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私が最近ネクタイをしなくなったわけ

この1年、私はビジネスの場でネクタイをしなくなった。
と言っても、これだけ書いても、最近の夏場はクールビスがすっかり定着しているので、今更何を言っているの?と読者は感じると思う。

実は、私は1年前までは、年がら年中、ネクタイをしていた。
自社の社員は、ちゃんと常識的に世間通り、クールビスの時期は、ノーネクタイだ。
私だけが夏でもスーツにネクタイで通していた。

単なる変わり者の親父。と思うだろう。
確かにそういうところは自覚しているのだが、私なりの理由はあった。
それは、新興国でどんな服装にするかだった。

私は20代は、いわゆる会社員でITエンジニアをしていた。どちらかというと内勤職だ。
だから、酷暑の夏に外でビジネス活動していたわけではない。クーラーの利くオフィスで、普通にスーツ姿で、典型的なサラリーマンをしていた。

その頃は、特に服装を気にすることもなく、既製品のスーツに普通のネクタイ。
こういう感じで20代を過ごした。

その意識が変わったのは、創業してからだ。
経営者としての駆け出しの頃、何で勝負するか?
色々と考えた挙句に、それは元気でアグレッシブでいようと。見た目も大事だと。

IT系であれば、フレックスタイムに服装も自由なスタイルが流行りだしていた頃だ。
実は、20代で転職した会社で、これに近い経験は2年間した。ただ、見事に失敗だった。そこで学んだ。自主性と言うのは、本当に自覚と責任感がなければ成り立たない。

自由気ままに社員が制度を都合よく利用して、組織としてチームとしては機能しなかった。大人の組織でないと、フレックスや服装自由は成り立たないと痛感した。この経験は、今でも私の行動原則の一つになっている。

こういう経験から、創業時に規律を重視する方向に定めた。こう書けば、ちょっと大袈裟になるが、根本は、自分自身の身を引き締めるために、真夏でもスーツにネクタイで通していた。
まあ、若かったこともあり、如何に気合を表現するかで勝負した。こんな感じで真夏のスーツにネクタイが私の代名詞のようになっていった。

これは言うならば、当時の世間のバリバリの営業が行っていたスタイルにも近かった。
こんな感じて過ごしているうちに、やがてセミナーを頻繁にするようになり、色々な先輩経営者に会うようになる。そして新卒採用の説明会や面接で学生とコミュニケーションするようにもなり。

そんな過程でネクタイにだけは凝りだした。
言うまでもなく、勝負の時は赤。ピンクやパステルカラーなど色々と試した。普段は、特段おしゃれには意識はないが、ネクタイの数がどんどん増えた。
同時に、新興国のベトナムで過ごす時期も長くなった。想像通りの熱い国。日本でいえば、年中、夏である。

ビジネスの仕組みも日本とは違い未成熟で緩い感じだった。平均的なビジネスパーソンがネクタイをすることはまずない。
政府の人や要人以外はベトナム人でネタクイをすることは普段ない。

それに合わせるかのように、駐在している日本人も、日本でクールビスが流行りだす前から、ノーネクイだ。郷に入っては郷に従え。確かにこの方が柔軟性がある。

こんな中、私は、日本でも新興国でも全く同じスタイルで行こうと決めた。それを何年も続けていると、接するベトナム人から見た日本人のイメージが私になって来た。
いつもちゃんとしていて、スーツにネクタイ。
これが典型的な日本人となった。

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もちろん、うっとうしいと感じたベトナム人も沢山いたはずだ。今度は、スーツもネクタイもなしで、うちのオフィス来てね。とよく言われたものだ。

それでも変えなかった。変えることがめんどうくさいからだった。自分のスタイルはひとつにこだわった。
そんなことを10数年続けてきた。もちろん、アフリカでも同じスタイルで通した。

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不思議なもので、長年同じスタイルでやっていると、特段、初対面の人以外は何も言う人もいなくなった。

そして突然のコロナ禍がやってきた。
面会の90%近くがオンラインになった。
しばらくは、いつも通りスーツにネクタイで過ごしてみた。
そのうちに、画面に映っているところだけがちゃんとして、靴はスリッパに変わっていった。スーツもやめてジャケットのみになった。

よくよく考えてみたら、オンラインでの身なりというのは何だろうかということになって来た。特に在宅なら画面に映る部分だけの意識になる。

今でもオンラインセミナーでは、基本的には、ジャケットは着ることにしているが、1年ほど前から、ネクタイをしなくなった。

ふと気づいたら、私自身もようやくノーネクタイが馴染んできた。しかしジャケットまでやめる気にはまだならない。これは私の普段のポケット代わりでもあるからだ。

今、使わなくなったネクタイがあちこちに山のようにある。
たまには、オンラインセミナーで使うことはあるが、どうしたものか。
あと、慣れ親しんだスーツ屋さんの売れ行きも気になる。もう一度、ネクタイにスーツで通して、店に貢献しようかなとも思ったりもする。

以上


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