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浅くて粗い情報の価値を考える

情報という言い方は、実に曖昧である。
DIKWモデルまたはDIKWピラミッドは知っているだろうか。
データ、情報、知識、知恵という分類の英語の頭文字だ。何となく聞いたことがあると言う人も多いと思う。
この区分を仕事でしっかり駆使する人もいる。
確かに、ケースバイケースで使い分けするとなんとなく説明が上手くいくこともある。

とは言え、気象データと気象情報としたときに、日常で使うのには、どっちでも通用する。しかしやや話が科学的、分析的、統計的な話しになるとデータを使う方がしっくりくる。
2021年度の東京都の気象データを分析した結果、平年よりも気温が一度近くなっていることが分かった、という風に使う。
友達と旅行に出かけるのに、今日の気象データによると、とはなかなか使わない。今日の気象情報というのもいまいちだが、いずれにしてもなんとなく使い分けをしている。

知識になると、物知り博士のように、あの人は知識が豊富な人という風に使う。
知恵は、長老を思い浮かべると分かり易い。長い人生の中で、誰もが知らないような体験に基づくものは知恵といえる。

私は、この4つとも情報であると言っても、間違いではないと考えている。
逆に4つ全部をデータとは言い難い。
データとはどちらかというと、数字、そしてデジタルデータとしての認識が強い。だからこの4つを知識という話でもない。もちろん知識の中にはデータも知恵も含んでも良いがしっくりこない。
4つを知恵というのはますますズレる。4つの中で知恵というのが一番、形式知化しにくい暗黙知である。

そんな訳で、データ、情報、知識、知恵の全部を情報であると言っても不自然ではない。だから、私は、仕事では、DIKWモデルではなくて、階層型でもなく、この4つをまとめて情報とする感覚で使うことが多い。

実際、経営の現場で一番使用頻度か多いのが情報である。いわゆる経営情報である。
その次がデータ。これもそれなりに使う。経営計数の判断はデータであるし、マーケティング分析などもデータである。
知識や知恵の話は、時々と言った感じである。

もともと曖昧だから、全部まとめて情報で良いと思う反面、では、この情報と言うのはどういう風に掴んだら良いかということである。つかみどころがないものだから、どのようにいつ掴むのかの手がかりが欲しい。

幾つかの視点で考えてみる。
まずは、役に立つか役に立たないかだ。
今回は仕事の話を前提に進めるので、仕事の成果につながるか、経営の結果をよくすることができるかという話である。だから、美容室の経営に役に立ってもラーメン屋の経営には役に立たないと言う話である。

また、商圏の話である。徳島県のお菓子メーカーが北海道のマーケットのことを知ってもほぼ役に立たないのである。海外ならなおのことである。ベトナムでビジネスする気がない経営者に、ベトナムのことはほとんど役に立たない。
ただ、これはシンプル思考で言えばの話ではあるが。

次に考えるのは、情報の深さである。
情報が深いと言うのはどういうことかというと、源の情報で一次情報である。三現主義というのがある。現場、現物、現実の話である。現物は源の情報である。それを人づてに聞けば、すでに2次情報である。そして、伝言していくとどんどん情報は浅く曖昧になってくる。

次に気にするのが情報の精度である。
粒度で言えば、粗いかそうでないかである。
俊敏に物事を判断したり、見たもの聞いたもので勘を働かせたりしようと思うと、精度が高すぎる情報は邪魔になることがある。そもそも、詳細に把握している時間も無ければ、考えている時間もないときは、速報で簡潔が良い。情報は粗くても良い。

一方、病気であると分かった時、大トラブルが発覚した時、対症療法も大事だが、根治治療を講じる必要がある。そういう時は情報の精度が重要になる。
今日は大体晴れますでは話にならない。天気で言えば、ピンポイントで具体的なデータが必要なのである。

あと、最後に、誰に対して機密を保持しないといけないのかである。また、深さや精度にも関係することである。浅くて曖昧であれば、公開しても良いが、詳細や源の情報は公開してはいけないものは世の中に多々ある。

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以上

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