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ジャズのアドリブができるようになる方法


ジャズのアドリブってどうやってするの?

アドリブって調べてみたら
『自由に』、『好きなように』という意味だった。
『自由に』、と言われても困りますよね。


二種類のアドリブパターン

実はジャズ音楽におけるアドリブというのは
大きく分けて二種類に分けられるんです。

それが

  • 実は自由ではないパターン

  • 本当に自由なパターン

本当に自由なパターンもありますが
こちらはかなり高度な音楽的知識
音楽的教養が必要になってきます。

アドリブは誰でもできる

しかし、自由ではないパターンは誰でもできるんです。

なぜならルールが決まっているから。

ルールが決まっているなら覚えればいい。
練習すればできるようになる。

というわけ。

では、そのルールとはなんなのか?

大きなルール

大きなルールは簡単。

  • 音楽の基本的な約束を守る

  • フレーズパターンを覚える

音楽の基本的な約束を守るとは
調合、拍数、共有しているリズムなど。

当然のことですね。

(初心者は)4拍子の曲でアドリブするのにワルツではいけません。

(初心者は)ハ長調の曲なのにホ長調でアドリブしてはいけません。

小さなルール

実は小さなルールにあなたがやるべきトレーニングが詰まっています。

大きなルールに出てきたフレーズパターンを覚えるということ。
これは一体どういうことなのか?

実は一般的に知られているジャズの曲は
このフレーズパターンを組み合わせることで成立しています。

『なんかジャズっぽい』って思うことありますよね。
それはジャズっぽい決まったパターンの組み合わせを演奏しているから。

一方で
『えっ?!これもジャズなの?』
と疑問に思うパターンもありますよね。

それは本当に自由なパターンで演奏しているか
もしくは
プロや上級者が大きなルールから外れて演奏しているから。

プロや上級者を目指す方であっても
まずはルールに従う『実は自由ではないパターン』と
大きなルールで出てきた『フレーズパターンを覚える』

この二つに絞って方法で習得していきましょう。

具体的な学習方法

まずはジャズ音楽の基本的な構成パターンの最小単位
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのスタイルを身体に叩き込まなければいけません。

この楽典に関して学ぶ前に
まずはジャズ音楽を構成する重大な要素を確認しておきましょう。

ジャズで重要な3大要素+3つの形式

ジャズでは楽曲を分析する際に重要となる要素が3つあります。

  1. その曲の調

  2. テンポ

  3. リズム

その曲の調を"Key(キー)"
または "Tonic(トニック)"と呼びます。

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テンポのことはテンポですが
稀に"BPM"と呼ぶ人がいます。
これはその曲の雰囲気を伝えるための
明確なメッセージであることが多く
主なメッセージとは
『決して走らないように(テンポが速くならないように)』
『機械的な意識を持って最後まで無機質に演奏しよう』
などの意味が含まれます。

リズムは4ビートなのか、8ビートなのか、ボサノバなのか、ラテンなのか。

ジャムセッションなどでは主にこの4種類から選択されます。

これに加えて形式とはフォームのこと

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重要なものは次の3点

  • ブルース

  • 循環

  • 一発モン

この4単語だけで曲が完成?!

この3つの要素と3つの形式がわかっていれば、こんな会話が成り立ちます。

『Key F、4ビート、ブルース、テンポ100で』

この4つの言葉だけで
次の瞬間ワン・ツー・とカウントがはじまっても
ジャズミュージシャンは何十分も演奏を続けることができます。

すごい!?
そんなことができるの?
と驚かないでください。

この4つの言葉だけでできるということは
それだけ合理的に構成された音楽であるということ。

特別な才能や特殊なスキルは何一つ必要ないことを表しているんです。

如何にジャズ音楽というのが
形式とルールを重要視しているかがわかると思います。

ジャズ音楽の骨となるⅡ(m)-Ⅴ-Ⅰの解説

ジャズ音楽を少しでも学んだことがある方はⅡm-Ⅴ-Ⅰ(ツー・ファイブ・ワン)という言葉を頭が痛くなるほど聞かされてきたと思います。

またかよ・・・

と思わずに
このⅡm-Ⅴ-Ⅰこそがあなたが覚えるべきフレーズ集の基礎になります。

先ほど登場したKey、Tonicとはその曲の調のこと。

例えばわかりやすくハ長調(Key C)で解説していきましょう。

ジャズでは音名を英語で表現します(関連無料記事準備中)

Tonicとはその曲の調のことですから、ここではC。

では、Ⅱm-Ⅴ-Ⅰは?

