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住宅地探訪(吹田市千里丘~万博公園)

地球規模で考えるなら、人口増加が自然環境への負担になるのは間違いない。宅地の拡大だけをみても、緑の減少で酸素が減るだけでなく、保水力の低下などで気候変動にもつながっていく。
苦労してマイホームを手に入れた方々には申し訳ないけど、夢の積み重ねが将来の負担の積み重ねにもなっているケースもあることは、否定しづらい。

今世紀に入ってから、施設跡の再開発が目立つようになった。
さらに緑を減らすわけでもく、廃屋や空き地のままになるより良く、賢明な選択の一つだと思う。

それで思い出したのが、テレビ局の跡地だ。
かつてMBS(毎日放送)の本社があった土地が、いまは高層住宅群「ザ・ミリカシティ」として再開発されている。名前は、同社の施設だったミリカホールが由来と思われる。若き日の明石家さんまがブレイクした番組・ヤングおー!おー!もここで収録されていた。
向かってみよう。

※2022年 4月 5日に訪問しました。写真の撮影日であるとともに、実地見聞による情報も同日現在のものです。

ちょうどいい高級感

JR京都線に千里丘という駅がある。普通電車しか停まらないが、大阪駅まで15分とかからないから便利だ。昼間で1時間に8本も乗車のチャンスがある。
関東で言えば、東京駅から京浜東北線に乗って大井町駅あたりの距離感だが、一定の緑があって人ごみも少ない。大阪・京都と、2つの都会に出られる位置づけでありながら、この環境は魅力である。

新芦屋横断通

ザ・ミリカシティは、千里丘駅北東の丘陵地帯にある。直行できる道はないため、住宅地を抜けて近づくことにした。
駅のある摂津市から吹田市に入るとすぐ、細かい坂道が連続する。昔住んでいた、東京の大田区や品川区あたりの丘陵地帯を思い出した。山が見えないくせに上り下りだけさせられる、あの感覚だ。
しばらくして商店もなくなり、一戸建ては建屋が小さくとも門があるといった、閑静な住居地域に切り替わる。

住宅地内のアップダウンを抜けると、東西にバスが余裕で通れそうな道が現れた。またいだ先に、ミリカシティの高層マンション群が建っている。
後で調べると、この道は「新芦屋横断通」と呼ばれるそうだ。
ミリカシティの西に隣接する地域は、地名じたいが「新芦屋上」「新芦屋下」になっている。阪神間の元祖”芦屋”にならって、京阪間にも高級住宅地を育てようとした気概がうかがえる。

ヤマモモではなくサクラが満開

子どもの姿が目立つ、ミリカシティ内の公開緑地

ザ・ミリカシティは花と緑に囲まれていた。マンションからすぐに写真のような緑地が広がるから、子どもの姿も多い。外で遊ぶ機会を、あらかじめ用意したようで、好感が持てる。
「ミリカ」とはヤマモモの意味だそうだが、時期が時期だけにサクラが目立ち、そのことでも気持ちが華やいだ。
スーパーマーケットも近く、鉄道駅までのアップダウンを除けば、さほどの不便はない。何より、吹田市立の千里丘北小学校が併設されている。この土地もまた、もとはMBSの敷地だったそうだ。

MBSがあった頃は(余談)

なぜこの地に、放送センターが建てられたのかは不明だ。60年前は、さらに自然の中にあったと思われる。

以前、幸いにしてMBS(毎日放送)OBの方にお話を聞く機会があった。
都心ではない立地のため、ニュース取材には苦労したそうだ。映像をテープに収録できても、放送に間に合わないことがある。それで、敷地の広い所を目標にして、ヘリコプターから直接にテープを落とさせたらしい。確かに都心部のビルでは出来ない技だ。

現在のMBS本社は、大阪市北区の茶屋町にある。千里丘に残った関連施設も2007年には閉鎖された。
茶屋町は、大阪駅や梅田各駅の徒歩圏で都心といってよく、移転から30年以上がたった今、すっかり街になじんでいる。

さらに先述のOBの方によると、現・本社ビルの屋上には、謎のガス配管があるらしい。

なぜ、ガス配管が要ったのか。
千里丘時代は、昼休みにテニスをしたり、周辺をジョギングするのが日常だったそうだ。労働組合が、都心移転は従業員の運動不足を招くと主張したところ、ランニングスロープの屋上設置が計画された。しかしながら、実際に作られることなく、シャワー室向けのガス配管だけが残ったという。

少し歩けば、重要スポットが

どうせなら、万博公園まで歩こうと、さらに北東へ向かった。
途中、ホームセンターがあってのぞいてみると、古紙回収ボックスが偉く充実していた。吹田市でも回収しているはずだが、事情は不明である。

Super VIVAHOMEの駐車場内に設置された、古紙リサイクルステーション

パナソニックスタジアム吹田

もう少し歩くと、名神高速の下をくぐって、パナソニックスタジアム吹田の真横に出る。Jリーグ・ガンバ大阪の本拠地だ。

正式には市立吹田サッカースタジアム。横浜スタジアム同様、民間が建てて公有になった経緯が。

正式には市立吹田サッカースタジアム。横浜スタジアム同様、民間が建てて公有になった経緯が。

EXPOCITY(エキスポシティ)

さらに万博公園の外周道路を渡り、右前方に太陽の塔を観ながら歩くと、複合商業施設、エキスポシティにたどり着く。

太陽の塔が、モノレールと高速道路をまたいで、観覧車と対面
海遊館運営の水族館(兼動物園?)「NIFREL(ニフレル)」も併設

万博公園と太陽の塔

表題写真の通り、今回の歩き回りはここで最後に。
(実は、さらに阪急千里線・山田駅まで歩いていたりする・・)

まとめ・散歩好きも納得のちょうどいい住宅地

以上のスポットは、徒歩30分の範囲で収まります。
少し距離があるように思われますが、散歩と思えばちょうどいい距離です。大きな幹線道路とは必ず立体交差になっており、車に気遣うような道はほとんどありませんし、何より緑が近いです。
車の便は、一般道として大阪中央環状線が近くあり、かつ名神・中国・近畿の各高速道路が交わる吹田ジャンクション・ICがすぐですので、全く申し分ないです。先ほどのスタジアムの真横あたりが、まさに吹田ICです。(入るには、いったん中央環状線に出ないといけませんが)

太陽の塔に代表される、昭和の恩恵を享受できる立地です。
いっぽうで今世紀に入ってからの新店や転入もみられ、ほどよく新陳代謝もしています。ミリカシティやエキスポシティも21世紀の施設です。
これまたちょうどいい、伝統過ぎず新興過ぎない住宅地といえます。一戸建ても集合住宅も一定数ありますから、移住にもお勧めです。

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SDGs的なことを書いていると思いきや、情報社会関連、大学でも教えているボランティア活動などを書き連ねます。斜め視点な政治経済文化評論も書…

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