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相撲の面白さについて言語化してみた

突然ですが、皆さん相撲は観ていますか?

1月場所は琴ノ若が頑張っていますね!同じ「琴」なので、佐渡ヶ嶽部屋の応援にはより熱が入ります。笑

今はアメリカにいて時差もありなかなか相撲観戦ができていないのですが、実は私はイタリアにいる頃から相撲が好きで、日本に住んでいた3年間は大阪場所はもちろん、両国まで何回も観に行ったりしていました。

私の詳しいプロフィールはこちらから。

「海外育ちなのになんでそんなに相撲が好きなの?」とよく聞かれます。
また、相撲が好きと言うと「格闘技好きの女子」みたいにカテゴライズされることもありますが、私は格闘技(プロレス?RIZIN?その辺もよくわかっていない)に関しては全く知識がありません。

私は、相撲は日本人の美意識、すなわち日本の魂が集約された伝統文化だと思っています。相撲はスポーツでもあり文化でもある。この二つの要素を両立している、他に類を見ない唯一無二のものだと思います。


相撲の魅力とは?

相撲の魅力は色々あるのですが、強いて二つ挙げてみます。

究極の平等性

相撲はとても過酷なスポーツです。例えばレスリングや柔道など、他の格闘系のスポーツには階級がありますよね。相撲にはそれらに該当するものは存在しません。
炎鵬(身長167cm/体重101kg)や舞の海(身長171㎝/体重101㎏)のようないわゆる「小兵」と呼ばれる力士と、現役・横綱の照ノ富士(身長192㎝/体重176㎏)、少し前に引退した逸ノ城(身長191㎝/体重219㎏)や、巨漢・小錦(身長187㎝/体重285㎏)は、全員土俵の上では対等なのです。
番付、つまり実力のみが力士間の格差を生むのです。

相撲は必ずしも体が大きい方が有利だとは言い切れないのが面白みのひとつでもあります。小兵力士が、技術と俊敏さで大きな力士を倒すのを見ると、人間の可能性、あきらめない心、挑戦する心を教えられる気がします。

一方で、「がっぷり四つ」のような安定した相撲を見せてくれる大きい力士も魅力ですね。最近の力士で言うと、朝乃山などでしょうか。

(ルール外)美意識の体現

上記でも述べたとおり、相撲はスポーツと伝統文化の融合だと思います。力士たちは、スポーツアスリートとして結果を残すと同時に、日本文化の美意識を常に体現するように鍛えられているように感じます。

日本文化は、海外文化(一括りにしてしまいますが)と比較すると、「曖昧さ」があります。 例えば、「大丈夫」という言葉を一つとっても、それだけではYesなのかNoなのかよくわかりません。文脈や空気を読んだりすることも大切です。

その「曖昧さ」は相撲にも存在するように思います。
というのも、相撲ではもちろん、一通りのルールはあります。禁じ手などもあります。しかし、その明確なルール以外にも、「言わずもがなルール」的なものが存在します。これは、あえて書かなくてもみんなが共通認識で持っているような部分です。反対に、全てルールでガチガチに縛ったら、なんか、野暮ですよね。

これは相撲を見ていくとわかりますが、力士たちは勝った時も決して奢る事なく、ガッツポーズや笑顔などは見せずに、ポーカーフェイスを貫いています。負けた時もできるだけ悔しがらず、怪我をしても大袈裟に痛がったりもしません。これは、ルールブックには書いていないことです。

また、「変化」というものが相撲の技の中でありますが、「立合いで相手の攻撃を見て、相手の左側か右側へ体をかわすこと」(https://ja.wikipedia.org/wiki/変化_(相撲))です。
小兵力士が巨漢に立ち向かう際に、真っ向から勝負しても難しいので、すばしっこさを活用する、という感じで変化が使用されているケースが多いと思います。

しかしながら、横綱のような品位ある立場の者が、変化をするとブーイングが起こる可能性があります。変化はもちろん禁じ手ではありませんし、小兵力士のみが使って良い技、というわけでもありません。ただ、横綱には横綱の振る舞いが求められるということです。その振る舞いは具体的に何を指すのか?もちろん、ルールブックには書いていないことですが、例えば「真正面から対戦相手を受け止める懐の深さ」のようなものでしょうか。

相撲初心者にはなかなか伝わりづらい魅力かと思いますが、こういうところが単なるスポーツとは異なる、非常に興味深い点なのではないかと思います。

相撲が好きになった経緯

長年海外で暮らしたきた私は、日本語や日本文化を大切にしてきたつもりでも、どこか自分は日本人として欠けている部分があるのではないかと感じるときはたくさんありました。やはり、日本に住んでいる日本人と比べると知っていることも少ないし、文化について無知なのではないかという焦りのような感情があったのだと思います。

そんな中、ある意味外国人目線で日本を俯瞰しながら観察するうちに、相撲に惹かれていったのではないかと今は考えています。もちろん、相撲好きの両親の影響は大きいですけどね。

外国人が日本=寿司!サムライ!というように、私にとって、自分に欠けている日本の伝統文化の象徴として「相撲」という存在が身近にあったのかなあと思うんですよね。

遠くにいたからこそ、その価値をより認識できることって、よくあると思います。海外に出たら、日本のことが改めてよく見えて、良いところも悪いところも解像度が上がる。実際、日本に住んでいる日本人は日本の伝統文化の再認識や再評価になかなか至らないと思うんですよね。今から相撲観に行ってみよう!って、なかなかならない。
それは、イタリア人が「最後の晩餐」を一度も生で見たことが無いという人が多いのと一緒なんですよね。笑

皆さんもぜひ、相撲を観に行ってみてください。灯台下暗しだったなあ、と感じると思いますよ!

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