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私散文

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#私

ヒゲの思い出

ヒゲの思い出

自分の価値を収入の金額で測っていた30代の頃
低学歴、資格も持っていない私は
働く時間帯と時間の長さで少し多めの給料を得ていた。
こんな私でも頑張ればこれくらいは稼げる。
そう思った。
男の人にも負けたくなかった。
男の人並みに稼ぐことが
一人で生きていくには必要だと思い込んでいた。

そんなある日
顎に太い毛が二本生えているのに気が付いた。
「ん?・・・ヒゲ?」
すぐ抜いた。
その後また生えた。

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骨はどうせ砂と化して消えるのに

骨はどうせ砂と化して消えるのに

先日、健康診断を受けた時
レントゲンの写真を見ながら
病院の先生は
「特に問題はないですねー。」と言い、
その後何を言っていたのかはおぼえていない。

死んで残るのはこの骨か。
自分の骨が写った写真を見ながら
そんなことをぼんやり考えていた。

私は自身の「お骨」も「墓」も「葬式」もいらないと考えている人間だ。
私が死んだら、誰かの記憶の中の私も共に消えてなくなって欲しいとさえ思う。
生きた証など

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