認知症の「易怒」に薬を使う
認知症の患者さんは
たいがい機嫌が悪いです。
診察室などでは逆に
不自然なくらい
にこにこしている人も
見かけますが
特に身近な人には
年中怒りをぶつけて来る
認知症の方が多いです。
なぜ怒るのか
だいたい、次のような
理由があります。
■自制が利かなくなる
■被害妄想が多くなる
■出来ないことが増え
プライドが傷つく
■不安
不安だとなぜ怒るのか。
こんな説があります。
不安は、自分の存在が
おびやかされる、
もっとも不快な感情と
言われています。
少なくとも怒りは、
怒っている間は
不安を感じなくて済むのです。
特に初期の認知症の
患者さんは
「何か変だ」という
不安の中に絶えずいると
考えられます。
また、そのほかには
前側頭葉型認知症に
特徴的な、
突然意味も分からず激昂する
怒りもあります。
怒りは介護者を消耗させる
介護する人間を
最も悩ませることのひとつが
この、認知症患者さんの
苛立ちや怒りだと思います。
特に家族がひとりで
介護している場合、
これは相当精神を
疲弊させるのでは
ないでしょうか?
認知症の苛立ちに薬は効くのか
結論から言うと
効き目は人によって
かなり違いますが
割と効くことが多いです。
しかし後述するように
副作用も無視出来ない
頻度で起こります。
苛立ちに効く薬の副作用
認知症の患者さんの易怒に
使われる薬はいくつかあります。
※易怒=怒りっぽいことです。
副作用が比較的少ない薬は、
漢方の抑肝散や
抗けいれん薬のバルプロ酸など。
しかしもっと確実な効果を
期待する場合や、
上記が無効だった場合、
抗精神病薬が使用されます。
抗精神病薬の有名な副作用は、
傾眠や
嚥下機能が落ちたり
脚がうまく動かなくなったり
姿勢が不安定になったり
というものがあります。
これらは、誤嚥性肺炎や
転倒・骨折に結び付き
患者さんの状態を著しく
悪化させてしまう
可能性があるのです。
薬はやっぱり使うべきではない?
問題は副作用ですよね。
こうしたリスクを話すと、
自分が我慢すれば良いと言い
薬をあきらめてしまう方が
結構いらっしゃいます。
ただ、物事は考えですが、
こうした苛立ちは
患者さんにとっても
かなり不快で
つらい症状ではないでしょうか。
また、子供たちに
つらさを我慢させたり
疎まれたり
迷惑をかけていると
すれば、
それはご本人にとっても
とても悲しいことだと思います。
私は自分が患者さんの立場なら
早々に薬を使ってもらいたいです。
皆さんなら、どうですか?
そして、長い経験から
介護者の気持ちに余裕が
あることが、
認知症のご本人にとっても
最もしあわせなことだと
私は確信しています。
ぜひ主治医の先生に
相談して
易怒の薬を使って
頂ければと思います。
まとめ
認知症の患者さんは
不機嫌で怒りっぽく
なることが多く
このことが
多くの介護者を
苦しめています。
この易怒の症状に薬が
よく効くことがあります。
ノーリスクではないですが
薬が効くと患者さんも
楽なことが多いので
ぜひ検討してみて下さい。
良いで最後までお読み頂き、
ありがとうございました😊
「スキ」、「フォロー」など
いただけたら嬉しいです。
以下は少し専門的な
内容になりますが、
詳しく知りたいかたは
参考にして下さい。
抗精神病薬の副作用の詳しい説明
抗精神病薬の中止について