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読書感想文〜檀〜

ちまたでは
『読書感想文は必要がない』説が
巻き起こってますが
全く気にせず
ソレはまた別に持論を記事にしたく
これからも書きまくりますよ

読書感想文!!!!!

沢木耕太郎 『檀』

<あらすじ>

愛人との暮らしを綴って逝った『檀一雄』。その17回忌も過ぎた頃、妻である私のもとを尋ねる人があった。その方に私は、私の見て来た檀のことをぽつぽつと語り始めた。けれど、それを切っ掛けに初めて檀の遺作『火宅の人』を通読した私は、作中で描かれた自分の姿に、思わず胸の中で声を上げた。「それは、違います、そんなことを思っていたのですか」とーー。「作家の妻」30年の愛の痛みと真実。

<感想>

作家檀一雄
私世代では檀ふみのお父様と言ったほうが
わかりやすいかもしれない
私はまず『火宅の人』を読んでいないが、
結果『火宅の人』を読む前に
この作品を読めてよかったと思う
正直、この作品を読んだら
『火宅の人』はもういいかなと
5年間の大不倫の私小説を
わざわざ読みたくはない

この小説を読み始めて
とても不思議だった
フィクションに仕上げられた
完全なノンフィクション作品なので
『私』が一体誰のことを指すのか
10ページ目の『妻である私』
という言葉に当たるまでわからなかったのだ
(ほら、私「粗筋」読まないから)
沢木耕太郎が檀一雄のことを妻の視点で書く
という凄く不思議な感覚だった
読み終わり「解説」を読むと

膨大な材料からの選択や、それぞれを文章化する過程には、当然のことながら夫人の話の中に、語る夫人と語られる夫の姿を、ともに対象化して透し見る著者の視線が入り込んでくる。
そうして出来上がった作品は、まさに「4人称」ともいうべき、きわめて独特の視点を持つものになった

とあり完全に腑に落ちた
この新しい読書体験は「4人称」だったのだ
私はもうこれだけでとても感動してしまった
小説の視点では
1人称と3人称1視点もしくは複数視点が
ほとんどの中
(2人称作品は未だ読んだことがない、世の中にはある)
「4人称」など聞いたこともなかった

そんな感動もありましたが
やはり不倫の物語って
当事者の燃え上がりや苦悩が
わかりやすい
読み手は非日常の世界だったり
またはその渦中であらばその苦しみを
共感するものとして好まれる
だがしかし
不倫された妻の視点だけの作品は
なかなか出会わない
不倫が純愛なわけがない
「もっと早くに出会っていれば」
などバカの極みである
しかし人間は弱いので
自分以外にも弱い人間の存在を知ると
安心するのも常
だから不倫作品は売れるのだと思う

妾を容認せざるを得ない
本妻の苦しみと意地には
結局のところ男への愛しかないのだ
その誠の愛や長い時間かけて育ませた愛は
最後には伝わるが
最後にしか伝わらない
それが男と女だったりする

私は結婚してないが
夫人の気持ちを想うと
檀一雄もその愛人も心中はお察しするが
最低だとしか思わないので
やはり今後も「火宅の人」を読むことはない

ああ、書きながら熱くなってしまった
「不倫」についてはですね
個人的に色々思うところがある
元銀座の女ですから
瀬戸内寂聴の気分やわ〜
これはもう仕方がない
いろんな人たちの人生に関わってきたのだ
無駄な経験値が死ぬほどある

「4人称」の作品
なかなか出会わないので是非に!








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