見出し画像

「BeReal」の登場が象徴する“憧れ”から“親近感”の時代への変化(販促プラス2023年11月号)

本日は弊社で発行している「販促プラス」の原稿をお届けします。


「Facebook」や「Twitter」の日本上陸から15年。SNSのいま。

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、いまやインフラとして私たちの生活に欠かせない会員制オンラインサービスです。日本国内で「mixi」が、アメリカで「Facebook」がリリースされたのは2004年のこと。今年、改名によって話題となった「Twitter(現X)」がリリースされたのは2006年で、2008年には「Facebook」とともに日本上陸を果たします。同年にApple社の「iPhone」が発売されスマートフォンが普及するとともに、そうしたSNSのユーザー数も急増していきました。

 2017年には、写真や動画を共有するSNSアプリ「Instagram」のタグ付け機能において多くのユーザーに使用され拡散した「インスタ映え」という言葉が、新語・流行語大賞を受賞。さらに総務省「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の「第1章1-1『テレビ』、『インターネット』、『新聞』及び『ラジオ』の利用時間と行為者率」では、SNSをはじめとするインターネットメディアの平均利用時間が、30代以下の年齢においてはテレビや新聞、ラジオなどを超えているなど、SNSの影響を無視できない状況にあることが数字からも明らかとなっています。

 その傾向が顕著に表れているのが、いわゆる“Z世代”と呼ばれる10代から20代です。同報告書の「第5章5-1主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率」によると、動画共有プラットフォーム「YouTube」を除き昨今の10代にもっとも利用されているSNSは「LINE(93.6%)」で、次いで「Instagram(70.0%)」、「TikTok(66.4%)」、「X(54.3%)」、「Facebook(11.4%)」。20代には「LINE(98.6%)」、「X(旧Twitter)(78.8%)」、「Instagram(73.3%)」、「TikTok(47.9%)」、「Facebook(27.6%)」という順で利用されているようです。

これからのトレンドは脱・映え。新SNS「BeReal」の登場

「SNS疲れ」を感じる世代

 一方、一部の若者世代には「SNS疲れ」という現象が起こり始めています。「Instagram」は、各個人にとってのハイライトを、見栄えよく加工した画像や動画の投稿を通して気軽に共有し合える点が特徴ですが、「美化された自分」と現実とのギャップや「美化された他人」への過度な嫉妬や憧れを感じることにも繋がり、多感な年代にとってはとくにストレスの一因となっているのでしょう。

 そのような気運が高まるなか、2020年に「BeReal」というユニークなSNSがフランスでリリースされました。アプリの目的は、名前の通り「リアルである」ことの共有です。1日1回ランダムなタイミングで通知が届く、通知が来たら2分以内に写真を撮影する、撮影した写真は加工や編集ができない、写真はアプリ上で自動的に共有される、「いいね」やフォロワー数などの評価指標がない。このような特徴をもつため、「Instagram」など従来のSNSよりも気楽に利用できるSNSとして世界中のユーザーに受け入れられ、2022年の時点で1,000万以上のダウンロード数を獲得。日本国内でも2022年よりその人気に火が付き始め、若い世代を中心に利用者数が拡大しています

 「BeReal」が広まった背景には、多様性やアイデンティティを重視するZ世代特有の価値観があることも考えられます。これまで常識とされていた、学校教育やマスメディアによって刷り込まれた固定観念が見直されつつあるなか、「BeReal」は「ありのままの自分」をタップひとつで社会に示すことができる。だからこそ、この新しいSNSはZ世代の心を掴むことができたのでしょう。

 これまでのSNSには“憧れ”を共有する場の提供が求められてきましたが、これからのSNSには、“親近感”を共有し合える場の提供が、より多く求められていくのかもしれません。



この記事が参加している募集

企業のnote

with note pro

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?