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その昔、結婚していた頃、当時の夫が柴犬の子供を連れて帰ってきた。
あの頃は一人目の子供が生まれて、家も新築して(ただし姑も同居)幸せと言えば一番幸せな頃だった。賃貸から持家になったことでペットも飼えるという事で、知人にメスの柴犬をもらってきたのだと思う。
名付けの権利は何故かわたしがもらい、ちょっとユーモアを利かせたつもりで「柴犬の女の子で【しばこ】でいいんじゃない?」と提案したら、「安直すぎる」と姑に却下された。それで当時大ヒットしていたドラマ「男女七人夏物語」で大竹しのぶが演じていた神崎桃子というヒロインから【桃子】という名前をもらった。
もふもふで人懐っこくて、キタキツネに似ていた桃子。あの頃の幸せの象徴のようだった。でもわたしは何も判ってなかった。犬を飼うという事の責任を。フィラリアに罹って、たった6歳で桃子は死んでしまった。死なせたと言ったほうが正しい。今でこそ大型犬でも家の中で飼うけれど、当時は外飼いが普通。虫よけなど注意するべき事もせず、犬なんて散歩さえさせていればいいでしょうといった感じだった。
(以来、自分に動物を飼う資格は無いと自覚した。その後、住宅事情に関わらず、いくら犬や猫が好きでも飼うことはなかった)
数年後、姑が持病を悪化させて亡くなった。同じ頃、我々夫婦もすれ違い始め離婚となった。元々価値観が違っていたものが姑の死によって明らかになった感じだ。それについては悔いはない。
いまでも桃子を思い出すと申し訳なさで一杯になる。あれから30年以上経った。ひょんな偶然からある捨て猫と巡り合う。洋猫のMIXで美人さんだ。今度は絶対幸せにすると誓って、譲り受けた。彼女の名前は【リリィ】。保護主さんは新しい名前を付けても良いと言ってくれたけど人間の都合で何回も名前を変えられるのはかわいそうなので保護主さんの付けてくれた名前のままにした。ユリのように美しい彼女にピッタリだ。
ちなみに【しばこ】はしばらくの間自分のハンドルネームとして使っていた。
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