コトバのゲンバ(中日新聞校閲部)

記事を書かない新聞記者「校閲記者」のnoteです。中日新聞校閲部の記者たちがコトバと奮…

コトバのゲンバ(中日新聞校閲部)

記事を書かない新聞記者「校閲記者」のnoteです。中日新聞校閲部の記者たちがコトバと奮闘するゲンバを伝えます。 内容は十分に精査することを心がけますが、会社や部の公式見解ではないことをご承知ください。

マガジン

  • 『記者ハンドブック』と校閲

    共同通信社が発行し、中日新聞社も準拠している新聞の用語集『記者ハンドブック』。校閲に限らず、中日記者必携のこの用語集を紐解きます。

  • 校閲記者の「ほぉ~ワード」

    中日新聞本紙で月イチ連載の言葉のコラム「ほぉ~ワード」。派生調査企画の「ほぉ~げんワード」と合わせて、これまでの記事や舞台裏をまとめました。

  • きっかけの話

    「校閲記者になりたい!」と思ったきっかけの話をまとめています。同じ職場で働いていても、そこにたどり着くまでの道のりは十人十色です。

  • 中日ドラゴンズと校閲

    中日新聞校閲部には熱狂的なドラファンが多くいます! ドラゴンズの記事を担当するときは、より赤鉛筆を持つ手に力が入ります。

  • ポッドキャスト出演回まとめ

    中日新聞ポッドキャスト「あしたのたね」に校閲記者が出演しました!普段は中日新聞Webと各音声プラットフォームで配信していますが、コトバのゲンバをフォローしてくださっている皆さんにぜひ聞いてほしいと思い、出演した回をnoteでも配信することにしました。ぜひお聞きください。

最近の記事

紙面の常連?「決まりもの」

当たり前の話ですが、日々の新聞には政治、経済、事件・事故などさまざまなニュースが載っています。そのため同じページを開いたとしても毎日全然違う見た目をしています。 一方で、毎日決まってだいたい同じ場所に掲載されるものもあります。それが「決まりもの」です。もちろんこれらも僕たち校閲記者がチェックしています。今回は紙面の「常連」である決まりものを紹介します。 季節によってさまざま 「首相の一日」や「中日春秋」など季節に関係なく毎日掲載されているものもありますが、多くはその季節

    • 年齢はしごを上り下り

      「♪ハッピバースデートゥーユー」 「え?」 「今日誕生日でしょ?」 「明日だけど」 「ほ……♪法的にートゥーユー」 何を言っているのでしょう。 実はこの人の歌っている通り、法的には年を取るのは誕生日の前日と定められています。このため、小学校に入学するのが最も若い子は3月31日ではなく4月1日生まれの子であり、選挙権や被選挙権の年齢は投票日ではなくその翌日を基準にします。 今年2024年は2月29日が存在するうるう年。「4年に1度しか年を取らないから僕は15歳だよ

      • 記事をチェックするコツ、紹介します

        中日新聞に入社したとき、校閲部長から配られた資料の中に「注意 間違いのパターン」なるものがありました。 新聞校閲をする上で注意すべきポイントがまとめられています。 文章を書く上でもお役に立つことがあるかもしれません。いくつかご紹介します。 ※以下、間違いの数字や人名、描写は実例を基にしたフィクションです 1月31日午後9時。 夜ご飯を食べ終え、コーヒー片手に2月1日付朝刊の記事を一生懸命校閲しています。 ①日付 ある原稿に事件の発生時刻が「2月1日午後2時」とあ

        • 方言調査企画「ほぉ~げんワード」の舞台裏

          方言調査企画の「ほぉ~げんワード」が始まって早3年。 気づけば7回目です。 うち3回は私が気になったテーマについてアンケートをとりました。 下のリンクはその一つで、最新の企画です。 校閲といえば、「記事を書かない記者」。 そんな中でほぉ~げんワードは、アンケートをとり、結果を集計し、紙面のみならずウェブ限定の記事も掲載する、校閲部員にとってはちょっと異端な企画です。 今回は、このほぉ~げんワードの執筆過程についてお話します。 まずは題材 初めに題材を探さなければ始まりま

        紙面の常連?「決まりもの」

        マガジン

        • 『記者ハンドブック』と校閲
          6本
        • 校閲記者の「ほぉ~ワード」
          8本
        • きっかけの話
          6本
        • 中日ドラゴンズと校閲
          5本
        • ポッドキャスト出演回まとめ
          3本
        • 校閲記者の仕事道具
          4本

        記事

          今まで書いたことばのコラムまとめ2023

          中日新聞教育面で月1連載中のコラム「校閲記者のほぉ~ワード」。思わず「ほぉ~」と言ってしまうような言葉の話題を取り上げています。 2023年の記事をまとめました。中日新聞Webにて無料でお読みいただけます。登録も不要ですのでぜひリンクからどうぞ!👇 「着陸体勢」「着陸態勢」どっちを使う? 新聞の漢字「着陸体勢」から「着陸態勢」へ。中日新聞が準拠する共同通信社発行の『記者ハンドブック』では2022年から表記が変更になりました。用語が改められる背景を、共同通信社の用語担当者へ

