2019年GW、関東甲信バイクパッキングで実感したフォーク積載とBindle Rackが生み出す余裕
泊数未定のキャンプありツーリング
久々にバイクパッキングに行ってきました。初日のルート(都内から大山街道を大まかに辿って東丹沢へ)だけ決め、後は道中の成り行きに任せる気ままな単独行です。2日目の夜には山梨県の都留市に至りました。
3日目は雨のため輪行を挟んで長野の宿まで退避、4日目も足留め。5日目になってようやく再び自転車を走らせ、武田信玄の棒道などを楽しんで甲府盆地に戻りました。その晩も野営して6日目に輪行で都内へ。実質的には走行3日、うちキャンプ2日(ただし連日ではない)という行程です。
同じ車体でのバイクパッキング用の積載も経験を積むにつれて少しずつ変わってきたので、今回の旅の構成を記しておこうと思います。基本的な考え方は昨年の佐渡や伊豆の時と変わっていません。
車体
車体はシクロクロス改グラベルロード(?)です。伊豆の時との違いは
・ハンドルバー(Nitto M106NASからDixna Bandyへ)
・シフト&ブレーキレバー(ST-5700から11速Ultrashift Chorusへ ※シマノ10速用のイコールプーリー入り)
・ステム(ポジション調整のため)
の3点。
積載への影響は殆どありません。ハンドルバーの形状がより未舗装路に強いものになり、一方で左右のレバーの間が少し狭くなって幅の広いフロントバッグ類は干渉が懸念されるようになった、という程度です。
フォーク脇への積載
今回の最大のポイントは、本格的なフォーク脇への積載をやってみた点です。左右のドライバッグの中身は
・テント本体とフライ
・夏用シュラフとシュラフカバー
です。佐渡の時も伊豆の時も、持ち物に関する主な反省点は寝具の貧弱さだったので、そこに正面から向き合いました。これらの荷物は重くはないものの嵩張るので、自分の脚と干渉しない位置に積む必要があります。これまではハンドルバー前とサドル後ろ、バックパックしか選択肢がありませんでした。サドル後ろはともかく、行動中にアクセスしないものをハンドルバー周りや背中に配置することは機能面では無駄です。空間的制約と機能上の要請の両面を考えると、眠るための機材のフォーク積載は合理的なわけです。
ドライバッグを支えているのはSalsaのAnything Cage HD(積載上限3kg、新品2つで税込8208円)。フォークへの固定には、元からある泥除けステイ用のダボ穴とWolf Tooth ComponentsのB-Rad Strap Base(新品2セットを税込6960円で購入)を使いました。ダボ穴を増設するための小物は他にもいくつか集めていたものの、取り付けが容易で固定力も強いと評判のB-Rad Strap Baseでいくことに。実際、グラベル林道などをガンガン走っても問題ない感じです(※追記:製品公式ページには「フォーク積載用ではない」との記載がありますので、フォーク自体のダボ穴の併用が必須とお考えください)。
Anything Cage付属のストラップもしっかりした作りです。走行中に緩むことを心配して最初はアイゼン用ベルトを使いましたが、よほどのことがなければ付属品でOKだと思います。ドライバッグは手持ちの5リットル級を2つ。本来はバックパックの中などに入れるものなので、固定具との摩擦や倒した際のダメージなどを考えるともっと丈夫なものが望ましい気がします。
そんなわけで、フォーク脇への積載には概ね満足しています。ただ、器具が合わせて約15000円、これにドライバッグ2つを加えて計20000円くらい、というのは正直ちょっとしたハードルだと思います。重量増を厭わないのであれば、フロントラックにパニアの方が容量に余裕ができますし、安く済むかも知れません。自分は運動性能を重視してこのスタイルを選びました。
トライアングルバッグ
伊豆から引き続き、前三角には車体中心部の空間を最大限に活用するためにモンベルのトライアングルバッグL(公式アウトレットで1600円+税)を投入。公称3リットル。取り付け方を少し変え、フレームのボトル用ダボ穴を使ってバッグ下側の2辺をボルト留めしています。こうすることで
・安定化
・低重心化
・膝との干渉の低減(サドルから離れるため)
・トップチューブを掴んで自転車を持ち運ぶことが可能に
といったメリットが生まれます。最後の点は偶然の産物で、地味ながら取り回しの大幅な向上につながりました。
中身は重さがあって嵩張らない物が中心です。詰め込む順番に
・テントのポール
・ペグ、張り綱
・エアマット
・アルコールストーブ、アルコール、ファイアースターター、分解して畳める風防兼五徳(これら一式を難燃性の袋に収納)
・パンクした時のためのチューブ2本
・チューブレスタイヤ補修具
・輪行袋(兼グラウンドシート)
・チューブレス対応タイヤレバー、ミッシングリンク、イージーパッチ、使い捨て手袋、空気入れ、携帯工具、チェーン切り、ぼろ布(これら一式をペンケースに収納)
