぜ、多機関連携が注目されるのか。 この背景には、問題への対応能力・解決能力を向上させるという点があるわけですが、より大事な点として「支援者が支援される関係」を目指すということが挙げられます。 支援者だって「助けて」と言いたいし、「助けて」に応えてくれる誰かを必要としています。 1.多機関連携は異文化交流 「多機関連携」「多職種連携」は、専門家/職や機関が力を合わせて、一つの事例・問題解決を目指します。

          支援者だって「助けて」と言いたい KOBLE Projectの目指すもの

          「変わりたい」を育む 〜少年院と特別活動〜

          1.ある日の思い出  2011年秋、長野県にある男子少年院・有明高原寮を訪れる機会を得ました。この有明高原寮は、周囲に壁やフェンスがないことから、日本で最も開放的な少年院と言われています。私がそこを訪れたのは、毎年行われていた「鐘の鳴る丘コンサート」を参観するためでした。この「鐘の鳴る丘コンサート」は、少年院で生活を送る少年たちと地元の子どもたち、そしてコーラスグループとの歌の交流として始まりました。その後30年も続いたコンサートは2011年のこの時を最後に、幕を閉じようと

          「変わりたい」を育む 〜少年院と特別活動〜

          消える女性たち 〜Dastak パキスタンのラホールにある女性救護施設〜

           2008年3月15日、ラホール近郊にある「Dastak」という女性救護施設(シェルター)を訪ねました。ここには家族からの暴力に悩む女性たちが暮らしています。なかには命の危険を感じながら隠れるように生きている女性たちもいます。彼女たちが恐れるのは「名誉殺人」です。  名誉殺人とは、「婚姻拒否、強姦を含む婚前・婚外交渉、「誤った」男性との結婚・駆け落ちなど自由恋愛をした女性、さらには、これを手伝った女性らを「家族の名誉を汚す」ものと見なし、親族がその名誉を守るために私刑として

          消える女性たち 〜Dastak パキスタンのラホールにある女性救護施設〜

          LGBT受刑者に対する「二重の刑罰」

          1.多様性と刑務所運営  様々な多様性への理解が加速しています。2021年東京オリンピックではトランスジェンダーの選手の参加が認められるなど、性の多様性に対する認識も新たなものへと変化していることが伺えます。  このLGBT問題に関連して、取り上げたいのは「刑務所における性の多様性」をめぐる問題です。LGBTへの理解が進むなか、男女の別で制度化されている諸システムの多くが再編を迫られています。刑務所のその一つです。性別によって男子刑務所、女子刑務所と生活の場所は分けられて

          LGBT受刑者に対する「二重の刑罰」