校閲記者って?記事を書かない新聞記者がnoteを始める理由
はじめまして。コトバのゲンバをご覧いただきありがとうございます。
このnoteは中日新聞校閲部の記者たちが運営していきます。
今回は校閲記者という仕事の紹介と、noteを始める理由を説明します。
記事を書かないのに新聞記者?
突然ですが「新聞記者」というと、どんな人を思い浮かべますか?
取材をして、ニュースの記事を書く人というイメージではないでしょうか。
しかし新聞社には、会社の外に出ず、記事を書かない記者が存在します。
それが私たち校閲記者です。
校閲とは
「校閲」という言葉になじみがない方も多いことでしょう。
広辞苑を開くと「しらべ見ること」。
単に見たり読んだりするだけでなく、ことばの使い方や内容に間違いがないか確認するのが校閲です。
簡単に言えば新聞の点検です。
出版社などにも校閲の部門があり、私たちの仕事も大きくは変わりません。
新聞の編集に関わっているので、校閲であると同時に新聞記者でもある、ということで「校閲記者」と呼ばれます。
校閲するのは主にニュースの記事です。読者に正確な情報を伝えることがニュースの役割です。
そのため、言葉としてふさわしいかという観点以外に、「伝わるか」という点からも校閲するようにしています。
また、事実と異なることが書かれていないかにも目を光らせています。
具体的には、固有名詞や数字、時系列などの誤りです。これはニュースの大前提なので、力を入れています。
ただ、外に確認しに行く時間はないので、官公庁の発表資料や過去の記事、辞書、インターネットなどを駆使します。
かっこよく最近の言葉でいうとファクトチェックとも言える仕事です。
noteを始める理由
なぜ、裏方である校閲記者がnoteを始めるのか。それは、新聞記事の品質がどう保たれているのか、説明が足りていなかったと思うからです。
ハウスメーカーは家の耐震性をテストした映像を公開しています。
食品メーカーは原料が無農薬で育てられたことなどをパッケージに表示しています。
みなさんの手に届く前の舞台裏を見せることが、商品の信頼や価値につながっているのだと思います。
新聞も家や食べ物と同じ商品ですが、私たちは、どんな人がどんな仕事をして新聞の品質を保っているのかを積極的に発信してきませんでした。
ネットやテレビがある現代で、新聞は多くの情報源のなかのひとつに過ぎなくなりました。かつてのようにみんなが手に取るものではありません。
新聞社が提供する商品を信頼してもらうために私たちができることは何か。考えた結果が、自分たちからこのnoteで発信していくことです。
校閲記者の現場を知っていただく機会になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
紙面で連載中のことばのコラム「校閲記者のほぉ~ワード」はこちらから。