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『グランジュ・ルノルマン・カード入門 神話と錬金術の占い』刊行記念 R.M.Bijou先生・鏡リュウジ先生トークショー①

19世紀のフランスに誕生した「グラン・ルノルマン・カード」の日本初の本格的解説本『グランジュ・ルノルマン・カード入門 神話と錬金術の占い』。1枚1枚に神話や錬金術、星座、花、フランスの文化などが描かれた魅力的なカードを再現し、日本語の解説書をパッケージした画期的な書籍です。フランスの原典を読み解き本書を構成した著者のR.M.Bijou氏と本書に解説文を寄せた占星術研究家の鏡リュウジ氏による対談の模様を、3回に渡ってお届けします。

日時:2023年11月10日(金) 書泉グランデ7階イベントスペースにて開催

祝! 日本発の本格的解説本の刊行!


 皆さんこんばんは。鏡です。こちらがビジュー先生です。ビジュー先生にお祝いの拍手を。

B あぁ、ありがとうございます!

 ビジューさんにとってはなんといっても記念すべき初のご出版! こんなにたくさんお祝いの花も届いていて…全部真っ赤ですごくないですか? みなさんのお祝いの気持ちも伝わってきます。参加されている方のお顔をみてもプロの方多いですよね。業界の期待が熱い!

B びっくりしました。ありがたいです。

 ただね、、今日はせっかくのルノルマンなんですけど、トークの中でいかにルノルマンが胡散臭いかって話になっていくかもしれませんが。

B そうですよね(笑)。

 はは、でも胡散臭さもこの世界の大きな魅力ですし、そういう面も含めて進めてまいりましょう。まずは何より、僕にこの本の解説を書かせていただいて、ありがとうございます。

B とんでもない! こちらこそありがとうございます。本当に素敵な解説で、原稿いただいた時に大号泣でした。編集の細江さんに泣けるよ? って言われて案の定……。

 こちらこそ光栄ですよ。解説の冒頭にも書かせていただけましたが、グランジュを使ってみたいというのは、すべてのカード占い師の夢だったんじゃないかと思うのです。それがやっとビジューさんのこの本で叶うわけですから、僕も日本のカード占いの歴史の大事な1ページに関わらせてもらったと感じています。

21世紀以降、急速に広がった「ルノルマン使い」



 僕が「グランジュ・ルノルマン」のことを初めて見たのはたぶん、1970年代ぐらいのことだと思います。木星王さんの本やほかの本にも図版は掲載されていました。グランジュは80年代にはグリモー版(*1)のものを買っていました。でも使えないんですよ。ビジューさんと違ってフランス語のテキストも読めないし、英語圏でさえほとんど解説がないのでなかなか手が出なくて。プチに関しては、僕が知っている限り、80年代半ばにドイツ語で出ていた本の英語版が、比較的メジャーな出版社から出たのが最初ですね。もしかすると、もっとマイナーな自費出版みたいなものもあるかもしれませんが。 それからしばらく音沙汰がなかったんですけど、21世紀に入ってから英語圏でたくさん本が出てきて、「これは日本でも紹介しなければ!」と作ったのが秘密のルノルマン・オラクル(夜間旅行 2014年)。一般市場における、日本初のルノルマンの本格的紹介キットです。

B 間違いなく今のルノルマンブームのきっかけですよね。

 それ以降、桜野カレンさん、高橋桐矢さん、香さんといった情熱的なルノルマンの使い手さんたちのご活躍もあって、プチ・ルノルマンはかなり普及しました。そしてそれから10年たって、もう一つの「ルノルマン」である「グランジュ」解説が登場したということになるわけですね。

B そうですね。奇しくも、最近フランスでも新しくカード付きのグランジュが出たんです。180年近く音沙汰もなかったグランジュが、2023年にいきなりフランスと日本で新たなカード付で。

 そういう機運というのがあるのですよね。

B 不思議ですよね~。良い意味でゾッとしました。私の本はイラストレーターのAKiさんに(絵を)描いていただいて本当に良いものが出来ました。彼女は石川県のお住まいなので今日は来られなかったんですけど、本当にこの方に会えたからできたんだと思っています。(Akiさんを発見した経緯は)たまたまTwitter(現:X)のタイムラインに流れてきた絵がすごく素敵でフォローしていたんです。私がこの本の話をいただいた時に、コンペをしてみたんですけどピンとこず。AKiさんは動物をメインに描かれていた方なので、人間が多いこのカードでやってくれるか不安だったんですが、絵柄とか色使いが好きだったのでダメ元でTwitterのDM経由で問い合わせて。それでやってくださることになって、ここ(『グランジュ・ルノルマン・カード入門』)に至ります。

