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東北紀行8日目

肘折温泉の朝市

朝市

今日のスタートは、いつもと少し違う。

昨日寝たのが早かったし、その分目覚めも早かった。
何やら外が賑やかなので、出てみる事に。

聞けば、朝市は毎朝7:30まで開催されているらしい。
野菜やお土産品を販売している。
何か、お土産になりそうな物でもないかと物色もしてみる。
その度に、お母さんたちに何度もお声がけ頂くのだが、
残念ながらまだ旅が続くため、生物は買えないのです。
ごめんなさい、見てるだけです。
ついでに、財布持ってない。サザエさんになってしまう。

絶対美味しい

何だか雰囲気が良い路地なので、朝食まで散歩してみた。
余計な言葉をたくさん書くより、しばし写真をご覧あれ。

窓枠にご注目
ここも雰囲気良 丸屋旅館
夏と言えば!
空中を走る電線のRが美しい
私の朝飯どこ?
めちゃくちゃ涼しい
冬も見てみたい
源泉を望む
おだやか たおやか
太陽はあっちだ!
主は見当たらず

と、言葉少なく紹介してみました。
静かですが、活気あり雰囲気も良き。
余計な娯楽施設がなくて、湯治場として品が保たれているのも好印象でした。

宿の時計 味がある

さて、朝市も終了時刻となり旅館に戻って朝ごはん。
目玉焼きと、焼き鮭と田舎味噌の味噌汁と、自家製漬物と…王道でした。
でも、こう言うのだよなーと思いながら頂く。
座敷で良いよ、って言ってたのですがやっぱり個室で、座卓2段重ねのグラグラテーブルでした。
ご飯は朝も晩もお櫃にがっつり入れてくれて、残せない私には重たくなりましたが、腹一杯食べさせるのは、田舎流のもてなしだったりする。しっかりと頂戴しました。
量で不十分とは絶対にさせない。
なんだか、おばあちゃんの家でご飯食べさせてもらってるような気分。

「ほら、飯を食え。食わんと力が出ん。若ぇのはいっぱい食え」

みたいなね。
なんだか、食べてる途中でフフってなる感じ。
でも、もうそんなに若くはないのだが。

今日のルート

肘折温泉ー庄内

さて、今日のルートだが、本当はそのまま国道458号を南下したかったのだが、工事通行止めのため一旦引き返すルートで遠回り。
念のため、宿の女将さんにも確認したが、やっぱり通れないそう。
これは、かなり問題。
本当は寒河江から米沢に寄り、米坂線沿いを通り、胎内辺りが理想だった。
出発は8時頃、距離は330㎞の予定。
いつも通りなら問題ない距離だが、都会を通るのが少し懸念材料。
朝に悩む問題じゃないだろ、と思いつつ。

ま、いつも通りにケセラセラで行く。

支流沿いを下り、最上川に出る。
新庄市本合海の集落で47号線に入り、ここからは最上川沿いに走る。
静かに流れる美しい川。
私は海より山派だ。特に護岸工事がされていない川を見るのが大好物だ。草刈りを含めて、維持管理が大変なのは分かるのだが、どうにもコンクリートの色は興醒めしてしまう。
沢の様な小さな流れから、対岸が見えない位の大河まで。

思えば、住んでいた所も大概少し歩けば、散歩が出来るような川沿いに住んでいる。今もほぼ川沿いだ。
自分が東北の川沿いに住めれば、もっと幸せに生きれたのかも。

そして、この川は昔、北前船から山形辺りの内陸部へ物資を運ぶのに重要なルートであっただろう。
川は余程の事が無い限り、冬でも凍らなければ物資、人の移動が可能だ。

小1時間も川沿いを走れば、庄内平野に到達。
庄内平野は広大だ。地平線かと思えるほどに田んぼが広がる。
酒田、庄内、鶴岡辺りはきっと昔から平和で豊かな土地だったのだろう。

それにしても、こんな広大な土地に水を正確に分配する水路と、田んぼの配置をレーザー計測器も使わず、作り上げる技術はどうやって作られるのか。
人力でここを作り上げた先人の努力は想像もつかない。

