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和歌・憎からず思っているあの子

「里垣の言寄せ妻(ことよせづま)を
 荒垣(あらかき)のよそにや我が見む
 憎くあらなくに」
 万葉集巻11・2562

(世間の人が噂をして結びつけようとするあの子を、離れた場所からわたしは見る。憎からず思っているのに…。)


人が噂をして結びつけようとするあの子に、
かえって近づけなくなってしまった。

離れた場所から
そっと見守ることしか
できなくなってしまった。

わたしは憎からず思っているのに…。


人が噂をして、
近づけなくなってから気付く。

あの子に対する恋心が
自分でも気づかないうちに
この胸の中に少なからずあったことを。


二人の関係を
興味本位で誰にも触れられたくなかったよ。



なにを今さら、
わたしはあの子を想っているのだろうか…。

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