和歌・桜に心奪われずにはいられない
「世の中に絶えて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし」
古今和歌集・在原業平
(この世の中に桜がなかったのなら、人々の春の心はのどかなものであるだろうに)
毎年、桜の季節が近づいてくると
花が咲くのは今か今かと
人々の心はせわしなくなる。
いざ花が咲くと
なんて綺麗なのだろうと魅了され、
人々の心は浮き立つ。
桜の命はとても短いので、
散り始めると
人々は名残惜しさに
まだまだ散らないでくれと哀願する。
桜の花がなければ、
人々の春の心は
もっとのどかで落ち着いていられるのに…。
こんなにも人々の心を揺り動かす
桜という花は、
あの儚げな美しさの中に
とてつもない魔性性を秘めている気がしてならないよ。
それでも毎年春が来るたびに、
桜に心を奪われずにはいられない。
もちろん、今年の春も。
切なくなるほどに、桜は美しい。
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