「ウェットティッシュのふたへの手紙」
ウェットティッシュって
とてもふしぎだ
ティッシュなのに
濡れている
それもずっと濡れている
世界中のウェットティッシュが
乾かないように見守ってくれている番人がいる
そう、ウェットティッシュのふた
ウェットティッシュのふたがなかったら
ウェットティッシュはウェイストティッシュになってしまう
もしもウェットティッシュのふたが
反乱を起こしたら
ぼくらの世界はどうなってしまうだろうか
渇いたウェットティッシュと
渇いた大地を目の前にして
ぼくらは途方に暮れてしまうだろう
そしてウェットティッシュのふたたちは
自分たちだけの国をつくる
自分たちだけの社会制度をつくる
自分たちだけの街をつくる
それはちょっと行ってみたいかも
今度の連休に行こうかな
「手紙を読む」とは?
作家・菊池良によるシン・人類な朗読番組。
身近な「もの」たちにカジュアルな手紙をおくることで、新たな発見を楽しむ実験的なプログラム。
非生物な「もの」に愛着を持つことで、ニュースタンダードな共生の世界を描きだす。
人間同士が激しくチャットが交わす現代社会で、「手紙」の新たな可能性を探究する。
菊池良プロフィール
執筆、漫画原作、作詞などの分野で活躍中。2013年に公開したサイト「世界一即戦力な男」が話題になりドラマ化、書籍化。2017年、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社)が17万部を超えるベストセラーに。LIG、ヤフーを経て独立。ほかに『ニャタレー夫人の恋人』(幻冬舎)『タイム・スリップ芥川賞』(ダイヤモンド社)『めぞん文豪』(少年画報社)など。
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