nakamaro

エッセイ投稿者。哲学科の大学院卒 時事ごとは忘れて、日常のあたりまえを考え直してみる

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マガジン

  • 世間のあたりまえを疑ってしまう

    当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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【無料】趣味欄に悩む人へ

 「趣味はなんですか?」という質問は、有名人ではない僕でも、たまに聞かれる質問だ。自己紹介をするときだけでなく、SNSのプロフィールにある趣味欄、履歴書にも好きなことや趣味を記入する箇所がある。そういう機会に遭遇するたびに、自分が好きなものは何か、自分の趣味はなんだろうと思い悩む人もいるだろう。  趣味の記入欄があるとき、僕は「読書」と書くようにしている。実際に、本は毎日のように読んでいて、一週間に約2冊は読むので、月8冊としたら年間で約100冊ほど読んでいることになる。ほと

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    • 海外の人が日本人から感じる「リスペクト」は、「遠慮」の間違いではないか?

       日本に住んでいる外国人や日本を訪れる海外旅行者が作成した動画を見ている。特に、日本についての感想を見るのが好きで、日本滞在中に気づいた点や違和感を知りたくて見ている。  以前は、「日本旅行のすすめ」「日本旅行での注意点」のような、日本を訪問する旅行客のための動画が多かった。最近は、日本の旅行自体が特別ではなくなり、日本での独特な体験について紹介する動画が増えている。その一方で、海外の人が日本を礼賛する動画も増えている。視聴者に役立つ情報よりも、視聴回数を増やすことが目的にな

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      • なんのためのコスパか?

         テレビ、雑誌、本だけではなく、インターネット上に流れる広告でも「効率性をあげる方法」「時間をムダにしない生き方」という文言をよく見かける。タイムパフォーマンス(タイパ)やコストパフォーマンス(コスパ)という言葉も一般的になり、時間やコストあたりの作業量をいかに増やすかが大切らしい。  労働環境の変化も影響している。国民の意識変化や法律の変更によって、昔のように残業して仕事の成果を出すことはできなくなった。テキパキではなくゆっくりと働く人には逆風だ。決まった時間のなかで、いか

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        • 絆やチームワークを見たいわけではない

           野球には「流れ」という言葉がある。別のところでも触れたが、僕はこの「流れ」という言葉をあまり信頼しておらず、曖昧な言葉だと思っている。  麻雀にも類似した言葉で「ツキ」がある。「今日は、ツキがなかった」と言うように、「ツキ」は「運」と同じ意味合いで使われる。そのため、「ツキがない」は「運が悪い」と同じ状況を指す。  ある雀士が、先輩雀士の調子が悪い時には「ツキがなかったですね」と声をかけ、調子が良い時はツキには触れずに「強いですね!」と称賛するのがよい接し方だと話していた。

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        • 世間のあたりまえを疑ってしまう
          48本
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          謎多きシニアの動向

           流行やトレンドは、テレビや雑誌によって作られる。今はSNSを中心としてインターネットの世界から発信され、それにテレビや雑誌が追従することが増えた。一般人が投稿したコンテンツが、流行のきっかけになることも珍しくない。  「流行る」という言葉は、「バズる」という言葉に置き換わり、ぱっとわからない難しいものよりも、シンプルでインパクトがあって見栄えがよいコンテンツが好まれるようになった。流行に敏感にならなくても、SNSで流れてくる音楽や動画を見ているだけで、バズっているものがな

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          暇な時間が人間をどうさせるのか

           これまでにいくつかの仕事をしてきた。アルバイトから始まり、派遣社員や正社員としても働いてきた。残業が当たり前の職場もあれば、やるべきことが少ない暇な職場もあった。時間を持て余しているのをひた隠し、さも忙しそうにしている人がいたことを懐かしく思う。そういう暇な時間は、ビジネス視点からみると、お金にならない非効率で無駄な時間だといえる。  仕事をするために出勤していたはずが、いざ職場に来て業務がないとき、人間は何をするだろうか。実際にそういう状況の人間を観察してみると、大きく

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          どうして「流れ」で野球を説明するのか?

