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法雨林舎

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法雨林舎の記事をまとめました。
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#禅

十牛図(二):1.尋牛/じんぎゅう(前編)

十牛図(二):1.尋牛/じんぎゅう(前編)


前の記事のおさらい

先の記事〈十牛図(一)自分が本当の自分に出会う旅路〉においては、十牛図がどのようなものであるかについて簡単に触れた上で、序文の特に重要な冒頭部分を見ました。その要点は、人間は「自分探しの旅」などと言って遠くに「本当の自分」を求めてしまいがちであるが「本当の自分」は自分自身の内側にあるのだから気づけば良いものである。十牛図はその自分探しの過程を表したものであるということでした

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十牛図(一):自分が本当の自分に出会う旅路

十牛図(一):自分が本当の自分に出会う旅路


十牛図は充実した人生を送るための道標

人生は迷い多きものです。

なぜ迷うかー

それは、充実したより良き人生を送りたいと願っているからでありましょう。

「人生の分岐点においてどちらの道を選ぶべきか」、理想と現実の狭間で揺れ動くこともあるでしょうし、自分のことでありながら、自分が本当はどうしたいのかがわからないということもあるでしょう。

「自分が何者で、本当に望んでいることは何か」

深浅

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諸法実相(2)ーお釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見について

諸法実相(2)ーお釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見について


法華三部経は仏教の宇宙観を踏まえて読む

〈諸法実相(1)〉では、仏教の基本的な宇宙観についてみました。それは、私たちが目にしている現象世界は仮初めの世界であり、その基盤には肉眼では見えない実相世界(真実の世界)があるというものでした。

法華三部経では、無量義経説法品第二においてその宇宙観が明確に説かれており、前記事では、とりわけ重要な箇所を何箇所か引用して、内容を詳しく見ました。

無量義経

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禅とZENそして三昧

禅とZENそして三昧


禅・瞑想・マインドフルネス

禅は禅宗といわれる仏教の宗派(曹洞宗・臨済宗など)で行われる基本的な修行形態です。

近年は欧米でも注目され、ZENは瞑想やマインドフルネスと重なる概念を表す言葉として認識され、宗教を排した形で実践する人が増えてきているようです。
アメリカでは、ZENを社員プログラムに取り入れている巨大IT企業があるとのこと。しかし、ZENといっても採用されているのは手法のみ。仏教

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諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界

諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界


水やりは根っこに

あれは私がとても幼い頃のことでした。

小さなジョウロを使って見よう見まねで鉢植えの植物に水やりをしていると、側で見ていた父がにっこり微笑んで言いました。

「水は葉っぱではなく土にかけるんだよ。」と。

当時の私は、土の下にある根っこには思いが至らず、ポカンとしておりました。記憶が定かではありませんが、恐らく、その後、父は根っこのことを教えてくれたのでしょう。

さて、なぜ

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舎利弗の名演技ー「表」のストーリーと「裏」のストーリー

舎利弗の名演技ー「表」のストーリーと「裏」のストーリー


舎利弗の役どころを探る

今回のタイトルは〈舎利弗の名演技〉。タイトルをご覧になって「何のことだろう?」と不思議に思われた方もいらっしゃるでしょうか。

私は常々、法華三部経ははっきり書かれている体裁をとりながら、実は秘密の多いお経と感じております。なぜなら、読みこむ毎に、「ああ、そういうことか。」と、それまでは気がつかなかった意味や、お釈迦さまのご意図を発見するからです。

一見、物分かりが悪

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