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海外の人が日本人から感じる「リスペクト」は、「遠慮」の間違いではないか?

 日本に住んでいる外国人や日本を訪れる海外旅行者が作成した動画を見ている。特に、日本についての感想を見るのが好きで、日本滞在中に気づいた点や違和感を知りたくて見ている。
 以前は、「日本旅行のすすめ」「日本旅行での注意点」のような、日本を訪問する旅行客のための動画が多かった。最近は、日本の旅行自体が特別ではなくなり、日本での独特な体験について紹介する動画が増えている。その一方で、海外の人が日本を礼賛する動画も増えている。視聴者に役立つ情報よりも、視聴回数を増やすことが目的になっていて、投稿者のリアクションがどこまで本心なのか、わかりにくくなっている。

 それらの動画を見ていると、「日本人は他人へのリスペクトがある」という声が多い。たとえば、電車の中では他人へ迷惑をかけないように静かにしている。電車を待つときは整列して待っている。道端では肩が当たらないように歩いている。公共の空間では大声で話をしている人が少ない。
 たしかにその通りで、都合よく切り取った話ではないと思う(もちろん、それらに当てはまらない状況が日常的に起きている)。ただ、そういう事象をもとに、日本人は他人への「リスペクトがある」と言われると、僕は「それはリスペクトなのかな」と疑問を抱く。
 「respect(リスペクト)」は、学校の英語の授業でも登場する単語で「尊敬、敬意を払う、敬う」という意味だ。相手が目上の人や、社会的地位が高い人であれば「失礼がないように、敬意を払う」と使うことがある。人間として立派な人だと思う相手に対しても「尊敬する」と言うこともある。ただ、電車でたまたま隣り合わせになった人へ「尊敬する」や「敬意を払う」と言うと、少しオーバーな表現に聞こえる。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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