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スタートアップの海外展示会出展 -本編-

アダコテックでBizDevをしている中村です。今回は、海外展示会に出展して得た成果をまとめます。(準備編はこちら)同じくスタートアップで海外展開を考えている方、画像解析業界の方には、以下の観点で参考にしていただけると思います。

・海外市場における画像解析のトレンドは?
・スタートアップが海外展示会で得られることとは?
・実際、投資対効果はあったのか?

展示会概要

今回アダコテックが参加したのは“VISION”と呼ばれる、画像解析業界では世界最大級のイベントです。出展社数は約300社に上り、その内訳は開催地のドイツ国内の企業が51%、国外の企業が49%です。会場はMesse Stuttgartと呼ばれるシュトゥットガルトにある大規模施設で、東京ビッグサイトよりもさらに広い展示面積を誇ります。このような大規模な展示会で、世界中から集まるお客様の一次情報を収集し、今後の海外展開の足掛かりとするべく出展しました。出展の狙いについては準備編に詳述していますのでこちらをご覧ください。

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VISIONの他に3つの展示会が同時開催されました

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画像解析の市場トレンド

今回の出展の主要目的である海外市場トレンドの収集。海外展開を目指す上で、日本と海外の画像解析のトレンドが同様なのかどうかは大きな意味を持ちます。ひと口にトレンドと言っても様々な観点がありますが、今回は外観検査の主流技術や、市場全体で課題とされていること、新開発されている技術の方向性などを確認してきました。

結果、全体としては日本と類似点が数多くあることがわかりました。主流技術に関しては、外観検査機における既存のアルゴリズムはルールベースであることや、多くのAI外観検査のアルゴリズムはDeep Learningベースであることなどがwakarimas。また、Deep Learningに対する課題感も日本と同様に、欠陥種別のデータ収集が大変な点や、説明性が担保されないためライン導入まで至らないといった点にありました。

一方、違いとして新たに得られた情報は、Deep Learningの問題点をクリアするために独自の取組みをしているスタートアップが数多く存在することでした。ただし現時点では、見逃しゼロが前提になる検査基準にはフィットしないものやコンセプトレベルのものも多く、確立されたAI画像解析アルゴリズムは日本同様まだ市場に無いという印象でした。

自社のポジショニングと評価

市場トレンドの解像度が高まるにつれて、自社の立ち位置もわかってきます。大半のAIベンダーがDeep Learningをベースにした技術開発を行っている中で、Deep Learningを使用していないアダコテックはとても珍しい存在でした。また、日本のモノづくりにおける品質基準が世界で評価されているおかげで、「日本の自動車部品メーカーに採用されている」という実績への評価は想像以上に高く、初めてアダコテックを知るお客様の信頼に大きく寄与しました。世界的に有名な画像解析ソフトウェア会社からの画像解析依頼もあり、市場からのリアルなフィードバックを得ながら、海外の画像解析分野でどういった視点が強みとなるか、答え合わせができました。

また、他のスタートアップ企業と情報交換することでも自社の客観的評価につながりました。SaaS企業のワールドワイドの文化なのか、競合他社でも一緒に市場を盛り上げていこう、という風潮があり、ここまで話してくれるの?というレベルで話が聞けました。先輩企業からアドバイスを得られたことも、出展して得られた貴重な成果でした。

商談機会

自社ブースの訪問顧客に対する営業機会とは別にして有意義だったのは、VISIONに出展する画像解析業界の有力企業や、VISIONと同時開催されたMOTEKという隣接展示会の出展企業に、自ら訪問し交流できたことです。

出展ブースのサイズを最小限に抑えたため、誰もが自社ブースに立ち寄ってくれるわけではありません。こちらから積極的に情報を得るため、他の出展企業を渡り歩き、パートナー企業を探しました。今回の出展企業はVISIONで約300社、MOTEKはさらに多い約450社です。MOTEKはロボティクスの国際的展示会のため、必ずしも画像解析に関係する企業ばかりではありませんが、外観検査の自動化では製品の搬送装置もセットで検討されることが多いため、親和性の高い企業が多数ありました。

海外にある面識のない企業に対して日本からオンラインでヒアリングをしようと思うと膨大な時間がかかるうえに、アポイントの取得率も大きく下がります。数ある企業の中から効率的にパートナー企業に出会えたことも、展示会を通じて得られた大きな収穫でした。展示会最終日の翌日、早速ミュンヘンに移動して商談を開始し、具体的なプロジェクトが始まりました。

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投資対効果

販促を行うにあたり多くの方が気になるのが投資対効果かと思います。今回の費用は、2名分の渡航費と出展費用を合計して約100万円程度となりました。対する効果として、ブースで行った商談数も100件近くに上ります。総論すると、今回の出展の投資対効果は十分にあったと言えます。上記のことを日本から遠隔で進めようと思っても簡単にはいかないことばかりです。今回の展示会出展以外にも海外展開を目指した様々な取り組みをしていますが、市場理解や多数の潜在顧客からフィードバックを得るという点に関しては今回を通じて得られたことが非常に多くありました。今後、海外展示会への出展を検討される皆様の参考になりましたら幸いです。

アダコテックでは今回ご紹介したように、日本発の技術で世界に勝負をしようと日々挑戦しています。チャレンジングな環境で一緒に働きたいという方、アダコテックに興味を持って頂いた方はまずはカジュアル面談にお越しください!


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