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23 梅すだれ 肥後の国

珍しい魚や数の少ない魚を番頭が買い取り、残りを庄衛門が買い取るという区分けが自然とできていった。毎日たくさんの魚の買い取りをさばいていく庄衛門であったが計算を間違えることはなかった。冴えた頭で計算しながら漁師たちとの会話も楽しむ庄衛門は、次第にこの仕事が自分に合っていると思うようになった。熊本へ売りに行くことへの未練もなくなり買取に励んで三年が経った時、買取担当の者が一人増えた。それと同じくして新しい漁村が魚を売りに来るようにもなった。干物屋の主人がまた規模を大きくしたのだと思ったのだが、そうではなかった。

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