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読書感想文〜死にたくない〜

読書の休憩の読書は新書です
今月は新書を2冊買いました
noteサーフィンしていて
この作品の書評を書いている方がいました
その時ちょうど私は
村上春樹の新作エッセイ「猫を捨てる」
を読書中でした↓

読書中ということで村上春樹さんの年齢が
ちょうど私と30歳違いの71歳だと
強く認識していたのです
蛭子さんの表紙の「71歳」が目に留まり
「えええ!春樹と蛭子同級生なの??」
(心の声なので敬称略ですみません)
と驚き
その方の記事を読んでみました
その書評がなかなかコミカルで
蛭子さんのイメージも相まって
コメディー色の強い新書かなと
読みたくなり購入した本なのです
初めてのnote書評からの購入本です

蛭子能収 「死にたくない」

蛭子さんが本書の中でとにかく言いたい事は
幼少の頃からずっと「死にたくない」という
思いひとつで生きて来たということだった。
その強い思いが
蛭子さんの人生の優先順位の1位なので
常に「死なないためには」が先にあり
その為には「どう生きるか」と続くのである
そして「どう生きて来たのか」という理由が
ちゃんと「死なないため」に起因される
と説明できている

なのでエピソードも蛭子さんの想いも
かなり重複しているし
実際はこの厚さ必要ない感じなのだが
その何度も言いたいほどの強い想いや
所々の矛盾も1人の人間らしく微笑ましい

結果、コミカルでもコメディーでもなく
蛭子さんの「死生観」しかない
とても真面目な新書だった
笑える箇所などひとつもない代わりに
共感する箇所はたくさんあった

蛭子さんって天然で適当でギャンブル好きな
少し周りとは歩幅が違うようなイメージだった
実際、本書の中でもその通りなのだが
そのキャラクターになった所以が
ちゃんと理路整然と説明されていて
「ストレスなく生きる術」として蛭子さんなりに
めちゃくちゃ他者を思い
人に迷惑かけない究極の形として
成り立ってきたことを知り
蛭子さんを見る目が180度変わった

全ては「死にたくないから」
死にたくないからご飯を食べる
死にたくないから健康でいる
死にたくないから人に嫌われないようにする
死にたくないから仕事をする
ただ、最後に自分が死んだらどうでもいいので
墓も必要なのかわからないし
遺言も書いた内容忘れてしまっているそうだ

お金への執着はすごいのだが
それも金額の多さではなくて
日払いのような仕事だと嬉しいらしい
働いた対価が目に見えるシステムが好きらしい
仕事もなんでもよくて
死にたくないから仕事するのだから
清掃員でも警備員でも雇ってくれるなら
一生仕事していたい
仕事が出来ていれば死なないからだ
蛭子さんにとっては
仕事の内容がストレスなのではなく
仕事がないことの方がストレスなのだ
この辺りのエピソードは
人によるだろうなと思ったが
私は蛭子さんのような生き方がこれからの時代
生きる参考になるなと思った

私ももちろん「死にたくない」が
蛭子さんほど生き方全てに
その思想が直結していない

むしろ私は1度死んだ時がある
それは確実に「死」を意識した瞬間だった
くも膜下出血で倒れて運ばれる救急車の中だ
救急隊員の質問にも答える気力もなく
とにかく眠かった
もう眠くて眠くてしかたなくて
心の中ではっきりと

「ああ、死ぬんだな。どうせ死ぬならなんか楽しい事考えながら死にたいな。楽しいことなんかあったっけ。ああ、一昨日、中目黒で朝まで遊んだのは楽しかったな」

はっきりとこう思ったのだ
そして頭が痛すぎで他の楽しかったことが
ひとつも思い出せず
2日前の夜遊びだけを心に留めて意識をなくした
大変申し訳ないが
両親も弟も当時10歳だった飼い猫のことも
ひとつも思い出せなかった
死ぬ時ってそんなもんだなという体験があるので
私は蛭子さんほど「死にたくない」
とは思わないし
「死」が怖いとも思わないが
おかげさまで「生きている」ことの素晴らしさは
蛭子さんと思いは強く共有できた

私も蛭子さんも
他者に迷惑かけず
丁寧に生き
ストレスが嫌なので
人間関係も深く作らず
近くにいる愛する人を大切にし
流行りの自己肯定感の流れに逆行するが
自己評価を下げて生きる
このあたりは本当に共通していて
だいぶ蛭子さんを好きになった

蛭子さんの言う
本当の孤独の恐ろしさや不安に関しては
(蛭子さんは最初の奥さんを亡くした時に初めて喪失感を味わったというエピソードがある)
私は「信仰」を持つという所で
精神的な孤独や不安を回避する
人生の術は手に入れているなと感じた

蛭子さんの「死生観」とても参考になりました
これはどんな方が読んでも
面白いんではないかな
いい出会いしました
感謝です


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