これは度数で表します。

Tonicから2度上の音はD(m)でしたよね?

(関連無料記事準備中)

では5度(完全5度)は?・・・
Gになります。

つまりTonic Cに於いてのⅡm-Ⅴ-Ⅰとは、D(m)→G→Cとなります。

ここで出てくるmってなんだよ・・・

はい。

mはマイナーのこと。
メジャーのことはmajと表記したり、表記しなかったりします。

(関連無料記事準備中)

度数の記事をしっかりと読み込んで
どのTonicでもすぐにⅡm-Ⅴ-Ⅰが瞬時に出てくるように
まずはトレーニングしてください。

【例題】

Tonic E♭のⅡm-Ⅴ-Ⅰは?

ローマ数字の魅力

スタジオのコラムでも紹介していますが、ローマ数字を覚えると、曲が突然転調してもすぐに頭の中で移調することができます。

ここら辺はジャズ屋さん(ジャズミュージシャンのこと)は本当に早い。
クラシック音楽出身の人が移調するのに何分もかかるところを
ジャズ屋さんは即時です。

それは常に楽曲をローマ数字で見ているから。

知識ではなく智慧を学ぶことが如何に大切かがわかると思います。

塾長:こうたろうの個人コラム(別アカウント)も参照してね!

フレーズ集を紹介と練習方法

ツーファイブワンのフレーズをググったり
本を買ったり
時には有名ミュージシャンの演奏をコピーしたり

というよりも、最後の有名ミュージシャンの演奏をコピーという方法しかそもそもありませんでした。

よく昔のジャズミュージシャンに苦労話を聞くと
レコードがすり減るまで聞いた
テープが千切れるまで聞いた

なんて話を聞くと思います。

何を隠そう筆者も
テープレコーダーが壊れるまでコピーしたことがあります。

この方法が優れている理由はプロのミュージシャンの

  • リズム感

  • 音のタッチ(質感)

