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【旅先で「仕事」】 医師ブロガーが語るその実態

今回の話題は、高単艦ではあるものの、場所と時間に絶対の制約が生じる医者という人間にとって、最も縁遠い、そして憧れの「ワーケーション」

こういうこともしたくてブログ始めたんだよな〜とか、感慨にふけりながら、
エムスリーさんに提案させていただいて、ご快諾いただいたテーマです。

医師としての業務以上に時間をかけて育て、「新たなビジネスの発信源」にあたるブログが月間20万PVを突破したことから、医業以外の仕事のオファーが増えつつあることを背景に生じた、ワーケーションの機会。

もちろん、今後は全てワーケーションで生計成り立つようにしたいですが?
とりあえず今の地点での実態を書いていきたいと思います。



コロナ禍前から意識「ワーケーション」

コロナ禍で推進されてまいりました、テレワーク。
ですが、自分は一足早く「場所を選ばない働き方」を意識してきました。

医療の現場では、今こそ「遠隔診療」という概念も出てきましたが、自分の専門分野である形成外科や皮膚科はまだまだ遠隔診療へのハードルは高い分野です。
が、この分野が好きでやっておりますので、たとえ今、遠隔診療ができないとしても、自分の中で医業をゼロにしようとまでは思いません。

自分の理想は週2、3回くらいを医業に費やし、それ以外はテレワークとすることでした。2017年の4月、旅ブログを始めたのはそのためでした。
複業、つまりパラレルキャリアを実践することで、「場所を選ばない働き方」を目指しはじめたのです。

そうした中、ブログが軌道に乗りはじめたところで週3日と半日働いていたところ、1つのクリニックをクビになり、自分の想定より早く週2日半の勤務となったのが2020年11月のことでした。

あれから3年半、今でこそ月によってはやっとこさ、その減った週1回分の給料を複業でまかないきれるくらいになったところで、残り週2日半のお仕事をも退職、とあいなったわけですがw
まあそりゃあ、若干資金繰りは苦しくなり、たまにお財布事情が緊急事態宣言状態となることもしばしばw
しかしQOLは格段と上がり、まさにタイム・イズ・マネー状態を実感できているというのが現在の状況です。

自宅のマンションが職場でもあるわけですので、家賃の一部を経費にできるのが、ブロガー稼業のメリット。
同時にステイホームも叶うわけなのですが、家だけだと息がつまるのがデメリット。
ここを補うのが「ワーケーション」となるわけです。

ワーケーション先は、単なる娯楽にとどまらず、
ブログのアクセスアップ効果や、寄稿してお金をもらえるほどのニーズがありそうな所を選ぶ。
宿泊しながら仕事のやり取りもし、場合によっては宿泊中に別件のアンバサダー契約などをも締結する。
願わくば宿泊代の一部は経費、さらに大部分を仕事のギャラで補填する。
まずはそのレベルに到達したい、と考えておるわけです。


旅先で仕事…気が散らないのか?

散ります(笑)。

一般企業において、ワーケーション=仕事効率が下がってしまうという懸念から、ワーケーションを認めてもらえないケースがあるそうですが、行き先とホテルをちゃんと選ばないと、「行ったはいいが、全く仕事に身が入らない」問題、出てまいります。

果たしてこの状況で「誘惑」に勝てますでしょうか?

デスクやコンセントの配置がワーケーション向きではなく、これはワーケーションというよりもむしろ、デジタルデトックスが目的だな、と思われる宿泊施設もあります。

ゆえに、仕事もすることを前提に旅先を選ぶ場合…非現実すぎない、旅先で浮かれすぎない「ステイ先選び」というものが大事となってまいります。

逆にこの選択がうまくいけば、場所を変えるだけで仕事の気分が切り変わり、効率が自分でもびっくりするほど上がる、これも経験済みです。


「旅先で複業」医師が誘惑に負けないワーケーション先ーー選び方のポイント

まず、なにより、いわゆる「観光地」すぎるところはNGです。(もうすでにひとしきり観光は済ませた地域で、ホテルにこもることをメインにできる場合は除きます。)
理由は言うまでもなく、コロナ禍でいろんなところへ出歩くことが多少は憚られたとしても、つい、外へ観光しに行きたくなってしまうから(笑)。

