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【ストーリーが思いつかない…】誰でもできる物語作成メソッド(2017年3月号特集)


設定や物語の枠組みが決まったら、今度はそれをストーリー化します。
あいまいだった話に形を与え、ストーリーという入れ物を作ります。

物語の2大構成法

【起承転結】

 起承転結は、設定が複雑なもの、あり得ない出来事が起こる話に向きます。たとえば、異世界に行くような話。その場合は、どうして異世界に行けたのか、その世界特有の常識は?などを説明する必要がありますが、起承転結なら起と承で物語を進めつつ、その中で説明できます。注意点は前半が重くなりがちなこと。
 配分は、原稿用紙5枚なら、起1枚、承1枚、転2.5枚、結0.5枚ぐらいでしょう。

【序破急】

 序破急は、設定についてはあまり詳しく説明せず、導入部の序で設定についてざっと説明したら、本編の破に入ります。破は全体の大部分を占め、長いだけにこの中にも流れがあります。『三匹の子ぶた』のように同じ出来事が三回くり返されるのもこの部分。急は終局部。ここはだらだらしないでさっと終わります。
 配分は、原稿用紙5枚なら、序0.5枚、破4枚、急0.5枚ぐらいが目安です。

ストーリーメイクの方法

設定が決まっている場合

 設定だけは決まっているが話が展開しないのは、主人公の物語上の目的が明らかでないのが原因。目的を設定し、主人公をその実現に向かわせ、そこに目的達成を妨げる障害を設定すればストーリーができます。

結末が決まっている場合

 結末だけ決まっているが話が作れない場合は、展開を逆算します。この結末に至るにはどんな出来事がなければならなかったか、こんな出来事があったはずだと逆算し、書くときはこの逆をたどります。

ストーリーメイク2つのトレーニング

一日一話

 毎日一つ、簡単な話を作る習慣をつけると創作のトレーニングに。字数はツイッター感覚で140字程度。「何が、どうして、どうなった」を書くだけ。
 この習慣をつけると、題材を探す癖がつくうえ、見つけたアイデアを展開させる訓練になります。

逆プロット

 既存の作品からプロットを作るのが逆プロット。
「飴だま」であれば、
起:春、子連れの女の旅人が舟に乗る。侍も乗り、居眠りを始める。それを見て子どもたちが笑う。
のように要約し、この起が、全体とどうつながっているか、どう書いているか、何行書いているかなどを考えてみます。同様に承転結についてもやります。
 これをやると、プロがやろうとしたことがわかりますし、わかれば自作に生かせます。

構成のチェックポイント

導入部

 導入部の命題は説明。「飴だま」でも「いつ、どこで、誰が」を、「春のあたたかい日」「わたし舟」「子どもをつれた女の旅人」「つよそうなさむらい」と説明し、起で全員登場させています。
 また、〈舟は出ました。〉と簡潔に物語を進めています。

〈 導入部のポイント 〉

  • 「いつ、どこで、誰が」という物語のアウトラインを説明する。

  • 説明に終始せず、物語を動かしながら、その中で自然に伝える。

  • できれば全員登場させる。

展 開

 「飴だま」では起のあと、子どもたちが騒ぎます。それで母親は侍が怒っていると勘違いします。かなり緊張する場面です。
 この場面では「黒いひげ、つよそうなさむらい」という設定が効いていますし、侍だから刀を持っていても不思議ではありません。

〈 展開のポイント 〉

  • 起を受けて事件が起きる。

  • 緊張する場面、心が動かされる場面を盛り込む。

  • 背景や設定を工夫し、場面や展開が不自然でないようにする。

伏 線

 「飴だま」では「つよそうなさむらい」という設定が、本当は優しい侍という展開を隠していますが、最後にどんでん返しがあったあとに改めて読み返すと、もともと優しい侍だったという結末に納得がいきます。そう書いてあるのに見えない。手品のような仕掛けです。

〈 伏線のポイント 〉

  • 侍だから人を殺すかもと思わせるなどミスリードさせる。

  • ネタばらしのあと、もう一つのストーリーが浮かぶようにする。

  • 子ども相手なので凝り過ぎない。

構成を練ったらいよいよ執筆!
特集「自己流はもう卒業! 童話の作り方」
公開全文はこちらから!

※本記事は「公募ガイド2017年3月号」の記事を再掲載したものです。

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