オレは女が嫌いだが 11
青年、京平はひょんなことからアロハシャツの女探偵の朱里の助手になる。神戸で仕事があると朱里に連れられ、たどり着くも別行動。向かった先にいた神戸美人妻となぜかラブホテルにイン! ラブホテルから脱出するにはルームキーが必要。果たしてルームキーはどこにあるのか……?
脱衣所に着くと洗面所の脇に丁寧に下着類が畳まれているのを見つけた。
そして、穏やかでない、大きなブラジャーの間にルームキーが置かれているのを見つけた。
……あれを取るのか? ……あれを取らねばならぬのか?
抜き足、差し足、徐々に距離を詰めてルームキーに手を伸ばした。ルームキーを上手くつかむことに成功するが、ブラジャーの紐がルームキーに引っ掛かってブラジャーを釣り上げた状態になってしまった。
誰がラブホでブラジャー釣りや!! とエセ関西弁でツッコみを入れたところで、バスルームの戸が開いた。
神戸美人妻が頬を赤く染める。
「いやぁん。我慢出来へんかったん?」
神戸美人妻は濡れたままの体でこちらに来て、体を寄せ、悪い子どもたしなめるようにブラジャーをつかむ。耳元でボソッと。
「悪い子」
と言われて、このままどうにでもなってしまえと思ったが、クスクスっと笑った神戸美人妻にバスルームへと追いやられた。
いやいや、これは仕事だ。いかん、いかんぞオレ。
最後まで致してしまっては、オレは本当に罪を犯すことになる。そんなことをしては、本当に訴えられてしまう。ここではそんなことは出来ない。それに、こんな素敵な女性を不幸に出来るだろうか、オレは……。
出来ないと思う。
バスルームから上がると、神戸美人妻がベッドの中から手招きしてくる。ああ、このまま何も考えずに快楽に溺れたい。だが。
オレはその場で頭を下げた。
「すみません……!!」
その瞬間、オレのスマホが着信を告げた。さすがの神戸美人妻も少し嫌な顔をしたが、出ていいよ、とのことなので知らぬ番号の電話を取った。
「もしもし」
「おう、朱里や。首尾はどうや?」
「おまっ……! ふざけんな!!」
はは、と軽い笑いを朱里はあげた。
「美味しい思いしたか? そろそろ来るで。ほな」
それだけ言うと一方的に電話は切られてしまった。全く、なんなんだ。
オレが解せぬと言いたげな顔をしていたからか、神戸美人妻は近寄って来ない。電話の相手を誰? とも聞かない。おかしいな。
神戸美人妻はスマホを取り出し、少しいじってため息をついた。
「今日はやめとこっか」
疲れたような笑みだった。なんだか、すごく可哀想になった。この人は、旦那とどういう関係なんだろうか? もしかしてこんなにキレイなのに相手にされていなかったり、旦那に浮気相手がいて、旦那がそちらとくっつきたいがための工作だったりとか……色々、頭をよぎった。
続く
おはようございます、こんにちは、こんばんは。 あなたの逢坂です。 あなたのお気持ち、ありがたく頂戴いたします(#^.^#)