煙草とレコードの夜
私の好きな夜の過ごし方の話が更新された。
というのも、今日、レコードが我が家にやってきたのだ。
恐る恐る円盤に針を落とすと、少しのノイズの後に音が追ってきた。King Gnuの昔の曲。
煙草に火をつけて、他所の家の電気たちの数を数える。22時であれば、まだ6つの窓に灯りがある。
雨上がりの夜の空気は温泉街のそれだ。
部屋の中の空気には音が乗っている。そこに煙が混ざる。
煙草を吸うことはセックスのようだ。この体には強すぎる、セブンスターの7ミリ。
最中、頭がクラクラして、苦しくて笑ってしまう。倒れてしまいそうな身体を、気力で奮い立たせて、この場にしがみつく。
音と煙を浴びて、自分の意識が空に溶けていく。
煙草の火を、音にあわせて上下させるから、ライブのときのペンライトみたいだと思う。
誰にも邪魔できない、1人だけのライブ。
マッチングアプリの、自分の好きなものを選ぶ項目で『音楽がないと生きていけない』なんてものがあった。あの時は、「嘘おっしゃい」と思ったけど、当の私はこの瞬間の為に今日の仕事を頑張れたりしてるから、本当にそうかもしれない。
喉が渇いてきたから、ホットミルクでも飲もうと窓を閉める。
私だけの夜の話。
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