という内容。エアマットはシュラフまたはテントと一緒にフォーク横に積んでも良かったかも知れません。
格納する品々の性質上、トライアングルバッグに高い防水性は必要ないと思っています。このため、下側の2辺をボルト留めにするために穴を空ける際にも迷いはありませんでした。
ハンドルバー周り
ハンドルバー付近=自転車移動中の手元には、出し入れの頻度の高い品物を格納するのがやはり便利です。ステム脇には東急ハンズで売っているSolo-TouristのBCマルチホルダー(定価1600円+税)を2つセット。水を入れたボトルを右手側に配置しています。左には
・サングラス
・手袋
・モバイルバッテリー
などの小物を入れていました。中身は状況に応じて変動。フレキシブルなのが良いところです。今回はトップチューブバッグは使いませんでした。
ハンドルバー前方にはモンベルの旧型フロントバッグを配し、ステム脇のマルチホルダー2つと一緒にリピートタイで固定。こちらも中身は変動しますが、食器類はここが定位置です。
フロントバッグに食糧を入れ行動中にムシャムシャ、キャンプ地へ向かう時にはビールや食材をギュッ。このバッグは素材を変えた新型も含め愛用者が多いようですね。メイン部分の開口部が狭いのがちょっと残念なところ。
ハンドルバー周りもトライアングルバッグと同様で、こうした荷物であれば高い防水性は特に必要ありません。本降りの中を走ることになったら、モバイルバッテリー等の濡らしたくないアイテムは袋に入れて保護します。
サドル後ろ
サドル後ろにはPortland Design WorksのBindle Rack(中古品を5000円くらいで入手)を取り付けました。ラックは350gと軽量で重量上限は5kgちょっと。これにモンベルのVersalite Pack 15(3600円+税)を載せています。パックは約100gなので、合わせて450g。15リットル入る大型サドルバッグが平均して同等以上の重さになることを考えると、ズボラな詰め方でも安定するラック積載の方が良いように思います。サドルバッグは「大は小を兼ね」ませんし、容量に合った荷物量でも車体からいったんバッグを取り外して詰めないと走行中にユサユサと揺れてしまうようです(「東京⇔大阪キャノンボール研究」のbaruさんが度々ツイートされています)。後部にくくりつけているのは太陽光で充電できるランタンsolar puff mini。トンネルや霧の中でも補助灯として用いました。
Bindle Rackに載せたアタックサックには、悪路では背負ってしまえるというメリットもあります。殆ど揺れないとしてもサドル後ろの重量はステアリングの軽快さに影響しますし、人間側が手ぶらの状態で自転車を谷に落としてしまうと帰還が困難になるような山の中の道もあります。今回はそれほどシビアなルートには入りませんでしたが、荷物の振り分けはこうした想定に基づいて決めています。Versalite Packの中身は
・レインウェア上下
・防水手袋
・歯ブラシ、リップスティック、耳かき、救急キット
・充電器
・ヘッドランプ
・エマージェンシーシート
・ダウンジャケット、化繊長袖、肌着や靴下の替え(ドライサックに格納)
です。
自転車を失う可能性を考慮する場合は、ある程度の水や食料もこちらに入れ背負って使うべきですね。Bindle Rackとバックパックを別々に使えば全体の積載量が増えるので、キャンプ場への道中で買った食材などの輸送にも対応できます。そういえば昨年9月のMTBバイクパッキングの記録にもBindle Rack良さげ、と書いていました。
服のポケット
最後に人間が着る服のポケットを使った収納について。スポーツ走行を主目的としない自転車ツーリングでサイクルジャージを着る必要はありませんが、背面ポケットは便利なものです。自分は今回ここに
・アームウォーマー
・ウインドブレイカー
・ネックウォーマー
・腹巻き
・ハンカチ
などを入れて走りました。腹巻きとネックウォーマーは結局のところ使っていません。
真ん中の背面ポケットには、襷がけしたミラーレス一眼レフカメラのレンズ先端を挿し込んだりもしました。グラベル走行では割とこれが効果的で、カメラが身体の前部にズレてくることが減りました。
まとめ
今回の積載はかなり満足な出来だったので、反省点はあまりありません。シュラフが中学生の頃から使っているヘタったもので朝方ちょっと冷えたな、とか、モバイルバッテリーの容量が小さかったな、とかその程度。フォーク脇に取り付けるドライバッグはSalsaのAnything Bagあたりに換えると良さそうです。あとあれだ、眠る時の服はゆったりしたものがベターです。行動着と兼用にするなら、キャンツーではあえてタイトなウェアを避けるというアプローチもアリ。
面白そうなところを走って、落ち着ける場所でキャンプを張り、腹を満たして、寝る。何より大切なのはこれをどんどんやることですね。ではまた!
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