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粘土山と粘土山の生き物の話

4月27日 快晴

本日のBGM Marie Pierre

今日も大変天気が良くて暖かいので
ぬし釣りの主人公みたいな格好で粘土を掘りに。

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粘土掘りは陶芸家の作業としてはかなり
動的な労働になります。
運動のバランスのためにも
ろくろを回すだけより
粘土ほったり作ったり色々やった方が
体の健康に良さそうな気がするので好きですね。

この粘土山は上野(あがの)の天郷(てんごう)
というところで取れた土で、
たぶん工事中かなんかに粘土層が出てきて
それをトラックで運んでもらったんだと思いますが、
この場所に置かれて何十年も経っているので
元の土地とかなり同化していますね。

粘土というのは実は粒の小さい石のことで、
粘土、砂、石、岩は出世魚みたいに
サイズの違いで呼称が変わっているだけで
それぞれ同じものなのです。

なので粘土山というのは栄養が乏しく、
最初はたんぽぽとかの強い草しか生えないのですが
何年か経つと徐々にいろんな種類の草が生えてきて
やがてその土地の植生になっていきます。

この粘土山に生えている草の根本を見ると
苔が地面を覆っていて、アイスランドの溶岩地帯で
冷えた溶岩に最初に根付くのは苔だと言いますから
この粘土山でも苔が切り込み隊長的な
役割を果たしたんじゃないかしら。

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この粘土山は意外と動物たちも多くて、
クワで粘土を掘っていると大型のムカデが出てきたり
蛇が冬眠していたり、もぐらの穴があいてたりします。
土の中にも色々生き物がいるとは思っていましたが
この硬い粘土の中でムカデとかよく入り込めるなーと
感心します。穴掘り得意なのかしら。
そしてもぐらが土竜ってやっぱり言い過ぎなんじゃないのかしら。

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粘土掘りは事前に壁をクワで崩して
土塊を足元に落としておきます。
次の日にそれをスコップですくって
一輪車に移したら次の時のために壁を崩します。
粘土はなるべく乾燥させたいので
この段階で1日乾燥させて、
もう一日の天日干しの際に効率よく乾くようにするためですね。
雨が降ると粘土がベチャベチャになるので
晴れた日が3~4日続いてからようやく
粘土掘りの作業に取り掛かることができます。
今週は晴れるそうなのでチャンスなのです。
梅雨とかだとほとんどできないので。

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たぶん明日も同じことやるから
この後の作業は次に続きます。

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ところで粘土のタルにイトトンボがいたので
写真を撮ってみました。
黄色がテカテカでバンブルビーみたいで
カッコ良かったんですけど写真では
今ひとつ鮮やかさに欠けてしまいますな。
まあそれだけなんですけど。

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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