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置いて行かれた人間の悪行の溜まり場になりつつあるネット空間

この10数年で急速に発達したネット上の世界。半世紀前までは考えもしなかった世界が10年やそこらで発達したせいで人間も社会構造も付いていけていない。

社会構造と技術の進歩が生み出した産物だというのに。

多くの世代がSNSやネットに頼った生活に慣れだした4、5年の間に多発しだした誹謗中傷が原因の有名人の『死』。韓国を代表するアイドル、モデル、テレビショーに出てこれからいっぱいの楽しさと幸せが待っていたであろう女性たちの死。

1つの発言に対して何百、何千の反応が返ってくる世界。対人世界でそんなことは滅多に経験しないから人間として受け止められるキャパがない。

そして、反応しコメントを投稿する側の人間はまだネット社会の広さを痛感していない人が多いから自分の発言に責任など持てない。中には分かった上でやっている人もいるだろう。

顔の見えない相手と会話ができるネット社会は対人社会の人間性とは別の人間性が発揮されてしまうことが多い。そして努力して築き上げた「つながり」がないのに謎の集団性行動をとる。

この原因は自分の世界がネットを通して大きくなって、自分の1つのクリックが何もなさないという絶望と何処かの誰かが味方してくれるんじゃないかという淡い期待と「そんなヤバいことにはならんやろ」というヒヤヒヤ感(ちょっとした悪さをする時の変な高揚感)が集合体となっていると思う。

ネットが発達する前は学校や会社、飲み屋で知り合って意気投合した人だけが付き合いの範囲だった。人数にすれば平均50人も行くか行かないかぐらいだろう。それが顔も本名も知らない、ただ共有の趣味や趣向だということだけで文字上のやり取りをすることで「友達」だと勘違いして何百、何千も味方がいると錯覚する。

錯覚した結果、自分という存在が多神教の内の1つの神か何かとはき違えて何をしても良いと思い出す人間がいる。ただそんなエセ神も悲しいことに絶望と淡い期待にすがることでしか生きていけない。

そんな灰汁(わざと″アク”をこの表記にしています)のたまり場へと変化を始めているSNS空間。

しかし、SNSやネットが発達したことの恩恵は計り知れない。世界基準の技術をすぐさま見ることができるためレベルの向上が早い。野球やサッカー、手芸などジャンルを問わず。今までの世界だと1000人にも満たない地域№1、地元の大会や地元の手芸教室、市民会館の展示で「すげー」って言われていただけだったかもしれない。しかし、瞬時にもっとスゴイ技術を目にすることが出来るため、シビアな姿勢で技術の向上に時間を使うことができる。その結果、テレビに出れたり、世界に羽ばたいたりと無限大の希望を秘めているのも事実だ。

これまでだったら陽の目に当たることがなく消えていった才能が、褒め称えられるようになったことは喜ばしいことだ。

無限大の可能性の反面、自分の才能や技量を否定される瞬間と隣合わせで生きていくことを強いられる世界でもある。そのため過去の栄光にすがりたい、少数の人からの賞賛で十分だという人には辛い空間である。

また、自分から能動的に考える癖がない、ミーハーな人達にとっては難しい世界だと感じる。何千、何万という意見が存在する空間から流れ出てくる情報量を処理するためには、自分でフィルターを掛ける必要がある。しかし、それは自分で得た知識・情報、これまでの経験から構築されるものだから、影響を受けやすい人は善にも悪にも染まってしまう。

日本は教育制度の問題からそういった「影響されやすい」人が多い。だから日本における無名のヘイトが増え続けている。

そして人の命を奪っている

だから、日本で名前が売れるというのは悪夢のようなSNSやネット空間に撃って出ることと同意である。現時点では。

どれだけ優れた物を作れるようになったとしても人間は”哺乳類サル目ヒト科(霊長類)”である。

だから、処理できる情報量も感情も、行動を律することも限界がある。そして今の社会構造はそんな霊長類の限界を1日単位で超えてくる世界だ。

これを考えを前提にして「誹謗中傷」は絶対にダメとは言えない。

自分がいつどこで他人に対して悪意のある言葉を発するか分からないから。ただ回数を減らすことはできるし、テレビショーの中の人に対してヘイトすることはやめられる。

自分より何倍も何百倍も努力して、テレビの中の人という輝かしいポジションを手に入れた人に対してヘイトする権利なんて僕らにはない。ヘイトしたければ彼・彼女たちと同じ土俵に立ってからにしろ。それまでは自分よりずっとずっとスゴイ人だという敬意を払え。

人間の進化速度上、明日から誹謗中傷はダメです!はできない。だから、クリックする前に「自分はこの人を超えるぐらいの努力を”今”しているか?」って自分に問うて欲しい。

相手に敬意を払い、自分の足りなさを認められればきっともうヘイトする必要のない「新世界」に辿りついているだろう。

今日から考え方は少しずつ変えていきましょう!!


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