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裏山自然観察日記4最後「横浜に住んでいた頃の話」

始まりから終焉
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1996年の春の裏山 
 春が来て梅の香りが漂う里山(裏山)。
日だまりが気持ちいい。
 私の住んでいる団地の棟から5m道路を隔て里山がある。
私はそこを裏山と言っている。
 
 その裏山の麓では山が保水する水がしみ出て湿地帯になっている。
このような場所は谷戸と言われており身近な動植物の宝庫となっている。

 オニヤンマなどのトンボをはじめ、ザリガニ、ウシガエル、トウキョウダルマガエル、ホトケドジョウ、藻エビもいる。
小さな羽虫を求めて、ツバメも沢山飛来する。団地の軒下に巣を作るコシアカツバメは国内では一番大きなツバメ、その飛翔はダイナミックだ。

 山に入れば野鳥が沢山いる。
ヒヨドリ、コジュッケ、メジロ、シジュウカラ、ムクドリ、コゲラ、ウグイス、ホオジロ、カラスも多い。
春はカエルの大合唱、夏なればセミがうるさく鳴く。

 夕暮れ空に鳴くヒグラシの「カナカナ」という鳴き声を聞くと、しみじみ日本の夏は「いいなぁ~」と思う。
  
 秋には紅葉も楽しめる。トトロの好きなドングリが一杯とれる。ドングリ銀行があれば金持ちだ。

 冬は全ての葉が落ちて雑木林は明るい日差しに包まれる。
山道をランニングすれば、暖かい日差しの中で気持ちは爽やかになる。

いいことばかりだなぁ。

 でもそんな幸福は長くは続かない。それが土建国家JAPANの凄いところだ。
 
 私がここへ引越しって来たのは、今から10年前1989年の夏だった。裏山は今より鬱蒼としていた。
私はこの山を見て、すぐにMTB(マウンテンバイク)を買った。山の中は未舗装の山道が何本も走っており、それを利用して自分専用のコースを作って楽しんでいた。

 しかし民度は今一。
コース脇に不法投棄されているゴミを目にすると、「全くしょうがない」と思う。
でも、郊外の住宅街には十分に自然豊かな場所だ。
しかし、郊外に残された空き地や自然はそう長くは続かない。
 
 それから4年後、驚くことにブルドーザーが至る所で山を切り崩し始めた。また一部の林道は完全舗装されてしまった。特に幹線道路に面する林は根こそぎ綺麗に伐採されてしまった。

「また宅地造成かよ、でもここは緑地保護区域のはずだ。おかしい?」
それでも土建国家日本では何でも出来る。この自然環境を利用して富士サファリパークのような動物園を作る計画が横浜市にはあったのだった。
 
 自然環境を利用するから問題はないようだ。
幹線道路側の綺麗に禿げ山にされ整地された場所は広大な駐車場になるそうだ。
「いまさら動物園? 誰が望むんだ? 」
何故日本の自然をぶち壊すような事をする。何故こんな計画を実行するのだろう?
 
 ただ、バブルの崩壊でこの計画は3年近く凍結されていた。そして、皆が忘れた昨年あたりから、ゴジラのように蘇って来たのだ。
このままで行けばいつかは動物の糞で水が汚れ、木の伐採で山の保水力もなくなり水も濁り。車で大挙してくる人、よく言えば善良な人々がやって来て山はボロボロになるのだろう。

 ザリガニも住めないような場所となるのだろうか。
そんなムシャクシャした思いで、春を迎えるのだった。

それでも梅が散ると桜や菜の花が咲き乱れるこの場所は素敵だった。
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 1999年4月動物園は開園した。そしてMTBコースは消えた。
「生命の共生・自然との調和」をメインテーマに掲げるよこはまの動物園。
 
 その2年後、その団地から引越をする。そして地元(東京)に戻ると。
地元の自然はある程度昔のままだったので驚いた。
 東京の方が、身近な自然を再生、保護しているようだ。
今感じることは、壊される自然より、再生される自然を見る方がいい。

里山への不法投棄
パソコンは多い
広大な駐車場が出来た
里山を散歩
湿地帯で遊ぶ子供達、今や公園になっている
里山の夏
遊び場だった息子と娘1


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