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Photo by
sakusaku42
宇宙線と汗
目に入った目覚まし時計の温度表示が30.2℃、どうりでダルいわけだと思いながらちゃぶ台に突っ伏した。
大学進学で上京して1年目の夏。友達もいないし、することもない。
ひまだ。
アパートでのんびりしようにも、エアコンはカビだらけで使いたくない。暑さから気を紛らわせようと、なんとなく手を眺めていたら高校の物理の先生の言葉を思い出した。
「人間の手のひらの面積には、毎秒1回の頻度で宇宙線が通り抜けてるんだよ。」
そうか。この手に今も1秒1個の宇宙線が通っているんだ……
両腕とほっぺたをちゃぶ台に突っ伏しながら手を通り過ぎたであろう宇宙線を数え始めた。
1、2、3、4、5、6、7、8、、、
56、57、58、59、、
1分過ぎた。60個だ。
61、62、63、64、65、、、、
3分。180個だ。
181、182、183、184、185、、、、
417、418、419、、
7分。420個。
手のひらと時計を交互に眺めながら目に見えない宇宙線を数えて、気づいたらちゃぶ台に腕の形の汗の跡ができていた。
・・・・・・・・・
扇風機買いに行こう。立ち上がって腕を拭った。
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