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不安はどこからやってきた?

それにまだ名前がついていなかった頃の話をしよう。
10年ほど前、ぼくは電車に乗って出かけることが多かった。大きな街に出てカフェへ行ったり、買い物をしたり。そんなことが当たり前だった時代。

行きつけのカフェで、急に吐き気に襲われた。体調を崩す原因に思い当たるものはなかった。そこで食事を頼んでいたが、やむなく体調が悪くなってしまって…と断ってすぐ店を出た。無理をしていたら、その店で倒れてしまいそうだったからだ。店に迷惑はかけられないの一心だった。

帰宅しようとするも、人混みに酔ってトイレに駆け込み、胃の中のものを出した。自分の身体はどうなってしまったのか。駅のトイレでどうにか落ち着いたぼくは、家に帰ることができた。

そこからだったと思う。外出時に異様に吐き気が出て、空咳をし始めたのは。長年の友人とご飯を食べに行ってるのに、心がおぼつかなくなっては吐き気をごまかしていた。自分でもこの正体が何なのかわからなかったから、相談もできなかった。でも、今振り返ればカフェで気持ち悪くなった時に、うつと不安障害のスイッチの一段階目が入ったのだと思う。

その正体が明らかになるのはさらに後の話だ。まだ精神科や心療内科なんて選択肢は頭の中にはなかった。それが孵化して全身に毒が回った時、心が病むと人は生きながら死んでしまうのだと、ぼくは思い知ることになる。ぼくと同じようになってほしくない。だから、心身に異変を感じたらなるべく早く精神科や心療内科の門をたたいてほしい。

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