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裏山自然観察日記3「横浜に住んでいた頃の話」 人生の全ては原っぱで学んだ

  結婚当初、1990年代、私と妻は横浜市の山側、「横浜のチベット」と言われる地域にある古い団地に住んでいた。
 東京の街から引っ越した私、野焼きの匂いがする里山、こんな場所がまだあるのかと驚いた。
そして、こんな土地を土建国家は見逃さない、開発の予定は多くあった。
だがなんと、私が引っ越した頃はバブルが弾けており、大規模な宅地開発、レジャー施設等の開発など全てが中断されていた。

 私としてはラッキーだった。
里山に10キロ近いマウンテンバイクトレイルを発見した。私のプライベートコース。家から1分でマウンテンバイクコースへ、最高だった。
その後、子供が産まれると近隣の自然を楽しみながら子育てをしていた。

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1998年11月 *生き残りゲーム
 晩秋である。ここ横浜のチベット地区は標高が高いので、すでに寒い。
自宅にいる小動物も、夏が過ぎると寿命もありドンドンと減っていき、ついにホトケドジョウ20匹とカナヘビの1匹になった。

 カナヘビ、愛称トカチャンはいつも腹ぺこだ。秋になるとこおろぎも死滅して、餌はヒシバッタとか草ヒバリ程度となる。さらにこのヒシバッタと草ヒバリ、小さくてよく飛び跳ねるので、全くもって捕まえにくいのである。
 
 休日に私は餌捕りに半日くらい潰す。それでも最近は1匹も捕れない。さらに気温が13度以下となると、虫は物陰に隠れて動かない。捕まえようがない。
冬になり氷点下となると虫達のほとんどが死んでしまう。
「これからどうしたらいいのだろうか?」

 いまのところ簡単に捕れるジグモ(木の根に飛行機の緊急脱出装置みたいな袋上の巣を作っているクモ)を餌にしてしのいでいる。
だからといって今更トカチャンを野外に戻すのも可哀想だ。
最終的には冬眠しかないようだ。でも今までトカゲを冬眠をさせた経験はない。それでもやってみるしかないようだ。
 
 さて、話は変わり、近頃、蓑虫(みのむし)って見ました? 
実はかなり減っているそうだ。これはある外来種のハエが蓑虫のさなぎに寄生することが原因だと言われている。
これで冬の風物詩、蓑虫は絶滅する可能性が高まった。
昨今の流行だが、動植物界のグローバルだけ化はかんべんしてほしいとおもう。

 このグローバル化に関して、
「世界で活躍することを目指す若者は無国籍ではなく、日本人であるということを全面にだして行かないと世界は絶対に認めてくれない」
と北野武さんがしっかりした意見を言っていた。

 テレビ、インターネットなどでグローバルな世界を見なれてしまうと、個人というものを、なにを基盤にして組み立てていけばいいのだろうかと考えてしまう。
私の場合は、やはり自分を育てくれた環境(それには親も含む)、日本という国だったと思う。 

 いきなり話が飛躍気味だが、ここ2,3年、日本の身近な自然の中で子供達と一緒に過ごしていると、自分の子供時代の出来事を追体験する。

 そんな日々、この日本の四季、取り巻く自然、動植物、それらが自分の個性を育んできたのだと感じる。これなしでは私は私として成り得なかった。
そして自分の子供達も同じ道を今歩んでいる。
身近な自然は日本人を育てる屋台骨だ。
だから私は自分が育った環境を残そうと努力する。そのことが必要だと思ている。
 
 自分が過ごした身近な自然を思い出してくれれば、日本の自然環境も良くなるはずだ。まずは小さな意識改革が必要だ。
「たまには子供達と一緒に原っぱで遊んでみては?」
人生の全ては原っぱで学んだ
(何処かで聞いた台詞、全てのことは幼稚園で学んだ・・・って本があったなぁ、読んでないけど) 
 


ホトケドジョウ 
カナヘビ、我が家で卵から育ていた個体の子孫
蓑虫 冬の風物詩

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1999年11月 *マウンテンバイクびより
 秋晴れの日曜日、昼飯前に5歳になる息子と裏山へMTB(マウンテンバイク)を乗りに行った。ひんやりした山の空気が心地いい。ここは素敵な場所だ。

 私がこの自然豊かな地、横浜の片田舎に引っ越して来て10年経つ。引っ越して来た当時に比べると、ここも大規模な宅地開発により風景は一変している。
「人はなんで潔癖症みたいな街を作るのだろうか?」
 
 最近の街作りの発想が私にはよく理解出来ないのだ。街作りはパソコンのシュミレーションゲームみたいに無駄なく作れるものではないはずだ。
地域の生態系を無視した公園、古い遺産のない街。ただ綺麗で清潔でお洒落な街。そこには文化も歴史もなにもない。まったくどうかしている。
 裏山もついに、借金を抱えても横浜市が大規模な動物園にしてしまうようだ。

里山、息子とMTBで走る
マウンテンバイクコースは結構長くハードだった。

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1995年6月 *カヤック

 梅雨入り前の休日、団地から車で1時間ほどで行ける相模川のワンドへ行く。そこでカヤックなどで遊ぶ。
息子はドンコを捕ったりして遊んでいた。
私も娘と一緒にカヤックで短い距離を行ったり来たりした。
久しぶりに川の上の風を感じていた。気持ちがいい。
 
 ワンドは水深も浅くプールと同じで流れがない。カヌーの練習場所として知られていた。
我が家の子供達はオムツの時代からスイミングクラブで泳いでいるし、海、川、湖で遊んでいることもあり、ライフジャケットはつけてない。
今の時代はつけるのがデフォルトとなっている。

ワンド(湾処、わんど)は、川の本流と繋がっているが、河川構造物などに囲まれて池のようになっている地形のことである。魚類などの水生生物に安定した棲み処を与える。

私がカヤックを漕ぎ、子供を乗せている
相模川のワンドでカヤックで遊ぶ子供達
魚を捕っている


*このシリーズのサムネイルの写真は三鷹の国立天文台のキャンパス内の写真。私のお気に入りは太陽フレア観測用望遠鏡だ。

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