想いが距離を超える時代に。
初めてケーキを作り、友達に食べてもらったあの瞬間の感覚。
純粋な届けたい想いが伝わって、笑顔が溢れた幸せな時間。
僕が料理を仕事にしようと決めた、あの温かな感覚が少しづつ蘇る。
今回のクラウドファンディングで温かな想いを沢山頂き、自分の作ったケーキがこんなにも多くの人に愛されていることを心から嬉しく思います。
今までのnoteはこうあるべき自分というフィルターを通して書いて来ましたが、今回はただの田村浩二として書いています。母に送る感謝の手紙の様な感覚で(笑)
料理の仕事に就いてからは、日々を過ごすだけで精一杯で食べる人の気持ちにまで意識は向けられなかった。自分の切っている玉ねぎが、誰かの幸せに繋がっている感覚を持てず、ただ毎日『こなす』だけの生活。心も荒んでいたかもしれない。
シェフになってからは、毎日が評価との戦い。どうやって自分を知ってもらうか?美味しさを理解してもらうか?
人と違うことが価値だと信じ、オリジナリティーという言葉の闇に溺れ掛けていた。僕が目指したのは一流有名シェフではなく、美味しさで幸せ広げる人だったはずなのに。
その事に気付いたのは賞を頂いてからだった。いつの間にか仕事の為の、自分の為の料理を作っていたなと。もちろんそれが誰かの為になると思ってたんだけど、それよりも自分を誇示する事に必死だったかも。
そんな自分に気付いたから、とにかく単純で美味しいものが作りたくなった。それが僕にとっての幸せの味、チーズケーキだったんだよね。
母の味であり、誕生日の想い出であり、幸せの時間。
自分がそれで幸せな気持ちになる様に、多くの人に幸せになってもらえたら良いなと。ただシェフとして働いてきた僕は、やっぱりどこまで行ってもシェフであり、食べたことのない美味しさも期待される。その期待には絶対に応えたいし、中途半端は大嫌い。
だからこそ素材にも作り方にも包装にもこだわった。でも今はもう少し多くの人に届けられる様に努力をしています。もう少しだけ待っててください。僕は作るのは得意だけど、届けるまではちょっと苦手です。キッチン以外の事には疎いから。今本当に色んな事を勉強しているので、なるべく早く環境を整えられる様に頑張ります。
レストランを離れてからは今までとは全く違う時間の使い方になったんだよね。キッチンで料理をしている方が正直楽だったかもしれない。知識のないお金の話や、自分の商品を自分で宣伝する事、色々な仕事の金額設定。SNSをどう使うか。全てが初めてで、とにかくやるしかない。同業からは『あいつは楽して遊んでいる』とか『そんなのが長く続くわけない』とか『飲食を舐めてるとか』本当に色々言われている。
でも考えて見てほしい。今までやってこなかった事で人の役に立つ事も、社会に貢献する事も、お金を稼ぐ事も、そんなに簡単じゃない。楽して出来るならみんな働き方を変えてるよね?上澄みだけをすくい取った様な考えで批判されるのは本当にキツイので、とにかく結果も出さなければと思っている。
僕は評価されるということが、社会から求められることだと考えているから。
たかがチーズケーキという人は沢山いるけれど、僕はこのチーズケーキで本気で世界を変えたいと思っている。
チーズケーキから、食の大切さや美味しさをシェアする喜び、職人もやり方次第でいくらでも世界とアクセス出来ること。
ほんの少しのアクションで、ほんの少しの勉強で人生は大きく変わる。
僕もやっとスタート地点に立てたばかりだけど、僕の生き方が少しでも誰かの役に立てばなと思ってます。
キッチンの中から日本中の人と繋がれた。
自分の美味しいがみんなの美味しいとなり、幸せの輪が広がっていく。
食べることで、大切なあの人の顔が浮かび、そして一緒に語りたくなる。そんなチーズケーキになれる様、これからも頑張って行きます。
応援してくださるみんなの為に、一緒に働くスタッフの為に、そして大切な家族とこのチーズケーキが大好きな自分の為にも。
今回のクラウドファンディングに対する想いをシェフ時代からお世話になっているMayukoさんにインタビューしてもらいました。こちらも是非読んでもらえればなと思います。
皆様の優しさに救われてます泣