          今まで書いたことばのコラムまとめ2023

          <読者の理解を助け、紙面を魅力的に彩る> 新聞社のデザイナーってどんな仕事? 同期に聞いてみた

          われわれ校閲部が所属している中日新聞社編集局には、社会部や経済部、運動部などさまざまな部署があり、そのうちのひとつに「デザイン課」があります。紙面に載せるグラフィックス(中日新聞では“CG”と呼んでいます)を制作している部署です。 実は、校閲部は新聞製作の上でデザイン課と直接やりとりをすることは少なく、どんなふうにCGが作られているのか詳しく知りません。そこで今回は、そんなデザイン課の仕事について話を聞いてきました。 部署の垣根を越えた対談記事の第2弾です! 【第1弾は

          <読者の理解を助け、紙面を魅力的に彩る> 新聞社のデザイナーってどんな仕事? 同期に聞いてみた

          野球とともにある校閲

          文を読む職業だから「校閲部員はみんな読書が趣味!」と思うかもしれません。実際そういう部員もいます。 そんな中、私の趣味は「野球観戦」。特に推しは中日ドラゴンズ。 幼いころは嫌で仕方なかった野球。ただの趣味から、「校閲」の役に立つようになった経緯をお話しします。 ▽憎くてたまらなかった野球中継関東在住の小学生だった約二十数年前、野球は私にとって悪夢でした。 1990年代といえばテレビの地上波で、ほぼ毎日19時から野球中継(特に巨人戦)をやるのが当然の時代。つまり、その時間帯に

          「分かる」から分からなくなる? 言葉と格闘する日々を通して鍛えたいもの

          校閲作業で励みになっている本の紹介をします。 ことばの基礎力『ふだん使いの言語学―「ことばの基礎力」を鍛えるヒント―』 (著・川添愛/新潮選書) 理論言語学を学んだ著者が〝「言語学って何の役に立つんですか?」という疑問に取り組んでみたい〟(p.5)と冒頭に述べるこちらの本。 教科書のように文法の解説が並んでいるわけではなく、虎の巻のように「これが正解!」と理想的(とされる)文例を紹介しているわけでもありません。 載っているのは、言葉に対してアンテナを張ったり言葉を分析し

          「分かる」から分からなくなる? 言葉と格闘する日々を通して鍛えたいもの

          【第3回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          中日新聞のポッドキャスト番組「あしたのたね」に校閲記者が出演しました! 普段は中日新聞Webや各音声プラットフォームで配信している番組ですが、今回は特別にnoteでも配信することになりました。全3回、校閲記者の生の声をぜひ聞いてみてください。 配信内で紹介したおすすめnote記事はこちら👇 ✑AIが作った文章を校閲したところ、気になる表現が…!校閲記者としてどう向き合うか、考えてみました https://note.com/kotoba_no_genba/n/n7fa9ac35a9a6 ✑僕が言いたいのは永遠 https://note.com/kotoba_no_genba/n/n1ec1979690d7 【出演】沓掛良(名古屋本社校閲部)、浅井弘美(MC、編集) ご意見・ご感想をお寄せください。https://bit.ly/3E7BG8n 「あしたのたね」のほかの配信はこちらから 🎧中日新聞Web https://www.chunichi.co.jp/corporate/podcasts 各種プラットフォームでも配信中! 🎧Spotify https://open.spotify.com/show/2KH6BTR1dAzB3JmhrdOIAR?si=88297b810bd14318 🎧Apple Podcast https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E4%B8%AD%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E-%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AD/id1654880851 🎧Google Podcasts https://podcasts.google.com/search/%E4%B8%AD%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%80%80%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AD 🎧Audible、Amazon music  https://amzn.asia/d/9sdwzEy ※公式X(旧ツイッター)https://twitter.com/chupodcasts

          【第3回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          【第3回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          【第2回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          中日新聞のポッドキャスト番組「あしたのたね」に校閲記者が出演しました! 普段は中日新聞Webや各音声プラットフォームで配信している番組ですが、今回は特別にnoteでも配信することになりました。全3回、校閲記者の生の声をぜひ聞いてみてください。 続きの第3回はこちら👇 https://note.com/kotoba_no_genba/n/n40f07f7e7a6f 【出演】沓掛良(名古屋本社校閲部)、浅井弘美(MC、編集) ご意見・ご感想をお寄せください。https://bit.ly/3E7BG8n 「あしたのたね」のほかの配信はこちらから 🎧中日新聞Web https://www.chunichi.co.jp/corporate/podcasts 各種プラットフォームでも配信中! 🎧Spotify https://open.spotify.com/show/2KH6BTR1dAzB3JmhrdOIAR?si=88297b810bd14318 🎧Apple Podcast https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E4%B8%AD%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E-%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AD/id1654880851 🎧Google Podcasts https://podcasts.google.com/search/%E4%B8%AD%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%80%80%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AD 🎧Audible、Amazon music  https://amzn.asia/d/9sdwzEy ※公式X(旧ツイッター)https://twitter.com/chupodcasts

