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スポーツコーチングジャパン カンファレンス2019参加レポート

昨日2/9(土)はスポーツコーチングJapan カンファレンス2019(SCJ Conference2019)に参加してきました。

スポーツコーチングJapanは2018年に設立された団体で、日本のスポーツコーチングを発展させ、スポーツの価値を高めることを推進するために活動されています。

代表理事には元早稲田大学ラグビー部監督、現日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二氏です。中竹氏は現在は、ラグビーに限らず、世界に通用するコーチの育成に取り組まれています。

以下HPから抜粋した団体の概要です。

"スポーツ"の価値を高める

スポーツには、明白に勝敗が付く最もシンプルなルールの中で、勝ち負けがあります。
スポーツコーチは「勝ち続ける」ために、日々新しい指導スタイルやマネジメント方法を試行錯誤しています。
私たちスポーツコーチングJapanは、スポーツコーチが更なるレベルアップを図る様々な機会を創出します。
日本全体のマネジメントの質的向上をスポーツ界のコーチングから牽引することで、スポーツ指導者の追求する「勝ち」の力を「価値」にも展開していきます。

SCJ Conference2019はこの団体の第二回目となるカンファレンスです。

参加動機

私がこのカンファレンスに参加したのは、以下のような理由からです。

①スポーツコーチングJapanの活動に関心を持っていた
個人的にスポーツの価値を最大化するにはコーチングのあり方が重要になってくると感じていたので、昨年スポーツコーチングJapanが設立されたときに注目していました。
活動方針を観ると、コーチを育成する人の育成(コーチディベロッパーセクション)、コーチのコミュニティ醸成(スポーツコーチングコミュニティセクション)、チームの関係性を活性化することによるコーチング(チームディベロップメントセクション)の3つが大きな活動となっています。
特に、最後のチームディベロップメントは、ビジネスでの組織開発のことで、個人的に組織開発に興味があります。現在博士論文も組織開発の1つの参加型アクション・リサーチでの研究にて執筆しています。
また、本業では「新潟から優れた指導者が数多く輩出される仕組みの構築」を目標に活動しています。
スポーツコーチングJapanは自分の目指すところのヒントになる活動を多く行っているなと思っていました。

②部活動についての内容が含まれていたこと
①でも記載しましたが、「新潟から優れた指導者が数多く輩出される仕組みの構築」を目指す上で、必須なのは学校経営との融合です。ポイントとして、学校においては部活動はほんの一部でしかない、というところです。
部活動はスポーツの発展を考える上で重要な位置づけにありますが、学校においては主とはならないので教学や経営とのwin-winの関係を築きつつ進めていかなければなりません。
部活動のために取組むことが学校の既存の仕組みと不整合を起こすことが多々あります。
この不整合を解決するために、絡まった糸を解きほぐすように、泥臭く教学・経営・地域・部活動でのwin-winの関係性を模索して作りあげていく必要があります。
SCJ Conference2019では静岡聖光学院の星野副校長先生「部活動サミット」を開催した静岡聖光学院高等学校ラグビー部3年の風間悠平さん、立教大学ラグビー部の川崎大GM補佐、早稲田大学ア式蹴球部の外池監督の講演があったので、部活動と学校経営との融合を推進していく上でのヒントをさらに得られるのではないかと思いました。

基調講演「マーケット視点とキャリア思考から見たスポーツの可能性」

まずは基調講演として中竹代表理事のお話のあとに、レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長の藤野英人氏、株式会社morich 代表取締役 森本千賀子氏との対談が行われました。
以下、印象として残った話です。
①Good Coach(日本で活躍)からGreat Coach(世界へ活躍)へ。
②学びを促進するためには「心理的安全環境」(何を言っても恥ずかしくない、何を聞いても恥ずかしくない状況)を確保することが必要。
③指導している側も、指導を通して学んでいるという認識が重要。
④Great Coachには3つの力がある。(1)素直に学ぶ力(2)俯瞰力と決断力(3)自分のキャリアを見通す力
⑤心理的安全環境を作るにはまずは自己開示から。
⑥「マネジメントとは関心を向けること」
⑦好き嫌いを言語化して共有する。
⑧好き嫌いと公平性を両立する。
⑨完璧な人も会社もない。多様性を重視することが継続性に繋がる。
⑩1つの場所では1つだけ考える。何も考えない場所があっても良い。

