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#11 亡き父が母と手をつなぎ、一緒に天国への階段を登っていった話

この連載は、長年生きづらさを抱えていた私(KOTOBUKI)が、セラピストのKANNA(かんな)さんとの出会いをきっかけに、初めて自己の内面と深く向き合い、本来の魂の道を生き始めるまでの完全実話の手記――。

サイキック能力のあるKANNAさんに、成仏できていない母・H子と直接話をしてもらったことで、負の感情の浄化が一気に進んだのが前回のお話↓↓

すでに20年前に亡くなっている父は、母がいつまでも成仏できていないことをどう思っているのか? そのことが気になっていると、KANNAさんのほうから父の状況について教えてくれた。


母を迎えに「おーい」と呼ぶ父


「KOTOさんのお父さんって、だいぶ前に亡くなられていますか?」

「はい、亡くなってから22年になりますかね」

「そうなんですね。お父さん、亡くなられた後、お母さんのことがずっと気になっていたみたいで、お母さんが見える下のほうまで降りてきているんですよ。今、『おーい、おーい』ってお母さんのことを呼んでいます(笑)」

「ええ、そうなんですか!!」

私は、父が「母のことをずっと気にしていた」と聞いて、ちょっと心がゆるんだ。なぁんだ、母を見捨ててどっか行っちゃったわけじゃないんだって、ホッとしたのだ。

それにしても、父の「おーい、おーい」の呼び声には、思わず手を叩いて笑ってしまった。父は生前、家族を呼ぶときに、よく「おーい」と言っていたからだ。

晩年、父が肺がんを患って自宅療養していたときも、「おーい、おーい、KOTOちゃーん。お茶を持ってきてくれや」と、しばしばお呼びがかかった。あ、マジでうちの父親が来てるわ、と目に浮かぶようだった。

KANNAさんはこう続けた。

「お父さん、お母さんが来るのを待っているみたいですね。ちょっと気になったので視てみたんですけど、お父さんは、お母さんが抱えていた寂しさとか悲しみについては、まったくわかってなさそうなんです。

なので、今、お父さんに『成仏できていないH子さんの心を癒すためにも、この黒い感情の塊を見てもらってもいいですか?』と聞いてみたんですね。そしたら、ニコニコしながら『それはいらね!』って、パシッと手を横に振って断られました(笑)」

「ヤダ~うちの父、軽快に断りそう(苦笑)」

「お父さんって、俺は俺、人は人って感じで、結構、はっきりした性格の方じゃないですか?」

「そうです、そうです! 実はうちの父、自分で会社を立ち上げて社長をやっていたんですけど、まさに我が道を行くタイプだったんですよ。だけど、もう少し母の気持ちに寄り添ってくれてもよかったんじゃないかと思っちゃう……」

「うんうん、そう思っちゃいますよね。ただ、成仏して上の世界に行くと生前の人間らしい感情が薄れていくので、よりあっさりしちゃうのはあるかもしれません」

なるほど……。もともとあっさり塩ベースの性格なのに、さらに人間的な感情が薄れたら、“塩辛対応”になるのも致し方ないか、と思えた。

でも、終始ニコニコしながら母のことを待っていると聞いてホッとしたし、父らしいなと懐かしさを感じた。

すると、KANNAさんは、

「お母さんとはだいぶお話して、重い気持ちが抜けてきたところなんですけど、あと少しだけ重さが残っているので、それは今、私のほうで浄化しますね。その後、お父さんが居るところまで連れていくことにしますね!」

と、目をつむった。
母が抱えていた、膨大な負の感情をあっという間に浄化してくれたようだ。

このときの、母を成仏してもらう瞬間の記憶が、なぜだかほとんど残っていない。自分にとって、ものすごく大事な出来事のはずなのに、ぼんやりとしか思い出せないのだ。なんとも不思議で、ちょっと悔しい気持ちもある。

