32 状況判断-大きな3つのセグメント
本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。
基礎編
【「究極の状況判断プロセス」の基本ロジック】
32 状況判断 - 大きな3つのセグメント
自衛隊や米軍で利用されている計画策定に先立つ状況判断プロセスには、概ね共通して大きな3つのセグメントがある。究極の状況判断プロトコルでは8つの具体的な段階を設定し、3つのセグメントに、それぞれいずれかが該当する形をとる。
導入編「本当の「状況判断」に必要なモノ」でも触れた通り、その3セグメントは、
1.概ねの方向性を定める
2.詳細の条件整理・提示
3.分析・最終判定
となる。一見、何の変哲も無い一般的なプロセスであり、特段の特徴は無い。だが再三強調してきたように、これはリーダーとスタッフが対話を行いながら作業を進めるために定義された組織共通プロセスで、計画策定に先立ってリーダーが方向性を決心(決断)できるようにするためのプロセスである。この点の理解が大切となる。
「1.概ねの方向性を定める」では、①ミッションの確認、②状況の分析・提示、 ③インテンションの確立の3つのステップを行う。更なる詳細は後述するが、文字どおり、まずは概ねの方向性を打ち出していくセグメントである。不透明・不確実な状況の中にあって、まず一番最初に行う3つのステップだ。
「2.詳細の条件整理・提示」では、④情報見積りの提示、⑤行動方針の列挙と整理、⑥ロジスティクス見積りの提示の3つのステップを行う。敵方となる環境やライバル会社の状況などの今後の出方について、シナリオを整理していくのが④(参考:「ロシア軍の今後の行動を「究極の状況判断プロトコル」でサクッと検討してみた」)となる。
次に自分達のチームや会社にとって、①で確認したミッションを達成するために採用可能な行動オプションを作り上げていくのが⑤、その制約事項を明らかにするのが⑥となる。
「3.分析・最終判定」では、⑦行動方針の分析・検討、⑧行動方針の判決と補備的検討の2つのステップを行う。⑤で案出した行動方針を、④の情報見積りで出した相手方(敵方)の幾つかの行動パターン(「敵の可能行動」と呼ばれる)と掛け合わせ、シミュレーションを行うことで戦いの様相を明らかにしていく。
その上で、⑤で案出した幾つかの行動方針案の優劣を判定するために必要となる、勝敗を分けるポイントを見出していく。加えて⑥で明らかにしたミッション達成のための各種制約事項をも踏まえ、ミッション達成のための優劣判定のための評価要素を決定する。
最終的に、スタッフはリーダーに対して、リーダーのインテンション(意図)に沿った形でミッションが達成できる最も確からしい行動方針案についてステートメントを作成し、リーダーはそれを採用するか否かの決心(決断)をする。この際、不透明・不確実であることを考慮して、現段階で検討できていない点や、じ後に変更の余地がある事項について、スタッフに対して「補備的検討」を指示する。
上記の3つのセグメントの①〜⑧のステップには、それぞれ規定のプロトコルがあり、詳しくは今後解説を試みるが、この8つのステップの理解を深めるために、それらを6つの基本的な段階で捉えると更に理解が容易となる。
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マガジン:
想定外を克服する「究極の状況判断力」(導入編)
想定外を克服する「究極の状況判断力」(基礎編)