過去から今を紡ぐ曲
世には色々なヒット曲があるが、僕の中で唯一無二の不思議な感覚を持つ曲がある。
それは、スピッツの「空も飛べるはず」という曲なのだが、この曲について綴ってみたい。
僕が小学校5-6年頃、音楽を聴き始めた時期にちょうどこの曲がヒットチャートを賑わしていた。派手な印象ではない曲なので、いい曲だとは思っていたが、ずば抜けて好きでそればっかり聴くという感じではなかったような気がする。
それから学生、社会人生活を経る中で、音楽の興味も変遷した。数年前に聴きまくっていたはずの曲も、いつの間にか心の外にいたりする。
時は流れ、20年以上が経つ。この曲は世代を超えて親しまれ、いまだに有線やラジオで流れていたりする。僕の心の底でも忘れ去られることなく無意識にずっと流れ続けていた。今もプレイリストに入っていて、当時から変わらない心地よい感覚で聴けているのが不思議だ。
曲の思い出は断片的で、よく聴いていた当時の思い出が蘇ることが多い。しかし、時代を超えて常に流れていたこの曲だけは、唯一過去から今につながる僕の人生の中にあるものを「点」ではなく「線」を紡ぐように思い出させてくれる。
♬君と出会った奇跡がこの胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
夢を濡らした涙が、海原へ流れたら
ずっと、そばで笑っていてほしい
このフレーズを聴くと、幼い頃から今に至るまで何らかの奇跡で出会った人の顔が浮かんでくる。なんの取り柄もない僕だけど、笑って楽しそうに話しかけてくれた人が少なからずいて、その笑顔が浮かんでくる。少し自分を認めてもらった気がする。そばで笑ってくれることで自己肯定心を満たしてもらえるのだ。
♬ごみできらめく世界が僕たちを拒んでも
ずっと、そばで笑っていてほしい
人と会うことを拒まれる今の世界では、特に人に笑いかけてほしいと感じる。一人でいるしかない時は、笑いかけてくれた誰かとの思い出が嘘でないことを信じて生きるのだ。
いつか僕の人生が終わる日が来たとき、この曲が過去の思い出とともにゆっくりと流れるだろう。そして、今まで奇跡的に出会って、そばで少しでも笑ってくれた人の笑顔が走馬灯のように巡ると思う。
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