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せわしなく

忙しなくすぎる毎日っていう言い回しはその通りだと思っていた。毎日毎日予定があって、それは人と会うものだからずらすことはもちろんできなくて、彼女はただただ毎日の予定に順応するように生きていた。

体調が辛くても、
ドラッグストで買った鎮痛剤を飲んで、
たぶん根本的には休んだほうがいいし、なんの解決にのなっていない一時凌ぎだってことはわかっているんだけれど、とにかくそうするしかなくて、そこにいる私は笑顔で上司が気が済んで帰ると言い出すまで、求められる部下を演じてそこにいた。

なんのために?

なにも知らない場所に入れられて、
どんな人かさへ知らない人の支配下に置かれ、
私はただただ無力の人工でしかなかった。
次はお前だ。次々辞めていった人たちの声が聞こえた。
ここは社会の闇だった。

それでも私はその現実を、リアルを知らなかった。
ここで認められることこそ価値がある。
そんな無邪気な心しか持っていなかった。

そんな私もいたのだと、
悲しくなるくらいに人間世界を呪う。

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