庄内ー新潟

そして、国道7号は鶴岡を抜けた辺りから日本海に向かう。
立派な道の峠を下った先に日本海が見える。海岸線沿いになるのは、もうほんの少し先で、鯵ヶ崎と言う地名から海沿いになる。
新潟に向かっているとは言え、やはり南下している分気温は上がって行く。岩がゴロゴロした感じの海は、とても日本海らしい光景だ。

正直な話、ここからは延々と同じような光景が続く。これが真冬だったらそれだけできっと気が滅入る。
何日か、吹雪の日本海を旅したいと前から言っているのだが、誰一人同行しても良い、と言ってくれる人が見当たらない。
きっとまだ高速道路が整備されてない時代は、長距離トラックはこんな所を夜通し走ってたりするのだろう。物流は偉大な仕事だ。

そして、また鉄ネタだがブルートレインの日本海(大阪⇔青森)はここ羽越本線を通ってたようだ。冬場はきっと旅情あふれる車窓だったにちがいないが、乗車時間16時間って凄いな。
大体、晩御飯食べて乗ってゆっくり起きて朝食。二度寝してからの腹減ったで到着、と言う感じか。
ホームに降り立って、方言が飛び交うのを聞けば、帰省の方なら帰ってきたぞ!だろうし、旅の方なら旅情感が半端ないだろう。
便利な飛行機や新幹線もいいけど、日本中からブルートレインが無くなったのは、本当によくない。バスも安いかも知れないが、夜行列車は文化としても続くべきだ。

笹川流れ

JR桑川駅併設の道の駅「笹川流れ」で休憩。
ここら辺は海も綺麗でかつ、夕日の名所だそうだ。
この辺りでは有名な観光地。

ちょうど同じタイミングで入ってきた女性ライダーと情報交換。
これから、キャンプしながら青森に居る友人を訪ねて、ねぶた祭りを見に行くそう。
この数日の私の旅の話を聞いて、これからの旅にワクワクが止まらない!って感じだった。
その後に話しかけてきた年配のライダーにずっと話されてて、ちょっと迷惑そうだった。女性ライダーは希少なので、大変そうだ。
私が間に入ると、貴方には興味ない、話したくない。って顔に出てた。
いい歳になって、ああはなりたくないな。

若い地元のライダーとも会話。ちょっと色々事情があるらしい。
そんなのも含めての一人旅だ。
まあ、私も会社辞めて走り出したのだから、訳ありとも言える。
自分から話してこない事に対して、余りお互いに根掘り葉掘り聞かないのが旅人のルールだ。

村上ー新潟

比較的岩場より砂浜が多いからか、右側にずっと青とエメラルドグリーンの海が続く。身体を冷やすのと、景色を存分に堪能するために立ち乗りを繰り返す。
風がメッシュ生地を通り抜けて、とても気持ちがいい。
ずっと海沿いを羽越本線と共に走ってきたが、村上市でお別れし道も内陸にずれる。

はまなすの丘。何か、小学校の国語の教科書で、はまなすの花の話が出てきた事を覚えている。題名は思い出せない。
どうにもその時に浮かんだイメージが、浜辺に茄子…余り美味しく無さそう。
なんか、こう、茄子に似た果実が付く違う植物。そんなのを脳内で想像してた。
大人になってから調べるとバラの一種だそうで、和ローズヒップだそう。
本当の事を知ると、嬉しいやら悲しいやら複雑。

この辺りまで南下してくると、雪国の一つとは言え気温も上がり、植物の緑も随分と濃くなってくる。植物の種類もはっきりと種類までは分からないが、明確に東北のそれとは違う。

新潟はかなりの都会なので、バイクにとっては信号も多く、夏場はしんどいので、パスするルートを選択した。国道7号は新潟近辺でほぼ高速道路。高架だけで、片側2車線。中央分離帯もある。実際に流れはほぼ100㎞。余所者は本当に大丈夫なのかビビる。
交通量の割に、素晴らしい高規格道路がきちんと整備されている所が、さすが田中角栄王国なのか。