また、現実離れしすぎた造りの施設もよろしくないです。仕事よりリゾートしたくなってしまうので。

行き帰りの移動でも使用しますので、こうした場所にも一応PCやスマホを持っては行きますけれども、滞在先で何か仕事を仕上げようとか、そこでの稼ぎを宿泊費に補填、とかは考えません。
そこではあくまでメインは「観光」「リゾートライフ」、あるいは「ワーケーションというよりステイケーション」と決めて行きます。

遊ぶべきところではきちんと遊びましょう。

「ワーケーション先」に適しているのは、自宅と違う気分にはなるものの、多少の「現実感」「生活感」も感じつつ過ごすことができ、あまり誘惑がありすぎないところだと思います。

当たり前ですけど、デジタルデトックスが目的ではありませんので、快適なインターネット環境は絶対条件。
学会などの聴講やオンライン会議もサクサクと問題なく進められるところでなければなりません。

総じて、自分のセレクトとしては「ある程度、馴染みのある土地」「行こうと思えば何度でも行ける場所」であったりすることが多いでしょうか。

そういう観点からも、

都会のアパートメントホテルは自分にとっては無難な選択

です。

やはり育った環境と変わりすぎないのは大きいです。たとえ旅先であっても、遊びモードになりすぎません。

1人気ままに宿泊したスタジオタイプのお部屋(オークウッドスイーツ横浜)
「ザ・リッツ・カールトン・レジデンス ワイキキビーチ」

アパートメントホテルでしたら、旅先ならではの非現実感が若干抑えられる代わりにその土地に「住んで」「仕事する」感覚になりやすく、たとえ旅先であっても完全な遊びモードになりすぎず、旅気分と同じくらい、「現実=仕事」を忘れずに過ごすことができます。

物件をいったん借りたり購入したりしてしまうと、その土地が嫌だからといってなかなか引っ越すのは難しく、自宅兼事務所にするにせよ、別途事務所を構えるにせよ、そうそう場所を変えることは難しいわけです。

そうなると、場所が一箇所に限定されるので必然、日々代わり映えせず、そこにこもっているから気が滅入ることもあるわけですが、アパートメントホテルを利用すれば「期間を限定して試しにその土地に住んでみる」ことが可能となります。

加えてそこは「ホテル」ですので、プロのお掃除が入ります。家事の心配が一切ないということです。
自分の不在時ではなく、滞在しながらの仕事中にハウスキーパーさんを受け入れることで、貴重品の心配もなく、必要なものはその場で全てお願いしたりなど、自分の好みも伝えたりすることができます。実質、料金に家事代行が含まれる感じですね。

気分転換に、ジムやプールを無料で利用できるところもあります。こまごました雑務に気をとられることなく、気分転換も可能であることもアパートメントホテルでのワーケーションにおけるメリットの一つです。


温泉宿でのワーケーション

も、いいですね。
自分の好みは客室数が少なく、周りにあまり観光地のない「お忍び感」のある宿。

「磐梯熱海温泉 熱海荘」にて、ブログ記事やエムスリー原稿と格闘中

このコロナ禍で、とある旅館において「文豪缶詰プラン」というステイケーションプランが話題となったそうです。

宿泊者を文豪に見立てて、編集者役のスタッフから「先生、進んでますか?」と電話がきたり、外から見張られたり、妻と愛人が鉢合わせて修羅場になったりなどさまざまな「演出」があるとか。

質素で落ち着いた「和」な空間での執筆作業はまるで文豪気分なのです。
加えて、電話ではないですが、「○日までに原稿の最終確認お願いします」なんてメールがタイミングよく来たりして、その締め切りを迫られる感がまた、文豪気分をソソる展開であるというものです。
(ちなみにその類のメールの一部をワタクシ個人的に「エムスリー砲」と呼ばせていただいております(笑))