分科会①「部活動のこれからを考える」

分科会の1つ目は静岡聖光学院高等学校ラグビー部3年の風間悠平さん、立教大学ラグビー部の川崎GM補佐の講演で、モデレーターはスポーツコーチング・イニシアチブの小林代表理事でした。
小林代表理事とは以前お会いしたことがあり、その時はポジティブコーチについてご教示頂きました。
風間さんからは週3日、一日60分の練習で花園に出場する静岡聖光学院高等学校ラグビー部の取り組みについての発表があり、川崎さんからは現在本業での社内事業企画についての発表がありました。
以前、私個人のブログに部活動のムダな時間を減らす、ということを書いたのですが、静岡聖光学院ラグビー部はそれを極めてやっているなと、凄いと感じました。
また、チームの文化が醸成されることによって伝統として受け継がれていき、それが選手の人格形成に大きく影響を与えている、ということも強く感じました。

分科会②「勝つためのセルフプロデュース」

分科会の2つ目は静岡聖光学院中学校・高等学校の星野副校長、早稲田大学ア式蹴球部の外池監督のパネルディスカッションで、モデレーターはソフトバンク株式会社人材開発部部長の杉原氏でした。
テーマは「勝つためのセルフプロデュース」でしたが、内容としては部活動のコーチングに関する内容が多かったです。
以下、印象として残った話です。
①主体性を発揮させるには段階がある。(1)仕込み(2)自主性の発揮(3)主体性の発揮。(守破離の考えに近いと感じました。)
②指導者は自分の弱みを認識して、その弱みを選手も含めチームで共有することが重要。
③選手各人にレゾンデートル(存在意義)を問い、各人がチームで共有することによって心理的安全環境が構築される。
④どんな取組でもwinwinの関係の構築と持続可能性を意識しながら行うのが大事。
⑤選手にレゾンデートルを意識させ、主体性へと繋げていく指導法を学校として推進していくには指導者に対して「最低限だけ勝てばよい」という安心感を与えるとともに、競技成績以外に求めることをしっかり伝える。

分科会③「アメリカのコーチングに学ぶ ~世界視点の選手育成~」

分科会の3つ目は日本バスケットボール協会技術委員会スポーツパフォーマンス部会長の佐藤氏、スタンフォード大学アメリカンフットボール部オフェンシブアシスタントの河田氏のパネルディスカッションで、モデレーターはスポーツコーチングJapan チームディベロップセクション プログラムディレクターの村松氏でした。
河田さんには、私が大学の時に半年ほどオフェンシブラインのコーチをして頂いたことがあります。その時私はラインバッカーだったので、直接指導を受けてはいませんでしたが、練習後のハドルで今も記憶に残っている話があります。今回、直接お話しするタイミングがなく残念でしたが久しぶりにお目にかかることができました。
以下、印象に残った話です。
①アメリカのコーチは選手の人生を考えて指導をする人が多い。
②ボランティアでの指導をなくしていきたい。
③自分が色々な思い込みにとらわれていることを認識する。
④アメリカはスポーツの世界とビジネスの世界が近い。
⑤実績を出し続ければ勝手に声がかかる。

スペシャル対談「これからのスポーツ業界におけるキャリアの築き方」

最後は中竹代表理事とパーソルキャリア株式会社doda編集長の大浦氏の対談でした。
ビジネスで求められる能力とスポーツで求められる能力が近づいてきた、という内容がメインでした。
以下、印象に残った話です。
①スポーツの方がシビア。ビジネスは色々な指標が沢山あるが、スポーツは勝ち負けで判断される。
②ビジネスでは経歴ではなく、スキル、さらにはコラボレーション(ネットワーク能力)が重視されてきている。
③これまでコネでしか入れなかった業界に対して、入りたい者にとってはチャンスである。周りは大したこと無い人が多いということだから。

懇親会

終了後は懇親会でした。講師の方、SCJの方、参加者の方と多く交流させて頂きました。

まとめ

今回、非常に多くの学びと気づきを得られました。
どの話にも共通して重要だと感じたのは「心理的安全環境の構築」、「自ら学び続ける指導者」です。
得られたものを日々の実践に取り入れて、新潟からスポーツの価値を最大化する実践を増やした行きたいと思います。

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