          【第2回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          【第2回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          【第1回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          中日新聞のポッドキャスト番組「あしたのたね」に校閲記者が出演しました! 普段は中日新聞Webや各音声プラットフォームで配信している番組ですが、今回は特別にnoteでも配信することになりました。全3回、校閲記者の生の声をぜひ聞いてみてください。 続きの第2回はこちら👇 https://note.com/kotoba_no_genba/n/neb010dbdcc97 【出演】沓掛良(名古屋本社校閲部)、浅井弘美(MC、編集) ご意見・ご感想をお寄せください。https://bit.ly/3E7BG8n 「あしたのたね」のほかの配信はこちらから 🎧中日新聞Web https://www.chunichi.co.jp/corporate/podcasts 各種プラットフォームでも配信中! 🎧Spotify https://open.spotify.com/show/2KH6BTR1dAzB3JmhrdOIAR?si=88297b810bd14318 🎧Apple Podcast https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E4%B8%AD%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E-%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AD/id1654880851 🎧Google Podcasts https://podcasts.google.com/search/%E4%B8%AD%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%80%80%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AD 🎧Audible、Amazon music  https://amzn.asia/d/9sdwzEy ※公式X(旧ツイッター)https://twitter.com/chupodcasts

          【第1回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          【第1回】中日新聞ポッドキャスト 「あしたのたね」 鳥の目・虫の目でミスを逃さぬ 校閲記者

          「紙面の25%で勝負。大切なのはニュースの価値判断」 新聞製作の司令塔「整理記者」に話を聞いてみた

          私たち中日新聞校閲部のお隣に「整理部」という部署があります。取材記者が書いた記事に見出しを付けたり、レイアウトしたりし、新聞という商品の形に仕上げるところです。今回は校閲部をすこしだけ飛び出し、そんな整理記者の仕事について話を聞きました。 整理の「三つの仕事」で1番大事なのは…沓掛:(朝刊を作り終えた後の午前2時対談スタート)岩田さん朝刊お疲れさまです。よろしくお願いします。 岩田:緊張するなあ。お願いします。 沓掛:整理部は校閲部から見てお隣で、関わることも比較的多い

          「紙面の25%で勝負。大切なのはニュースの価値判断」 新聞製作の司令塔「整理記者」に話を聞いてみた

          6年目の校閲記者がポッドキャストに登場します。仕事の進め方やnoteを始めたきっかけ、おすすめの記事についてなどいろんなお話をしてきました。 作業や家事のお供にぜひ。 https://www.chunichi.co.jp/article/773457

          6年目の校閲記者がポッドキャストに登場します。仕事の進め方やnoteを始めたきっかけ、おすすめの記事についてなどいろんなお話をしてきました。 作業や家事のお供にぜひ。 https://www.chunichi.co.jp/article/773457

          地方紙の校閲記者ならでは? 仕事中に出合う「方言」

          名古屋で生まれ、大学・大学院の6年を除き、約22年を名古屋で過ごしています。そんな私にとって、中日新聞はずっと「地元の新聞」です。 現在、全国的なニュースを主に扱うページを担当しているため、常に地元のニュースを校閲しているというわけではありませんが、難読地名を元から知っていたり、記事に出てくる場所の位置関係を把握しやすかったり…と、出身であることが生きる機会は何かとあります。 ただ、校閲記者として数年勤めてみて、地元出身というのが必ずしもプラスになるとは限らないかも、とも

          地方紙の校閲記者ならでは? 仕事中に出合う「方言」

          数字表記で4苦8苦

          2023年9月に、中日新聞は数字の基礎表記を漢数字から洋数字に改めました。そこで今回は数字表記についてのお話です。 洋か漢か 一読、なんだこりゃと思うところがありますね。「九州」「一か八か」を洋数字で書く人はいません。上の例文を漢数字に直してみましょう。 …千九百九十八年? なじみのない表記です。一九九八年ならしっくり来ますね。このように漢数字表記はさらに単位語の有無に分かれます。中日新聞ではかつて、身長は「一八〇センチ」、「100%不可能」は「百パーセント不可能」と表

          お便りのミスを見つけて職員室へ向かった少年。バイトでみつけたのは天職

          中日新聞校閲部は、実はたくさんの学生アルバイトさんに支えられています。 そしてアルバイトをしていた経験から、校閲記者になったという社員も何人もいます。今回はバイト出身の2人が少し昔のことを思い出しながらいろいろ話してみました。 黙々と作業するのが好きな人におすすめ沓掛:長沼くんは北陸本社※で校閲のバイトしてたんだよね。どうやってこのバイトのこと知ったの? ※金沢市にある、中日新聞社の本社の一つ。石川と富山向けに北陸中日新聞を発行している。 長沼:大学の友達の紹介です。高

          お便りのミスを見つけて職員室へ向かった少年。バイトでみつけたのは天職