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オレは女が嫌いだが 3

ここまでのお話。

“オレ”こと横尾京平は、過去のトラウマが理由で女性不信。にも関わらず、職場の女性に恋をして失恋する。ヤケ酒のために立ち寄った馴染みの居酒屋で鮮やかな赤地に黄色のハイビスカスの咲いたアロハシャツを着たシュリ、と呼ばれる女に「カッコ悪い」と一刀両断されるものの意気投合。調子に乗って飲み過ぎた京平は自宅のベッドの上で目を覚ます。

 頭が痛い。飲み過ぎた。

「あいたたた」

 自室のベッドの上、うめきながら体を起こすと驚いた。隣で誰か寝ている。

 お、お、お……どういうことだ?

 オレはほとんどない前日の記憶をたどる。

 林田さんにフラれ、落ち込み過ぎたオレはいつもの居酒屋に行ったのだ。そこまでは覚えている。そうだ、その店で妙な女に絡んだのか絡まれたのかよく分からない感じになって、なんか意気投合して……。

「のわぁーーーーーー!!!!」

 思わず叫んだ。女か? あの女か? ここで横になっているのは。それはあれか、オレはあの女と致してしまったということか?

 女が起きる気配がないので、洗面所に行って顔を洗うことにした。

 なんだ、なんだ、なんだ、なんだ……!

 モテキ来たー!

 オレのテンションはバカほど上がっていた。そうか、遂にやったか。オレは久しぶりに女を抱いたのだな。記憶にはないが、気分はいい。二日酔いよ、いずこへ。

 一人で鏡の前で感動に打ち震えていると後ろから声がかかった。

「なにしてんの、一人で? 気持ちワル」

 あの声だ。赤地に黄色のハイビスカス女。今はオレの部屋着を着ている。すなわち間接ハグ。振り返って驚いた。だって、めっちゃかわいい。

「なに呆けてんの? 私、顔洗ったら家帰って寝直すからはよどいてくれへん?」

「ん、うん。ああ」

 苛立った女の剣幕に気圧されて、オレは鏡の前を譲った。

 しかしあれだな、大胆な女だな。初夜の営みの翌日に堂々としているなんて、胆の据わった女だ。これは、いい女だ。

「ぐふふ」

 自分でも驚くほどおぞましい笑みが口からこぼれた。

 女がすぐに食いつく。

「きもっ」

 絶対零度の冷めきった目でこちらを見られた。なんだ? え? 昨日オレたちは……。

「あー、アンタなんか勘違いしてるやろ?」

 女は勝手にオレから拝借していた部屋着から赤ハイビスカスに着替え終えていた。

「アンタとは寝てへんで? アンタが酔い潰れて、変に仲ようなってしもたから、担いでここまで帰ってきたんや。なんもないで、アンタみたいなヘタレ、イヤやもん」

 なんか一気に槍でグサグサやられた気分だった。

 なんだ、この女、なぜここまでためらいもなく男を傷つけられる?

 オレは自らのHPが僅かになっているのを感じた。

「酒は飲んでも、飲まれるなって言うやろ。女も一緒、惚れて飲まれたらほいでしまいや」

 最後の方の言葉の意図するところが分からず、オレは目をぱちくりさせた。

「アンタ、単純すぎて面白味に欠ける」

 トドメの一撃を食らって、見事にオレのHPは0になった。

続く

おはようございます、こんにちは、こんばんは。 あなたの逢坂です。 あなたのお気持ち、ありがたく頂戴いたします(#^.^#)