阿賀野川の大きな橋を越え49号から403号へ。これでほぼ東北を一周したことになる。新潟市内を離れると、どこもかしこも米、米、米だ。魚沼産ほどではないにせよ、米菓を含めて新潟の米はやはり日本一のブランドだと思う。

そんな米所を走っているにもかかわらず、都会に浮かれた私は、見かけたマクドナルドの看板に向かって一直線。久しぶりのジャンクフードが染みる。

前にも書いたが、旅館で出されるご飯はほぼ「和食」ご当地メニューも入っており、満足行くものばかりだが、やはり贅沢な現代人には、ちょっと飽きる。偉大なる調味料ケチャップが欲しくなる。
5分で完食。すぐに出発。

三条ー長岡ー柏崎

三条を越えて、長岡市に入ったが今日の宿は日本海沿岸。
まだ山を越えて平野に出なければいけないのに、もう16時半。
今日もまあまあ追い込まれて来てる。

国道404号から291に入り、長岡の盆地から抜ける。
最終的には電話入れて、到着さえすればいいのだが、どうも根が真面目なのは良いのか悪いのか、事前に伝えた時間に着かないと。と焦る。
都会部のバイパスでもない限り、どう考えても交通量からしてネズミ捕りはあり得ない。
速度管理は自己責任でどうぞ、と言った感じだ。

柏崎市内に入り、交通量も増えた。
市内を通って海岸線のルートも良いが、宿までの山道ショートカットを選択。これがまあまあ厳しい道だった。

鯨波で国道8号に復帰。広い国道によく見かける交差点の地下道入口が、大きな鯨の形。今となっては車文化になってしまってるので、歩く人すら見かけないが、高度成長期には必要だったのだろう。

柏崎市と聞いて、原発?と思い出し調べるとやはりそうだった。他の原発の様に、半島の先っぽとかではなく居住地域に近い。こんな所からも、東京に電気は送られてるのだ。
東京と言う都市は本当に欲深い。食べ物、電気、人、その他殆どをありとあらゆる地方から集めて成り立っている。
人は人を引き寄せる磁力があるのだろうか。

今日のお宿

なんだかんだで、日が出てる内に到着。
民宿と旅館を混ぜた感じ。
部屋は1階で、西日がガンガン。外にテラスがあって海が望める。
ただし、隣が子供連れらしくテラスを通って、こっちの部屋を覗きに来たりと落ち着かない。
洗濯機は無料らしいので、すぐにセット。大浴場は本館にあるらしいのだが、ビジネス旅館を兼ねているのか作業着の人を多く見かけたので、部屋のユニットバスでシャワーのみで済ます。
毎回大浴場付きの宿を選んでる割には、基本的にはシャワーだけで生きていける。

日本海の夕暮れ

ちょうど横にJRが走っており、敷地をちょっと下れば展望スポットがあったので、しばし夕景を楽しむ。
日本海の夕暮れって、少し寂し気なのだと気づいた。

旅が終わりに近づいている事や、東北を出る事だとかが頭を巡り、波の音を聞きながらほんの少しセンチメンタルな気分に。

日没

夕食は信号を渡って、本館の食堂で。
お父さんが作っているらしく、とても家庭的な味で美味。
普段、魚は小さい時に骨が喉に刺さった事が続いて以来、苦手なのだがここで食べた煮つけは本当に美味しかった。

お母さんには、どこから来たの?仕事は何?と色々聞かれ、私が勤めていた所に来た事があるらしく、急に尊敬の念を集める事になり、何故か自慢げに周りに話していた。
そして、急に丁寧に接してもらえた。

部屋は…掃除がちょっとね。砂がいっぱいで。
ま、関係なく寝ますけどね。
洗濯した服はなんだか海の匂いがした。

少し遠くに波の音がする。
今日も無事就寝。

9日目に続く


自己肯定が爆上がりします! いつの日か独立できたらいいな…