亡き父と母が22年ぶりに再会


KANNAさんのおかげで、母はスーッと上がっていき、無事に父と会えたという。

父が亡くなってから、22年ぶりの再会は、いったいどんな感じだったのだろうか。母はどんな気持ちだったのだろうか……。

KANNAさんに聞いてみたらよかったが、そのときの私はまったく余裕がなかったようだ。

いろんな感情がこみ上げてしまったのか、子どもみたいに泣きじゃくっていたらしい。

ここでも、泣きじゃくっていた記憶がなくて、後日KANNAさんから「KOTOさん、小さな子どもみたいに嗚咽していましたよ」と聞いて、驚いた。

おぼろげな記憶をたどると、そのとき私は、一瞬にして子ども時代の自分に戻ったんじゃないかと思う。

父がいて、母がいて、子どもの私がいる。

2人ともすでに死んでいて、姿形は見えないけれど、そのとき、“家族”として一緒に居る感覚が確かにあった。

父に対して、母に対して、「もっとこうしてほしかった」とか、「本当はもっと甘えたかった」とか、いろんな感情が無意識にこみ上げて、涙があふれ出てしまったんじゃないかと思う。



KANNAさんは、そんな私の様子をただただ、じっと見守ってくれていた気がする。そのときの、あたたかい目線とか、空間だけはしっかりと覚えている。

サロンの部屋全体が、ほんわかと光に包まれている感覚。現実世界と見えない世界とが入り混じっている、不思議な感覚もあった。

父と母に、最後のお別れのあいさつ


父が母を連れて、今まさに、天国の奥のほうへと上がっていくとき、私は「ちょっと待ってください!」と、待ったをかけた。ここからは、不思議と少し記憶が残っている。

「KANNAさん、私、一つ心残りがあるんです。父が亡くなる前に、私、父に対して感謝の気持ちを言えなかったんですよね。なので、一言、父に伝えてもいいですか? あと、母にも最後のお別れをしたいです」

「もちろん! いいですよ。話しかけてみてください」

「ありがとうございます! じゃあ、失礼して」

私は、父がどこに居るかわからないので、とりあえず、上のほうに顔を上げて話しかけてみた。

「パパ、わかる? 私だよ! パパが亡くなるときに言えなかったんだけどさ……私のこと、生んでくれて、育ててくれてありがとうね」

すると、KANNAさんは父からの返事を即座に伝言してくれた。

「なんかね、お父さん、すごい照れているんですけど……(笑)。『かわいい娘だった。家のこと、よくやってくれた。頑張ったな』って言ってますよ」

「そうですか。私もすんごい気恥ずかしいです。じゃあ、母にも一言伝えますね」

私は母に向けて、最後のお別れのあいさつをした。

「ママ、今まで本当にありがとう。元気でね。じゃあね、バイバイ」

母親に対しては、なんだか照れ臭くて、カジュアルな一言に終わってしまった。

すると、一拍おいて、KANNAさんからこう返ってきた。

「お母さん、KOTOさんに向けて、『かわいい娘だったわ。あなたも元気で頑張るのよ! あなたは私のようにはならないでね』って言ってます(笑)」

私は、「なるか~い!」と、心の中で芸人ばりの大きなツッコミをした。

でも、母からの「元気で頑張るのよ!」の言葉には、すごく励まされた。命の残り時間を思いきり楽しもうと、元気が湧いた。

父、母を連れて天国への階段を登る


すでに死んでいるはずの両親とこうしてまた話ができるなんて、想像もしていなかった。これって、奇跡なんじゃないかなって。

特に父の登場は思いがけないサプライズだった。

「お父さん、今、お母さんの手を引いて、一段、一段、階段を上がっています。2人とも笑顔ですよ」

KANNAさんは目をつむりながら、そう言った。

私もなぜだか2人の様子が手に取るようにわかった。天国への階段を一段ずつ、登っていく姿を。

ああ、もう行っちゃうんだな。もう会えないんだな……。

両親が天国に行くのはうれしい反面、「行かないで!」って思いも湧いた。

たぶん、私はそのとき、泣きじゃくっていた。



これで父と母と、本当のお別れだ。

一瞬でも話せたことが、家族に戻れたことが、あり得ないことで奇跡なんだけど、もうこの時間は二度と戻ってこないんだって悟った。

ならば、生きているうちに2人ともっと話しておけばよかったんだけど、もうその時間は二度と帰ってこない。2人は今度こそ、遠いところへ行ってしまう。

だからこそ、私は寂しかった。

「行かないで!」って叫ぶ子どもの私と、「行ってらっしゃい」という大人の私の気持ちが混じり合う。

私もKANNAさんと一緒に目をつむった。

そして、2人に向かって、

「ありがとね……さようなら。私、一生懸命、生きるからね」

そう、胸の中で伝えた。

私は、父と母が肩を寄せ合って、一段、一段、光のほうへと上がっていく姿を見届けた――。



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