部屋に露天風呂やマッサージチェアがついてたりなんかした日には、作業が一段落した際のご褒美に、気分も集中力も最高潮です。

「猪苗代 磐梯山麓温泉 静楓亭(福島県)」より、お部屋のお風呂とマッサージチェア

重ねて申し上げますが、上の写真の「お風呂」は大浴場ではなく、お部屋に付いている露天風呂を指します。

お部屋にお風呂がなくとも、息抜きに眺めのよい大浴場がほぼ貸切で使用できるなら、それも一興。

再び登場!「磐梯熱海温泉 熱海荘(福島県)」は大浴場の露天風呂

このように、オン・オフの使い分けを非常にはっきりと分けることができる温泉旅館でのワーケーション。
ここまで贅沢な宿でないにしろ、インターネット環境を整えた上で中長期の一人客を受け入れる施設が徐々に増えているようです。

さらにはふるさと納税の返礼品になってるプランなどもあるよう。今後注目していきたいと思っています。


その他、

馴染みのある場所

という意味では、自分にとっては沖縄・那覇が、該当地域の一つとなりますね。那覇は1年住んでいた期間があります。

この1年で、沖縄での長期の医業は自分には無理だと学ぶことになるわけなのですが、旅で遊びに来るというのは継続しておりました。

最近また懲りずに、沖縄で働くのはどうか、という気持ちが芽生えつつあるのですが(笑)、同じ働くのでも医業ではなく、執筆などのリモートワークですね。

同じ南国リゾート・沖縄内でもワーケーションという位置付けで地域を選ぶとしたら、那覇近郊になりますでしょうか。
那覇に近ければ近いほど、「現地民の生活の場」という意味合いが強くなります。が、東京とはやはり雰囲気の違う街ですので、若干の気分の切り替えはできます。

かねてから、医師として沖縄で働くのとどう違うのか、興味がありましたが、
このほど那覇で実戦いたしております。


飛鳥IIでワーケーションは、無理w

ですね(笑)。
ネット環境が安定しないのと、周囲に誘惑が多すぎます。

飛鳥Ⅱではクルーズライフそのものに集中するのがベターです(笑)

遊びのついでにちょこっと仕事ができれば良いのか、仕事をがっつりして、ついでに気分転換ができれば良いのか、いずれかを決めて滞在先を選ぶべきだと思います。

以上、パラレルキャリアを実践する医師の「ワーケーション」、そのとっかかりの部分についてお話しさせていただきました。リフレッシュ効果と仕事の成果を最大限にあげるための「ワーケーション先」選び、大事です。


ワーケーションで得た成果

先に写真をお披露目いたしました、
2021年2月に滞在した「オークウッドスイーツ横浜」でのワーケーションでの宿泊料(一部は経費)、9泊10日で合計201,000円でした。

こちらでの経験をさまざまなメディアに寄稿する業務のほか、このワーケーション中に、企業さんとのアンバサダー契約(ブログでのPR記事の作成など)が決まったりで、20万円の宿泊料のうち、15万円を「回収」することができました。

本来ならば、まだ5万円も足が出ている時点で、事業としてはまだまだ、なのでしょうけれども、そもそもステイ自体からブログ1ヶ月分のネタが生まれております。
ブログをベースにビジネスをするにあたり、ブログのネタを切らさないということが大事な中、これはかなり大きいです。

それだけでなく、今までであれば20万円が全て「旅費」として消えていた中、都内から、ちょっと横浜に出るだけで、こんなにリフレッシュしながらお仕事できるとは――そんな「目からウロコ」の日々を5万円で体験できた、と考えるならば、まずは大いなる一歩と見ることができるのではないか、と思います。


先にお示しした温泉旅館「磐梯熱海温泉 熱海荘」や「猪苗代 磐梯山麓温泉 静楓亭」でのステイについても、記事の納品予定が決まっておりますので、そちらも、全ての宿泊料金ではないですが、一部回収できるということになっています。

こうして、ブログ以外のメディアにも寄稿できるステイ経験に関する記事を書けば、宿泊料金が一部「回収」できるわけですが、ゆくゆくは、ブログを経由してリモートで行える仕事のオファーが増え、旅先でも黒字の出る状況になれば、万々歳ではあるわけです。


まだまだ先は長いですが、今年に入って20万円中の15万円を回収できたという、画期的な経験もできたわけですので、少しずつ積み上げていければと考えています。

以上、パラレルキャリアを実践する医師の「ワーケーション」、その実態をお話しさせていただきました。リフレッシュ効果と仕事の成果を最大限に上げるためのワーケーション、大切な経験だと思いました。

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