  • 細かいニュアンス

も体得できるという点。

書籍やネット上の音符だけ追っていては
細かいニュアンスまで体得することは難しいです。

おまけにそれこそテープがすり減るまで集中して聞くことで
ほぼ絶対音感を手に入れることができます。

10代のうちは
絶対音感とは生まれ持った才能である
と思う方もいるかもしれませんが

絶対音感はトレーニングで手に入れることができます

こういうトレーニングを繰り返していると、街で流れてくる音楽だって
すぐに頭の中で楽譜になったりします。

とはいえもう少し近道したいよ・・・
という方は、演奏と書籍の組み合わせがおすすめ。

コピーこそがジャズ習得の最短距離である
という認識は全世界のジャズ屋さんの共通認識です

  • ツーファイブワンのフレーズ集

  • 名演奏家のアドリブを楽譜にした本

  • おすすめのアドリブ演奏

などはジャズの定番教材として長く確固たる地位を築いています。

ではここで音楽家育成サロンのおすすめを紹介していきましょう。

おすすめのコピー用アドリブ演奏

次の基準で絞っています。

  • 親しみやすいフレーズ

  • 音符にしやすいシンプルな演奏

  • 楽譜が手に入りやすい

ピアニスト

Bill Evans Omnibook for Piano

ビルエバンスはジャズピアノの歴史の中でも重要人物の一人。
とても美しいボイシング(和音)とメロディックなフレーズが印象的です。

参考音源や参考資料が手に入りやすい点がポイント。

この書籍に収録されているほとんどの曲は
YoutubeやAmazon Musicなどで視聴可能です。
必ずビルエバンスと一緒に演奏してください。

例えばビルエバンスの枯葉は
もう全世界のジャズピアニストが一度は通っているかも?
みんな演奏できます。

次にもう一人だけどうしても絞っておきたいのがこちら。

Bud Powell Omnibook

バドパウエルはジャズピアノ史の最重要人物といってもいいほどの巨人。
こちらも必ず音符だけではなく、演奏と一緒に練習してください。

彼のリズム感、音の質感を体得することはとても大切なこと。

オスカーピーターソンも偉大ですが、その前に
まずはバドパウエルがおすすめです。

管楽器

ソニーロリンズはサキソフォーンのコピーにはもってこい。

ソニーロリンズは8分音符中心のソロを展開してくれるので
とにかく音符を追いやすいのが特徴。

有名なセントトーマスをまずは聴音してみて。

テンポもゆったりしていて、音符も簡単で一緒に演奏もしやすいです。

アートペッパー(Art Pepper)も親しみやすいメロディーでおすすめなので押さえておいてください。

少しディープなところを攻めるならリーコニッツ(Lee Konitz)にトライしてみてはいかがでしょうか。

上記の二人と比較すると、なんだか取っときにくいな・・・
と感じることもあるかもしれません
リーコニッツの音楽性はピアニストでいうところの
レニートリスターノなんかの美学と共通する点があり
ジャズの中級者以降になってくると
急に魅力的に感じてきたりすることがあります。

今はコピーしなくてもいいですが、ジャズの教養として是非知っておいてほしいアーティストです。

ドラム

ジャズドラムのフレーズをコピーするならやはりジミーコブがおすすめ。

伝統的且つオーソドックスなスタイルは古くからNYのジャズファンの間で
愛され続けています。

ウイントンケリーとのジャズピアノトリオは特に有名。
ピアニストの方もこのトリオ是非コピーしてください。


本当に自由なパターン

本当に自由なパターンを追い求める
アドリブスタイルは少し哲学的な話になります。

自由に演奏するとはなんでしょうか?

あなた自身の意思に則って?
何かの演奏スタイルに則って?

あなたという自我を持って、意識を持って演奏に臨むということはなんらかのフォーマット、それは社会かもしれないし、自我かもしれない。
形式にとらわれている状態です。

どこまでそれを切り離せるか?
それが自由への道。

つまりジャズというフォーマットを追い求めている時点で自由な演奏はできません。

ジャズという船の上で自由に演奏することは可能です。

しかしジャズという船から海に落ちた時
命が助かりたい
船に戻りたい
とあなたが思った瞬間、その自由な表現はなくなります。

船から落ちないようにする意識も自由を阻害します。

そういった哲学を考える、追求するジャンルを
インプロビゼーション
フリーインプロビゼーション
と言います。

この文化はアメリカで誕生したジャズ音楽がヨーロッパを渡り、ほぼ同時多発的に発生した文化が軸となっています。

例えばエバン・パーカーという方はフリージャズスタイルの巨人であると同時に、アメリカのデイブ・ホーランドなどと共演したりもします。
伝統的なジャズのスタイルがベースにあることは間違いないですが
そのフォーマットからどこまで、そしてどうやって解放されるのか?
自由になるのか?

彼らは日々追い求めています。


本当の自由とは

自由な演奏、自由なアドリブに必要なこと。
それはルールや知識をちゃんと勉強することにあります。

日本で自由に暮らしている人は誰ですか?
日本の法律を熟知している人です。

世界で本当の意味で自由に生きている人は誰ですか?
世界の暗黙のルールを熟知している人です。

あなたがルールや情報を持つことなく
自由に海外に出かけても
強制送還されるかなにかの犯罪被害に巻き込まれるか
そもそも入国できないか。

ジャズのアドリブも同じ。
『私は本当に自由なパターンでやりたいんだ!』

と思うのであれば
音楽の理論、知識、そしてルールをしっかり学びましょう。

そしてフォーマットをしっかり守った伝統音楽としてのジャズを学ぶ場合も然り、基礎をしっかり。

基礎にはじまり
基礎を通し
基礎に終わる

基礎の積み重ねでしか音楽を体得する道はありません。



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