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#ネトフリの映画感想『第1回、映画「トロール」に見る父子の愛』


民話の怪獣映画『トロール』


ノルウェーの山間部で、爆破により長い眠りから呼び起こされた古代のトロール。首相の科学顧問に任命された古生物学者が、壊滅的な大惨事を阻止すべく未知との戦いに果敢に挑む(以上、Netflixの紹介文の引用でした)。

ネトフリの映画感想。記念すべき第一回は『トロール』です。

まずは、映画に登場するトロールについて、簡単にまとめてみました。
・岩の体を持つ巨人の妖精
・武器で傷つけられても、びくともしない高い耐久力
・鐘の音に弱い
・人間を食べるが、子供には優しい(家族愛がある)
・光に弱く、直射日光を浴びるとただの岩になる

感想については、なるべくテーマと魅力に重きを置いて、語りたいと思っています。では参りましょう。

映画『トロール』を一言で言い表すなら、北欧ノルウェーの民話に登場する伝説の怪物、トロールとそれを追う古生物学者の父娘のきずな、トロール同士の家族愛を描いた怪獣映画です。

怪獣映画、ゴジラ映画とでも言いましょうか。ノルウェー軍が、戦車や軍用ヘリを駆り出して、トロール狩りをするシーンは東宝の歴代怪獣映画を彷彿とさせます。そこに昨今のCG技術も加わって、アクションシーンの迫力は満点でした。

トロール同士の家族愛、と書きましたが、今作で登場するトロールは基本的に一匹のみです。たった一人残されたトロールが都会に迷い込んで、家族と対面を果たすのですが、それは悲しい再会でもありました。

吸血鬼のように、光(=善の象徴)を嫌うトロールは、やはり悪役としての姿が似合っているのかもしれません。と言っても、今作に登場した巨人トロールは、眠りについていたのを無理矢理、人間に起こされて、あげくの果てに退治される悲しい存在です。

ただ、勧善懲悪というには、簡単すぎるので、テーマ性について深掘りしていきたいと思います。

古生物学者のノラは、幼い頃に母を亡くし、トビアスという父に育てられました。しかし、この父親、マトモじゃありません。
自分の妄想する世界にどっぷりハマり込んで、ノラが自立したあとは、山小屋に一人で住む変人でした。
ヒゲボーボーで髪も伸ばしっぱなし。よそ者には銃で歓迎する偏屈な頑固オヤジ。

あれ?誰かに似ていると思いませんか?
そうです。今作に登場するトロールは一体のみですが、父性を表す存在はじつはトロールとトビアスの2人がいます。

この作品のテーマには、理解されない父親というものがあります。

父親、というと母親とは違って、寡黙でどこかいかめしい。怒鳴ると怖い。そんな童心の恐怖が、民話のトロールの原型になったと言えるかもしれません。

だとしたら、そんな民話の形成に忠実な点でも映画『トロール』はノルウェーの民間伝承を理解したうえで作られた映画であって、派手なアクションのエンタメと、父子の愛というアットホームなテーマは、家族で観るにもオススメできます。

とくに面白かったのは、ノルウェー首相の補佐官アンドレアスのとぼけたキャラクターでした。古生物学者のノラを招集するよう派遣された彼は、彼女と同行をともにするのですが、終始ズレた受け答えで、その様子は身体と心がミスマッチした中年オタクのそれです(そして、トロールも彼も、どこか憎めません)。

シムラー!後ろ!後ろ!!

今年、2022年12月からNetflixで配信された映画『トロール』。
日本の視聴率はNo.1で、巨人の妖精トロールと父子の愛というテーマはクリスマスに観る映画としてもふさわしいことを、数字が物語っています。

この機会に、ご覧になってはいかがでしょうか?
すでに観られたかたも、最後まで読了ありがとうございました。


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