和歌・この国は言霊の栄える国

「しきしまの大和の国は
言霊（ことだま）の幸（さきわ）う国ぞ
ま幸（さき）くありこそ」
万葉集 巻13・3254

（この国は、言霊が豊かに栄える国。
どうかこの言葉の力を借りて、
ご無事であってください）

日本には、言葉には力があるという
言霊信仰が根強くある。

良い言葉を言えば良いことが起こり、
悪い言葉を言えば悪いことが起こるという、
言葉にはその通りに実現させる力があると
信じられている。

まさに歌も、言霊の力を借りたものの一つ。
言葉に自分の思いをのせて、祈る。

わたしは、
古代から現代に至るまで
人々がどんなことを思い、考え、感じて
生きてきたかに思いを馳せることが好き。

いにしへの人びとの心に触れる中で
もっとも美しいと感じるのは、
人が祈りを捧げる心。

わたしもここで
想いを言葉にして日々祈っている。

どうかこの場所が、
あなたにとって美しい場所でありますように。