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仕事の手戻りをいかに防ぐか

仕事ができる人とそうでない人の差は何か?
それが仕事スキルの差です。と言いたい人も多いだろうが、もっと具体的に言うと、業務や専門的な仕事をこなすスキルに目が行きがちだが、私はそうでないと考えている。

仕事ができる人は、事前の準備が万全である。
いわゆる段取り力だ。それがプロジェクトや重要な業務になると、計画という話になる。計画の中身もとても大切なのは言うまでもないのだが、仕事ができない人は、どんな職種でもどんな業種でも似たような特性がある。
それが先送りであるし、仕事の前工程をいい加減にしてしまう。
建築で例えれば、分かり易いのだが、家で大切なのは基礎だ。地盤の上にしっかりした家を建てる為に、基礎をちゃんと造ることが何よりも重要だ。その上で柱や梁、壁という具合に建てていく。実は、こんな感じは、たいていの人は感覚的には誰でも理解する。

ところが、これが仕事の段取りになると、行き当たりばったりで進める人が世の中には、あきれるほど多い。私の経験では、最初の行程をいい加減にすると、後工程にはマイナスの影響が雪だるま式に増えていく。それだけ手戻りと言うのは、仕事ではご法度だ。

家で考えたらよく分かる。柱を建て、壁を造ってから基礎をやり直すためには、もう一度、柱も壁も除けないといけない。つまり、造って壊して造るという風に、何重ものロスを生み出すことになる。こういう体を動かし、出来形が見えるような仕事では、まだ、実感がわきやすい。

ところが、ソフトウェアを設計する、新ビジネスの企画を考える、大きなイベントの計画などは目に見えて成果の判断が難しい。そうすると、仕事ができる人以外は、この工程でいい加減な仕事をしてしまう。
そして、後工程で、上流の仕事の不備が、次らか次へと発覚して、その対応に膨大な労力とコストを割くことになる。
私も、かれこれ40年近く仕事をしているが、不思議なことにこんなシンプルなことを理解せず、実行せず、いい加減な仕事を繰り返している人が、どれだけ世の中に多いことかと思っている。

そして、その人たちの言い訳は判で押したように似ている。時間がなかったから、切羽詰まっていたから、第三者レビューを受けることができなかったから、後で修正しようと思ったから、後工程で取り返そうと思ったから・・。

こういう悪い習慣にひとたび陥ると、一生改善は難しい。
まあ、私も、それなりに仕事ができる人と関わってきて思う事は、やっぱり、若い頃に仕事の本質をしっかり理解して、そのために必要な基本スキルを身に着けることが何より大事だ。
そして、根気よく、盤石になるように継続して徹底する。辛気臭かろうが、大変だろうが、良い習慣を身に着けて、継続することに尽きる。

そうすれば、何をするにしても、自分の仕事スキルの土台(基礎)ができ、どんな分野、どんな職種、やったことがないことへのチャレンジ。色々とタフな仕事もあるが、基本を身に着けていれば、応用は幾らでも出来るものである。
こういうことを、日本の若者や新興国の有望な人材に今後も伝え続けていきたい。


以上