見出し画像

入院によるリロケーションダメージ

リロケーションダメージとは
住み慣れた場所から
見知らぬ場所への引っ越しや
施設入居によって

不安やストレスから
心身の状態が悪化してしまう
ことを言います。

どの年代でも起こりますが
高齢者や認知症の方には
頻度、程度ともに
強く出てしまうことが多いです。

高齢者が入院によりどれだけ弱るか

リロケーションダメージは
転居、入居によっても
起こりますが、

今日は特に入院による
リロケーションダメージの
影響をお話したいと思います。

在宅医療界では有名な
悠翔会の佐々木淳医師によると
在宅医療を受けている
高齢者の入院の理由のうち
50%は肺炎と骨折であり、

入院中に肺炎では3割、
骨折では1割の人が亡くなり、

いずれも介護度が平均
1.5くらい悪化するとしています。

介護度とは、どれだけ介護が
必要かを表す数値で、
だいたい伝え歩きでトイレに
行けて自分で用を足すことが
出来る人は要介護1、

車椅子生活がメインの場合は
要介護が2~3くらい、

寝たきりで生活全般に
助けが必要な方が要介護5という
イメージです。

実際は認知機能なども加味されます
ので、あくまでイメージと
お考え下さい。

1回の入院で、5段階しかない
介護度が平均1.5も下がって
しまうのです。

いかに入院で弱ってしまうかが
分かると思いますが

佐々木医師は、この
介護度悪化の主な要因が
リロケーションダメージと
医原性サルコペニアだと
述べています。

リロケーションダメージの具体例

リロケーションダメージを
もう少し詳しく説明すると

極度な緊張や適応障害、
つまり精神的なストレスで
認知機能が低下し

場合によっては
せん妄という
夢と現実が分からないような
精神状態になることがあります。

こうなると治療に協力も出来ず
点滴を抜いてしまったり
大きな声で叫んでしまうことも
あります。

病院では仕方なく
安定剤や睡眠薬を
使ったり、
胴体や四肢をベッドにつなぐ
「身体抑制」を行います。

こうなると高齢者は
あっという間に
衰弱してしまいます。

ほかにも
食事が変わって食欲が落ちたり
会話が少なくなるなども
リロケーションダメージに
入るかもしれません。

医原性サルコペニア

医原性サルコペニアも
少し説明しますと、

これは治療のための安静で
筋肉が落ちてしまうこと。

佐々木先生は
10日間の入院で
7年分老化が
進んだのと同じだけ
骨格筋が失われる

と言っています。

入院は生命予後まで短縮する可能性がある

16のランダム化比較試験(RCT)の
論文を集めたコクランレビューでは、
入院後6カ月までの死亡が
1000件当たり240件であるのに対し、

在宅医療では1000件当たり185件で、
入院の方が予後が悪いと結論づけて
います。

もちろん、入院しないと命に
関わる病気では
そうも言っていられない
こともあるでしょう。

しかし入院をすれば安心
とは限らず、
場合によってはむしろ、

入院を回避で出来るなら
その方が良いこともある、
ということです。

自宅で療養をする場合は
訪問診療を受けておいた
ほうが安心です。

訪問診療については
また改めて
説明をさせて頂きます。

まとめ

入院によって高齢者に
どんな心理的・身体的な
ダメージがあるかという
お話でした。

状況が許すなら
訪問診療を受けながら
自宅や施設で過ごすという
選択肢があることも
知っておいて下さい。

良いで最後までお読み頂き、
ありがとうございました😊
「スキ」、「フォロー」など
いただけたら嬉しいです。

この記事に関連した
介護のマガジンです。
よろしければこちらも
ご登録下さい。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?