いつかのPV

 創作をするうえで重要なのは既視感だと、多くのクリエーターは言っているし、ぼくもまたそうだと思う。

 こと映像において、その意見はかなりの主流派なのではなかろうか。

 ぼくはまともに映像も作れない人間だが、それでも自作の小説を宣伝するためのPVを作ったりする。そのときに重要視しているのも、「なにかどこかで見たことのある」感覚だ。

 創作で食っていける人間は少ないが、時代を変えるような先鋭的な作品を作り出せる人間はもっと少ない。

 自分は他人とはまったく違うことをやっているクリエーターだと自称している人間はたいていただつまらないだけの、なぜそれをだれもやっていないのかを考えていないことが多い。

 ぼくはそういう恥をさらしたくないと思う。だから、自分の腕前を何十年もかけて上げていって、いつか、死ぬまでにひとつくらい、だれも見たことのないような表現ができればいいと思う。

 次回作のPVを妄想しつつ、既視感を探しながらそんなことを思った。

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