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「教える」には、知識と想像力が必要

 大学生から大学院生までの6年間、僕は塾講師として働いていた。本業は学生であるから、プロとはいえないが、小学生から高校生まで様々な年齢の生徒とコミュニケーションをとってきた。
 大人になってからは、仕事上パソコン操作やインターネット関連について質問を受けることがあり、大人だけでなく子供を相手に説明する機会があった。そのため、同業者である教える側の人たちも多く見てきた。教えるのが上手い人もいれば、分かりにくいということで敬遠される人もいた。

 経験から感じたことだが、教えるのが苦手な人には1つの共通点がある。それは「自分の言葉で話をしてしまう」ことだ。同じ日本語を話していても、人によって選択する言葉や言い回しは異なる。主語や目的語の多くを省略して砕けた話し方をする人もいれば、専門用語や硬い表現を好んで使う人、日本語と横文字が入り混じりで話す人もいる。
 若者言葉やビジネス用語など、年齢や環境によっても使用する言葉は変わるため、同じ言語であっても世代やその場によって表現方法は異なる。みんなに絶対に正しく伝わる言葉遣いはない、と僕は思う。そのため、相手に何かを伝えたときは、決まりきった説明フレーズを使うのではなく、相手が理解しやすいような言葉を使う必要がある。そのためには、相手が実際に使っている言葉に着目する必要がある。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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