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読書感想文〜猫を棄てる〜

いつも私の記事を読んでくださっている
フォロワーの皆さんはご存知だと思いますが
私のnoteはこっそり家族が読んでいます。
私に内緒で父と弟がnoteアカウントを作り
フォローだけでなくサポートまでしていて
先日そのことが私にバレて
笑い話となりましたが。

今日の感想文はそんな「家族」から
自分の成り立ちを
考えるきっかけとなる作品です。

村上春樹 『猫を棄てる』〜父親について語るとき〜

御歳71才の村上春樹さんが
父親についての思い出を語った新作エッセイ

父親に関して覚えている
印象的なエピソードから始まり
それをきっかけに「父」について語る

「猫を棄てる」というタイトルは
そのひとつの強烈な親子の思い出なのだが
この物語で村上氏が大事にしているのは
結果ではなくてきっかけの方で
その物事の始まりに
重きを置いたやさしく大事なエピソードである

日本を代表する大作家の
個人的な思い出のエッセイだが
現代に生きる人
全てが持っている物語である

脈々と繋がれた人生を
いつか振り返るときが来る

村上氏の両親が出会わなければ
村上春樹の作品は
もちろんこの世にないわけで。

そういった運命や縁を
奇跡と捉えるか。
実力ではどうにもならない
儚さと捉えるか。

昨年、95歳になる
大正生まれの祖母が亡くなりました。
祖母がなくなったときに
やはり自分の一部が欠けた感覚がありました。
祖母が祖父と出会って母が生まれて
父と出会って今の私がいる。
忘れがちだがここには
私の力は全くのゼロなわけです。

この運命の奇跡や儚さを
それぞれの人生の視点で
立ち止まって考える
きっかけになる作品かと思います。

自分が今こうしてこの世界に
立っていることが
果たしてどういう因果なのか。

「歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長いあいだ思っていた」

と、村上氏は語っているが
この気持ちはなんとなく
若輩者ながら私も感じていることであった。
先日このnoteにも「祖父の話」を書いたのは
似たような想いから込み上げてくる
ものだったと思う。
私の両親はまだ元気なので
両親については恥ずかしくて
とてもじゃないが書けない
なので村上氏が「今」筆を取ったのも
とてもわかる気がする

当たり前に存在する
この奇跡の繋がりの上に
自分が成り立っているということを
思わずにはいられない。

大作家が生まれた軌跡を
素敵な挿絵つきで
覗くことができる作品でした。





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