           野球では、しばしば「流れ」という言葉を使って試合の状況を説明する。守備側のファーボールやエラーで相手にチャンスを与えると「流れが悪い」と表現する。逆に、素晴らしいプレーが生まれると「流れが変わって良くなった」と言う。  この場合の「流れ」というのは、何が流れているのかといえば「勢い」「ツキ」「運」だ。自分のチームにとってプラスになるプレーであれば、運が自分たちに味方をしてくれて、勢いづける。その結果、より多くのチャンスを呼び込めるので、流れを味方にした方が勝利に近づく。

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          伝えることで見えるもの

           人間は、相手に何かを伝えたり教えたりするときに、相手のレベルに合わせて伝え方を変える。大人に何かを伝えるときと、小学生に何かを伝えるときを考えればわかりやすい。ほとんど無意識のうちに相手のレベルに合わせて言葉を選び、伝え方も工夫する。  言語が異なるもの同士のコミュニケーションでも当てはまる。カタコトの日本語で話しかけられたら、多くの人はとっさに相手の日本語レベルを察知して、それに対応する言葉で伝えるだろう。いろんな背景や文化をもった人が集まるアメリカだと、みんながある程度

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          東京の土地勘は、駅中心のまだら模様

           東京で3年ほど生活していた。東京23区は、皇居を中心にとぐろを巻くように電車が走っている。とぐろの1番内側の路線から、外の円へ移動するのが乗り換えだと思っていた。  都内であれば電車で自由に移動することができるので、多くの人は車を持たなくなった。そのため、多くの人は駅から駅へと点で移動して、駅から目的地へと歩いて移動する。  多くの人は、電車の走行中に自分がいまどこにいるのか考えていない。到着した駅名のアナウンスを聞いて、はじめて自分がいるところを認識するので、駅から駅へと

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          誕生、比喩、人生観

           「人生」「自分」「生死」という言葉は、漠然とした概念だ。それらについて考えようとしても、その言葉自体が曖昧で、どこから考えればよいかわからない。「人生とはなに?」と聞かれても、さっぱりわからない。  誰にとっても関係がある概念だが、それについて真剣に考えるのは哲学者や宗教家であって、たいていの人はその言葉を大ざっぱに捉えて話をしている。しかし、その大ざっぱな理解から、その人の考え方がわかることがある。  「誕生」という言葉で考えてみる。少し前まで、人間の誕生を「コウノトリ

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          「時代にそぐわない」というフレーズ

           「時代にそぐわない」とは、「そぐう」という言葉が「似合う」や「釣り合う」を意味していて、言葉、振る舞い、ルールが時代に合っていないときに使用される。  謝罪会見で「時代にそぐわない」というフレーズを耳にすることが増えた。発言者の当人がごく自然に話した内容が、世間から見て違和感があり問題視されたときに「時代にそぐわないことを痛感しました」と謝罪する。  しかし、「時代にそぐわない」を謝罪の理由として使うことに違和感を抱く。たとえば、差別的な発言をした人が「この表現は、時代にそ

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          「教える」には、知識と想像力が必要

           大学生から大学院生までの6年間、僕は塾講師として働いていた。本業は学生であるから、プロとはいえないが、小学生から高校生まで様々な年齢の生徒とコミュニケーションをとってきた。  大人になってからは、仕事上パソコン操作やインターネット関連について質問を受けることがあり、大人だけでなく子供を相手に説明する機会があった。そのため、同業者である教える側の人たちも多く見てきた。教えるのが上手い人もいれば、分かりにくいということで敬遠される人もいた。  経験から感じたことだが、教えるの

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          許すのが苦手な日本人

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          フェイクという味方

           僕は、大学時代を哲学の研究に費やした。学者への道に進む勇気はなかったけれど、大学院に進み研究をした。「真理」というものを追い求めていたつもりだった。巷でよく見かけた「テレビでは語られない真実」や「教科書には書けないホントのこと」の類のものには見向きもせず、学問としての事実や真実を探究することが、人間のやるべきことだと思っていた。僕は若かった。  周囲の人間やネットを見るかぎり、多くの人間は真実や事実をそれほど求めていないことに気づいた。真実や事実というのは単純なものではな

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          極端なことを言うなぁ・・・

           「前件否定の誤謬」を知っているだろうか。これは論理学で扱われる論理的な誤りの1つであるが、そもそも論理学という言葉を知っている人が世の中にどれだけいるだろう(おそらく1%もいないと思う)。学校で論理学を学んだ人となると、一生を通しても会うことがないかもしれない。  周囲の世界を観察していると、この前件否定の誤謬を犯している人が多く見受けられる。論理的な過ちをしがちなだけでは、たいした問題にならないが、誤謬をもとに間違えた理解や解釈を行い、感情的な物言いになる人もいる。

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          あえて知らうとしない行為

           人間は、知らないふりはできるが、知らない状態に戻ることはできない。足し算の方法や漢字について、まったく知らないときの自分に意図して戻ることはできない。もちろん、複雑な計算方法や難読漢字であれば、一度覚えても知らない状態に戻ることはある。それを「忘れる」というが、自分の意志で忘れたわけではない。  知ってはいけない秘密を知ってしまったとき、自分でその記憶を消去することはできない。自分の中で知らなかったことにしたり、忘れようとすればするほど、秘密を意識してしまってかえって記憶に

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