 *1 グリモー版……フランスの出版社グリモー社から発売されたGrand Jeu de Mlle LeNormand。1845年の発売当初から変わらぬイラストで今日に至る。

足かけ2年の労作。描き下ろしたイラスト点数や図に悶絶


 僕も少しだけ、グランジュの解説本を企画できないかと考えたんですよ。でもフランス語のものも多くは薄いものしかないんですね。これをそのまま訳しても……という感じで。そしてやはりカード。本だけ出しても使えないから。本だけあって、カードは輸入品探してね、というのではちょっと不親切でしょう? でもオリジナル、かつ商業出版でグランジュのカードをつけるのは大変です。版権がない古い図版を使うことはできるかもしれないけれど、新たにイラストを描き下ろすとなると大ごとです。グランジュ、54枚ですが、実質、依頼すると54枚の絵ではない。1枚のカードの中に、図版が…

B 7つから8つ入っている!

 でしょう? だから実質上、54枚分×7か8点の絵を描いてもらわなきゃいけなくなっちゃう。僕もずいぶん本を出していますから、頭の中でそろばんはじいて(笑)「プロには発注できない」となってしまって……。

B 私はずうずうしいから(笑)。

 いやいや、それは著者と画家さんの熱意と、版元さんの英断によってお安い価格で出せるという。

B そうなんです。ありがたいことに駒草出版さんは鏡先生が紹介してくださったんですよ。

 そうでしたっけ? 全然記憶にない……。

B え~~~。

会場 (笑い)

B (外部)編集の方とこの時代にカード付きの本を出してくれそうな出版社はどこかというのをすごく考えて。そこで、桜野カレン先生の『ルノルマン・カードの世界』や(加藤)マカロンさんの『マカロンタロットで学ぶタロット占い』を出版されているのを見て、カード付でこのお値段で出せる出版社すごい! となり、それで鏡先生に駒草出版さんにお知り合いいませんかって伺って、紹介していただいたのが駒草出版の石川さんなんですよ。

 これ労作ですよね、本当に。読んでいただければわかるんですけど、テキスト量も多いですし。 後ろの吉凶の表も「こんなの無理!」って思って。

B それは私がイラストレーターでちまちま描きました。

〈資料編〉に入っている「カードの組みあわせによる吉凶の判断」の表

 だからこれはなかなかすごい……あと後ろの方を見ていくと、トロイア戦争とかエジプトの神話とかがしっかり解説されていたり、12星座の神話もあったりとか、非常に読みでのある素晴らしい本だと思います。

B ありがとうございます、嬉しいです。やっぱり鏡先生は占星術の先生っていうイメージがあるので、12星座の部分というのはしっかり書かなきゃなっていうのもあって。なおかつ12星座の神話が実は一般に知られているものと、グランジュの作者が採用した説が違っていたので、書いておかなければならないと思い。神話はそれぞれのエピソードに諸説ありますしね。グランジュを理解するために一番必要な要素が神話の理解なんです。

②に続く。。。


登壇者プロフィール
R.M.Bijou(ルージュ・メイジ・ビジュー)

占い師、グランジュ・ルノルマン・カード研究家。幼少期に父から贈られたタロットカードをきっかけに占いを始める。音楽大学在学中よりWEBデザイナー、歌手、占い師を兼業していたが、2017年、占い師に一本化。グランジュ・ルノルマン、タロット、西洋占星術、ルーンなどに加え、生来の第六感を駆使して多方面からアプローチする鑑定を行い、占術の講座も開催。フランス語の翻訳も手がける。座右の銘は「無知の知」。

鏡リュウジ(かがみ・りゅうじ)
占星術研究家、翻訳家、京都文教大学客員教授、東京アストロロジースクール主幹。10代のころより占星術や秘教などに関連してさまざまなメディアで活躍、30年以上にわたって圧倒的支持を受ける。『秘密のルノルマン・オラクル』(夜間飛行)など著書多数。責任編集にユリイカ増刊『タロットの世界』がある。

『グランジュ・ルノルマン・カード入門: 神話と錬金術の占い』
R.M.Bijou 著、鏡リュウジ 解説、AKi xenubilum イラスト
2023年10月24日発売
A5変形 344ページ
ISBN:9784909646705、定価  4,950円(税込)


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