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和歌・花びらが散るほどにあなたを抱きたい

「足柄(あしがり)の箱根の嶺(ね)ろの和草(にこぐさ)の
 花つ妻(づま)なれや紐解かず寝む」
 巻14・3370

(あなたは足柄の箱根の嶺に生えている和草のような、花つ妻でしょうか。花のように美しいけれど、見るだけで、この手で抱きしめることができない人。わたしは着物の紐を解かずに寝ます。)


わたしの目の前で
ただ優しく微笑むだけで、
決して触れることのできないあなた。


あまりの美しさに、侵しがたいあなた。


こんなにも愛おしいのに、
すこし離れた場所から
眺めることしかできない。


あなたは花なのでしょうか。



わたしは着物の紐をとかずに寝ます。


抱きしめたら
壊れてしまいそうなあなただから‥。


けれども本当は
この手で
あなたを激しく抱きたいのです。


その花びらが散り、乱れるほどに。


守りたいけど、壊したい‥…。


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